投資用ワンルームマンション売却の方法を1から10まで徹底解説(サムネイル画像)

本記事はワンルームマンションを売却したいがやり方が分からない、売り時が分からない、より高値で売却したい、騙されたくない人に向けた記事です。

非常にボリュームのある記事なので最後まで読むのが大変かもしれませんが、ひとつお約束します。これからお伝えする内容には、無駄な知識や必要のない情報は一切含まれていません。ワンルームマンションの売却に関してあなたが必ず知っておかなければならない情報を、ワンルームマンション投資業界で10年以上勤務したプロがお届けします。

今回はそんな投資用のワンルームマンションの売却の流れ、査定価格、必要な費用や書類、売却にベストなタイミング、失敗事例と成功事例、高値売却のポイントに至るまでの基本から応用まで徹底的に解説します。

※動画でも詳しく解説しております。

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目次

ワンルームマンションの売却価格は収益還元法で決まる

投資用のワンルームマンションの売却価格は基本的に「収益還元法」で決まります。収益還元法とは、その物件からいくら収益が見込めるのか?という視点に基づいた価格設定の1つの手法です。

収益還元法における物件価格は以下の公式で求めることができます。

収益還元法の公式

1年間の純収益とは年間の家賃収入から経費(管理費や修繕積立金などの経費)を差し引いたものです。また、還元利回りを何%に設定するかで、物件価格も大きく変わってくるのが分かります。還元利回りについては、以下の利回り推移が参考になりますので添付します。

健美家の四半期利回りレポート(2024年7月から9月)

こちらのデータは不動産ポータルサイトの「不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)」の全国の登録物件の表面利回りの推移となります。

  • エリア
  • 築年数

によって、利回り指標も大きく異なるのが分かると思います。

例えば、東京23区の築10年未満の築浅区分マンションの直近の利回りは3.91%です。

年間の家賃収入をこの利回りで割り戻せば、おおよその平均価格が理解できます。

例えば23区内で築5年の賃料が10万円(年間家賃収入120万)のワンルームマンションの場合。

  • 120万÷3.91%=3069万

という計算になります。

しかし、ここで注意しなければならないのは、この還元利回りは【表面利回り】であるということです。

利回りには【表面利回り】と【実質利回り】の2つが存在します。

【表面利回り】の計算方法

表面利回りの計算方法の図

【実質利回り】の計算方法

実質利回りの計算方法の図

表面利回りと実質利回りの大きな違いは、「年間の家賃収入から経費を差し引くか否か」という違いです。

よって、今回の利回りの指標はあくまで【表面利回り】ですから、家賃収入から経費を差し引かない計算とします。

しかし、ここで注意しなければならないことがいくつかあります。

  • あくまでこの収益還元で算出した価格は「想定価格」であること
  • 還元利回りは健美家に登録された売却物件の利回りの平均であること
  • 都内一律で計算しているが、実際はその中のエリアでも差異があること
  • エリアの利回りを間違えてしまうと、的外れな価格になること
  • 賃料相場があくまで高すぎたり安すぎたりしないこと
  • 管理費や修繕積立金の割合が一般的であること

想定の価格なので、必ずこの値段なら売れる!という訳ではありません。

しかも、そもそものエリア利回りを間違えてしまうと相場と大きくかけ離れた価格査定となってしまいますし、現在の賃料が相場よりも明らかに高かったり、その逆に安かったりすれば当然に「相場賃料」に補正しなければなりません。

また、マンションの管理費や修繕積立金の金額は物件による個別性が強く、高いものもあれば安いものもありますので、そのあたりも売却価格に影響することを理解しておきましょう。

ざっくりとした指標になりますが、例えば東京都内の築浅物件(築25年以内)であればおよそ実質利回り3.5~4.5%程度を目安とすると良いでしょう。ここでいう実質利回りの計算手法は以下の通り。

(毎月の家賃収入ー建物管理費-修繕積立金)×12カ月÷実質利回り

でおおよその売却価格を算出することができます。実質利回りに関しては築年が浅く且つ立地が都心部であるほど3.5に近づき、築年が25年に近くかつ都心から離れるほど4.5に近づくとお考え下さい。

売却をする前に確認すべきこと

先ずは現在のローンの残債を確認しましょう。

投資用のワンルームマンションを購入する場合、現金一括購入の場合を除いてほとんどの方が金融機関から投資用のアパートローンを使って物件を購入します。

物件保有年数に応じて、ローンの残債も徐々に減っていきます。ローンが残っている状態ではワンルームマンションを売却できないのでは?と勘違いされている方も多いですが、ローンの残債が残っていても不動産の売却は可能です。

しかし、途中売却には条件があり、「残りのローンの全てを一括返済すること」が条件です。以下はローンが残った状態での不動産の売却イメージ図です。

ローンが残った状態での不動産売却のイメージ図

よって、現状のローン残債を把握しておかないといざ売却の契約となった際に、その価格ではそもそも売れない、という状態になってしまうケースもあり、不動産業者や新しい買い手の方に大きな迷惑が掛かってしまうので注意しましょう。

売却はどこにお願いすればよいのか?

投資用ワンルームマンションの売却は大きく分けて2つのルートがあります。

  1. 買取再販業者に直接売却
  2. 仲介会社経由で売却

それぞれの特徴を見ていきましょう。

買取再販業者に直接売却する

不動産売却を考える際に一般的には「仲介会社経由の方が高値で売却できる」と言われています。

一般的な居住用不動産の売却における仲介と買取の違い

ネット上のどのサイトを見ても同じように書いてあります。しかし、今回は投資用のワンルームマンションです。一般の居住用不動産(自宅)ではありません。よって、「仲介の方が高値で売却できる」という常識は通用しません。

投資用ワンルームマンションの売却における仲介と買取の違い

先ず、見ていただきたいのが仲介で売却した際の購入者が「1R買取業者・1R買取再販売業者」で買取と同じであることです。ここが、一般の居住用不動産との大きな違いです。

確かにネット上には仲介のワンルームマンションの売却情報がたくさん掲載されています。しかし実際にネットに掲載されているような仲介物件を個人の方が買うパターンは少数派です。投資用ワンルームマンションを購入する方の大多数は「不動産業者が売主の物件をその業者の提携ローンを使って」購入しているハズです。実際にあなたが持っている物件を購入した時を思い出してください。自らネット上で物件を探し出して購入したわけではなく、不動産会社と面談しそこから提案された物件をフルローンで購入していませんか?それが売主物件といわれるものです。

また、ワンルームマンションを購入する属性はサラリーマンや公務員といった一般の会社員がほとんどです。取引形態が「仲介」の物件(仲介物件)ですと、購入者は売主業者の提携ローンが使えないので、自分自身で融資先を探さなければなりません。そうなると「プロパーローン」というものを使って物件購入するほかなく、融資のハードルが一気に高くなってしまい、購入メリットが半減してしまうのです。

融資のハードルとは

  • 金利
  • 融資年数
  • 物件価格に対する融資額

などを指します。つまり、一般的なサラリーマン属性では仲介物件を購入しようと思っても「良い条件で融資を引けないことが多い」ということです。金利は高く、融資年数は短く、物件価格に対する融資額は5~7割程度になってしまう傾向があります。では、そのようなネット上にあふれる仲介物件は結局は誰が買っていくのか?と疑問に思うでしょう。答えは不動産業者です。仲介業者(俗にいう物上げ業者なども含む)は、その仲介物件をワンルームマンションの再販売業者に仲介で売却し手数料を得ます。再販売業者はその仲介で購入した物件に利益を載せて、「提携ローン」を使ってエンドユーザーに「売主物件」として転売する仕組みになっているのです。

下記はワンルームマンションの売却流通の仕組みです。

ワンルームマンション売却時の流通の仕組み図

仲介で売りに出ているワンルームマンションを最終的に購入していくのは「買取再販売業者(三為業者)」ということになります。そこに至るまでに、仲介会社が入ればその分「仲介手数料」分のコストが生じます。であれば、最初から仲介を使わずに買取再販売業者(三為業者)に直接買い取りをお願いすれば、売る方も買う業者も余計なコストを支払わず希望価格により近い金額で売却ができます。

投資用ワンルームマンションで仲介会社を通さずに買取再販業者に直接売却するイメージ図

そうなれば、売る方としては仲介で売却するよりも業者の直接買取の方が高値売却できる可能性が高くなります。よって、ワンルームの買取と再販売を1社で行っている業者(つまり中古ワンルームマンションの販売会社)に上手く売却交渉することで、仲介手数料をかけずに、高値売却することが理論上可能となるのです。

しかしながら良いことばかりでもありません。理論上という言葉を利用したのには理由があります。直接買取の場合だと仲介会社が間に入っていないので素人とワンルーム販売会社の直接交渉で売却金額が決まります。むろん販売会社は少しでも安く物件を仕入れたいので基本的には素人の足元を見るような低い査定価格を提示してくることになります。そこからどれだけ査定価格を上げられるか?はその方の交渉力次第となります。なのでそもそも相場価格すら理解できていない売却初心者にはこのやり方はお勧めできません。直接買取だからといって必ず高値が出るわけではない、ということを肝に銘じてください。

仲介会社経由で売却する

次にオーソドックスに仲介会社経由でワンルームマンションを売却する場合の特徴を見ていきましょう。

仲介で売却する場合には仲介手数料がかかります。

先ず、売却をお願いする会社と媒介契約を結び、売却活動を行います。この媒介契約には3種類存在します。

  • 一般媒介
  • 専任媒介
  • 専属専任媒介

です。それぞれの特徴を解説します。

●一般媒介

不動産売却における一般媒介の図

最も自由度の高い契約です。他の2種類の媒介契約と異なり、複数の不動産業者に仲介を依頼することができます。レインズ登録は任意となっております。よって、物件の売却情報を公に後悔したくない場合などには有効といわれています。

●専任媒介

不動産売却における専任媒介契約の図

専任媒介は不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約です。また自分自身で買主を発見する「自己発見取引」も可能です。業者から2週間に1度以上の頻度で業務報告を受けることができます。

●専属専任媒介

不動産売却のおける専属専任媒介契約の図

3つの媒介契約の中で最も自由度の低い契約です。専属専任媒介は不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約です。また自分自身で買主を発見する「自己発見取引」は不可となります。業者から1週間に1度以上の頻度で業務報告を受けることができます。

以上の3つの中からどれを選べばいいのか迷ってしまうかもしれませんが、結論からいうと「一般媒介」で十分です。仲介会社は他の仲介会社に物件を横取りされたくないので専任や専属専任の契約を勧めてくるでしょうが、無視してください。一般的に専任や専属専任などの場合は業者のモチベーションも上がり高値成約に向けて一生懸命売却活動してくれる、などと言われていますが、今回は住宅ではなく投資用のワンルームマンションという特殊な不動産であることを忘れないでください。仲介会社を経由したところで結局買主はワンルームの販売会社なのです。

一般的な住宅であれば、居住ニーズが一致すれば相場よりも高い金額で購入してくれる人もいるかもしれません。購入者はあくまで一般の人ですから。しかしワンルームマンションの場合は投資用物件です。しかも購入していくのはワンルームのプロである販売会社です。普通に考えて相場よりも高い金額で購入していく訳がありません。つまりワンルームマンションの場合は相場以上の高値で売却できるようなうまい話はほとんどないということです。よって、仲介会社がいくら頑張ろうとも査定金額は必ず頭打ちの状態になります。

仲介会社の最初の仕事としては、物件の図面を作成してそれをワンルーム販売会社にバラまくだけです。そこで金額が合えば契約に。それだけの話なのです。仲介の営業マンがいくら頑張ったところで査定金額が大幅に上がる余地がそもそも無いのです。

媒介契約に話を戻しますと、結局どの契約を選んでも仲介会社がやることは同じなので、それならば最も縛りの少ない「一般媒介」にするのが最も合理的と言えるのです。

ワンルームマンション売却時の仲介会社選びのポイント

ワンルームマンションを売却する際の仲介会社選びのポイントついて解説していきます。

  1. ワンルームマンションを専門の仲介会社に依頼する
  2. 多数のワンルーム販売会社と提携のある仲介会社に依頼する
  3. 査定価格と売却価格に乖離のない会社を選ぶ
  4. 大手不動産会社はNG
  5. 地場の不動産屋、町の不動産屋もNG
  6. 売却DMや営業電話、自宅訪問は絶対に相手にしない
  7. 売却を急かす業者は相手にしない

ワンルームマンションを専門の仲介会社に依頼する

先ず、投資用のワンルームマンションはこれまでにも話したように独特の商流があります。よって、これらの流れに精通した不動産会社でなければ高値売却など見込めません。よって近所にある不動産屋、地場の不動産屋、知り合いの不動産屋、全部ダメです。ネット検索で「ワンルームマンション 売却」などのキーワードで調べれば専門会社が多く出てくるはずです。残念ながら本記事では個別に仲介会社をご案内したりはしません。自分自身で検索し、面談し、自力で自分にあった仲介を見つけ出してください(よくあるアフィリエイト報酬を狙ったビジネスサイトではない為)。

多数のワンルーム販売会社と提携のある仲介会社に依頼する

仲介会社と提携のあるワンルーム販売会社は多ければ多いほどいいです。特定の会社だけだと物件の評価が偏りますし、ワンルームの販売会社によっても仕入れターゲットとなる物件にはバラつきがあります。例えば関東の物件をメインで扱う会社もあれば、大阪や福岡などの地方都市をメインで扱う会社もあります。例えば、東京メインの販売会社に大阪のワンルームを紹介しても高い価格はでません。

以上の理由から、より多くのワンルーム販売会社(具体的には100社以上)と繋がりや提携のある仲介会社を選択することが望ましいと言えます。

査定価格と売却価格に乖離のない会社を選ぶ

当初の査定価格が高かったので、実際に媒介契約を結んで売却活動を始めると、実際の売却価格が大幅に下がることがあります。例えば当初は3000万の査定価格がついていたにも関わらず、いざ蓋を開けてみると2600万円の価格しかつかない、などです。この現象は不動産会社の販売手法によるものです。

最初に高い査定価格を出せば消費者は高値できるかも、と淡い期待をいだきます。それをエサにして専任や専属専任媒介契約を結び、実際の売却価額を大幅に下げる手法です。その際に「こんな物件を持っていても赤字なだけ、今後ますます損失が大きくなる、今売らないと大変なことになる」などオーナーを脅かして契約に結び付けるのです。なので査定価格と実際の売却価格に大きな乖離があった場合にはその時点で売却を断り、次の仲介会社を探すことをお勧めします。

大手不動産会社は絶対にNG

敢えてこちらで名前は伏せさせていただきますが、大手不動産仲介会社にワンルームマンションの売却を依頼するのは基本的にNGです。なぜなら大手不動産仲介会社の中には「三為取引」を禁止している会社も多いからです。三為取引とは以下のような取引形態を指します。

不動産売買(投資用ワンルームマンションなど)における三為と取引のイメージ図

先ほど示したワンルームマンションが中古で流通する仕組みの図と全く同じものです。

先ずワンルームマンションの販売業者(三為業者)は売主Aから物件を購入します。しかし、自社(販売業者)で登記を入れることなく即座に買主Bに転売します(登記は売主Aから買主Bに直接移転します)。これが一般的なワンルームマンション投資の流通の仕組みです。このケースだと、売主Aとワンルーム販売業者間で結ぶ売買契約書には三為契約の条文か必ず入ります。具体的には「この物件を購入後すぐに他の人(買主B)に転売します」という条文です。

この三為取引を禁止としている大手不動産仲介会社が数多くあります。その理由としては、トラブル発生時の責任の所在を特定することの難しさや、通常の二者間取引に比べて三者間取引は金銭面でのトラブルが発生しやすいためです。よって、大手仲介会社にワンルームマンションの仲介をお願いすると、販売業者は登記を入れて一度決済をしなければならないことになります。その後に販売活動を行います。一度でも登記を入れると、販売業者には登録免許税や不動産取得税などの諸経費がかかります。また決済資金を最初に支払わなければならない為、資金繰りが難しくなります。

このように三為取引を禁止された仲介物件はワンルーム販売会社にとってみれば、余計な出費のかかる転売しにくい物件となります。そうなれば売主Aの売却価格は必然的に下がってしまう為、大手仲介会社への売却依頼はお勧めできません。

地場の不動産屋、町の不動産屋もNG

不動産屋ならどこも同じだろう、と安易な考えで、地場の不動産屋や近所の不動産屋に売却をお願いするのはNGです。

ワンルームマンションの売却はこれまでも説明した通り、特別な流通の仕組み(三為取引など)になっております。よってその仕組みや商流を熟知しているワンルームマンション専門の仲介会社でないと高値取引をすることがそもそも難しいからです。

不動産仲介と一口にいっても、賃貸仲介、売買仲介で大きく2つに分かれます。そして売買仲介でも実需物件(居住用)の仲介、投資用物件の仲介などその不動産屋ごとに得意とする分野が異なります。そして投資用物件の仲介の中でもさらにワンルーム、一棟、ファミリーなど細分化されています。

より高値で尚且つトラブルも少なくワンルームマンションを売却したいのであれば、ワンルームマンション専門の仲介会社に売却を依頼することをお勧めします。

売却DMや営業電話、自宅訪問は絶対に相手にしない

ワンルームマンションを購入すると、どこからともなく自宅に売却のDM(ダイレクトメール)が届くようになります。これはワンルームの仲介業者(ブツアゲ業者)が物件の登記簿謄本を取得し、そこから所有者情報を割り出してDMを送付しているのです。さも高値で物件を購入したい人がいるかのように偽った巧妙なDMもあります。また、謄本から名前を確認した上でSNS(Facebookやinstagram)で直接メッセージを送ってくるような業者も増えています。ひどい場合だと自宅に直接押しかけてくるような不動産仲介会社もいます。

彼らの目的はワンルームマンションを売却させて、仲介手数料を得ることです。

ワンルームを購入する際と考え方は全く同じですが、依頼もしていないのに一方的に来た連絡は全て無視してください。彼らのセールストークを真に受けて相場以下で物件を安く買い叩かれてしまう方も少なくありません。

売却を急かす業者は相手にしない

売却をとにかく急かしてくるような仲介業者(ブツアゲ業者)は相手にしてはいけません。彼らは物件所有者のことなど基本的に考えて無いと思った方がいいです。とにかくオーナーが売却しないと仲介手数料が入りませんから、仕事にならないのです。

  • 今売らないと損失が増えるだけ
  • 早く損切したほうが良い
  • このまま所有していると大変なことになる
  • 家賃はこの先下がっていく
  • 今売らないとこの先さらに売れなくなる

などオーナーを不安にさせることで売却に誘導してきますが、しっかりと自分自身の物件の売却価値を見極め、現在の相場と照らし合わせたうえで納得のいく売却を心がけましょう。

ワンルームマンション売却時の必要書類一覧

では次にワンルームマンション売却時に必要な書類を見ていきましょう。以下のようにまとめられます。

  1. 身分証明書
  2. 実印
  3. 印鑑証明書
  4. 住民票
  5. 登記済権利書(登記識別情報)
  6. ローン返済表(ローンがある場合は現在の残高把握のため)
  7. マンション購入時の契約書一式(契約書、重要事項説明書、管理規約、パンフレット、図面など
  8. マンションの管理費・修繕積立金の分かる書類(引き落とし口座コピーなど)
  9. 賃貸管理委託契約書or家賃保証契約書(管理会社に管理を委託している場合)
  10. 賃貸借契約書(入居者にお部屋をいくらで貸し出しているのかわかる書類)

全てを直ぐに用意するのは難しいと思います、取り合えずの査定だけであれば、上記の10の書類の内、赤字の5つの書類があれば簡易査定が可能です

お忙しい方も多いかと思いますので、先ずは買取の簡易査定から徐々に売却戦略を決めていくのが良いでしょう。

ワンルームマンション売却にかかる費用

それでは次にワンルームマンションを売却する際にかかる費用について詳しく見ていきましょう。

仲介の場合

ワンルームマンションを仲介で売却する場合には仲介手数料がかかります。

また、それ以外にもかかる費用があるので、それらを順番に見ていきましょう。

仲介手数料

仲介で物件を売却するには仲介手数料が必ずかかってきます。

不動産売買の仲介手数料一覧

都内の物件であればほとんどが400万以上の価格になるかと思いますので、例えば1000万円の物件が仲介で成約した場合の仲介手数料は

(1000万×3%+6万)×1.1(消費税)=39.6万円

と計算することができます。

また仲介手数料は成功報酬で、不動産の売買が成立すると請求権が発生します。

抵当権抹消費用・住所変更費用など

ワンルームマンションはほとんどの方がローンを組んで購入されていると思います。ローン期間中に売却する際には金融機関の抵当権の抹消を行わなければなりません。

金融機関にもよりますが、基本的には司法書士に抵当権抹消を依頼しますので、司法書士への報酬や抵当権抹消費用または、物件を購入してから住所変更している場合は住所変更費用がかかります。合計3~5万円程度です。

印紙代

不動産売買おける印紙税の料金の違い一覧(国税局HPより)

都内のワンルームマンションの売却であれば、おおよそ価格は1000万~5000万の間に落ち着きます。物件を売却する際にはこの価格帯(1000~5000)の物であれば、印紙代が1万円かかります(売買契約書に貼ります)。その1万円を売主、買主で折半するときもありますが、買主に印紙を貼った売買契約書原本を、売主にはそのコピーを渡す場合が多いので、買主にその10000円を請求するケースもあります。

金融機関への一括返済手数料(金融機関により)

物件を売却する際には売買代金にて現在借入している金融機関へ一括返済をしなければなりません。その際にはほとんどの金融機関で一括返済手数料がかかってきますので注意が必要です。

下記にワンルームマンション投資の融資銀行の繰り上げ返済手数料をまとめておきましたのでご確認ください。

ワンルームマンション投資の融資銀行別、繰り上げ返済手数料一覧

サブリース契約の場合は解約の為の違約金も

家賃保証(サブリース)の物件の場合は非常に厄介です。

基本的に買取で売却の場合も、仲介で売却の場合もサブリース(家賃保証)を解約して売却するのが一般的です。一般的にサブリースの金額は実際の貸し出し賃料よりも低く設定されていることが多く、購入者が業者などである場合、そのサブリース賃料を元に物件の買取価格を決めるからです。

簡単に言うと、サブリースがついたままだと売却金額が低くなる、ということです。サブリース解約に差し当たって管理会社ではオーナーに対して解約違約金を請求してくるケースが多発しています。この違約金に関しては管理会社によって千差万別ですが、家賃の3~6カ月分という管理会社が多いように思います。

ご自宅にあるサブリース契約書の解約条項を今一度確認してみましょう。違約金を支払ったとしても、解約合意(業者のサブリース解約への合意)が取れないとサブリースの解除ができない事例も発生しておりますので、事前に管理会社にサブリース解約の詳細にについて問い合わせし、解約条項などきちんと把握しておきましょう。仲介を通して売却する場合はサブリース解約の手続きは仲介会社主導で行ってくれるので、仲介会社の指示に従って動きましょう。

サブリースが解除できない場合に関しては、弁護士などを使って解除に向けた裁判を行うか、サブリース継承物件として売却することになります。

集金代行契約の解約の為の違約金

ワンルームを業者買取で売却する場合、その買取業者は売主としてその物件を新たなオーナーに売却することになりますが、その際に賃貸管理も同時に請け負うことが多いです。つまり、売主兼管理会社という立ち位置になります。そうなった場合に、旧オーナーと管理会社との賃貸管理委託契約(集金代行契約)を解除しなければなりません。オーナーも新しく成れば、賃貸管理会社も新しくなるということです。その契約解除に際して、違約金が発生する場合もありますので注意が必要です。

こちらも「集金代行契約書(管理委託契約書)」の解約条項にその記載があるハズなので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

売却における譲渡所得税

こちらは直ぐに必要になってくるお金ではないので、頭からぬけてしまう場合もありますので注意してください。売却した翌年の確定申告にて譲渡所得税を支払わなければなりません。

例えば2000万円で購入した物件が10年後に同じ2000万円で売却できた場合、同じ値段なんだから税金なんてかからないでしょ。と思われてませんか?実はこの考え方は間違っています。購入時と同じ値段で売れても譲渡所得税はかかりますし、買った金額より安い金額で売却しても譲渡所得税がかかるケースもあります。

譲渡所得税とは、減価償却後の未償却残高よりも、売却価格が高い場合に、その利益分に対して発生する税金のことです。

ワンルームマンション投資が節税となるのは多くの減価償却費を毎年経費計上するからです。

ワンルームマンション投資の減価償却について

その逆に、保有すればするほど減価償却は進みますから、徐々に未償却残高は少なくなることを意味します。

以下は投資用ワンルームを売却した際の譲渡所得の計算方法の一例です(投資用の為、特別控除などは使えません)。

譲渡所得の計算方法

取得費用の考え方は以下の図の通りです。

投資用のワンルームマンション売却時の取得費の考え方の図

毎年一定の減価償却費を経費計上することで、徐々に未償却残高は少なくなっていきます。その未償却残高に土地の値段を足したものが取得費となります。例えば上記のように3000万(建物2000:土地1000)の物件を購入して、10年後に物件を売却する場合を考えてみましょう。減価償却費を年42万として、10年間保有でトータル420万に減価償却費を経費計上します。未償却残高は2000万ー420万=1580万となります。これに土地の1000万を足すと、取得費2580万となります。

例えばこの物件が10年後に2800万で売却できた場合の譲渡所得税の計算をしてみましょう。仲介手数料などの売却経費が100万かかったと仮定します。

投資用ワンルームマンションの譲渡所得の計算事例

購入金額3000万よりも売却金額が低い(2800万)にも関わらず、長期譲渡所得税がかかる計算になります。そもそも上記の計算式で赤字になるような場合には税金はかかりません。

また、譲渡所得税は一律ではありません。

その物件を保有した年数に応じて、以下のように税率が変わってきます。

譲渡所得税の保有期間における税率の違い

短期で売却するとその税率は合計39%にも及びます。長期で売却すると半分の20%ですみます。

この税金の計算をしっかりしておかないと、せっかく売却益がでても譲渡所得税を支払ったらマイナスに・・・なんてことになりかねません。売却時の税金はしっかりと専門家(税理士)などに事前に相談しましょう。

買取の場合

買取の場合は「仲介手数料」がかかりません。つまり売却にかかる経費がより少なくて済むということです。

しかし、それ以外の費用は基本的に仲介と同じです。

ワンルームマンションのベストな売却タイミングはいつ?

売却時期に関しては、オリンピック時2021年をピークとみている人が多かったですが、2025年現在の投資用のワンルームマンション市場は非常に活況です。

コロナの影響により、2020年の4月5月は売買が落ち込んだ業者もあるかと思いますが、冒頭で紹介した健美家のレポートにもある通り売却されている区分マンションの利回りにそこまで大きな変化は見られません。むしろ徐々に利回りは下落しております。利回りが下落するということは、価格が上昇しているということです。さて、ワンルームマンションの売却に際してそのような大きな視野でみた経済情勢も大切ですが、投資用のワンルームマンションを単体で専門的に見ると売却時期で最も大切なのは「築年数」であると言えます。それ以外にも大事なポイントがいくつありますので見ていきましょう。

築年数20年~25年のタイミング

築浅のワンルームマンションはローンが付きやすく、売主業者も買取しやすく、売却もしやすいです。先ほど、ワンルームマンションを売却する際に「業者買取を選択したほうがお得」という話をしましたが、結局業者が買い取った物件は、提携ローンを使ってエンドユーザーへ再販売されるわけです。

ということは提携ローンの中古物件への融資評価額(いくらまで融資してくれるのか?最長で何年融資してくれるのか?など)が非常に大事になってきます。その提携ローンの融資評価が安定して出る築年数が「築25年以内」なのです。

築25年以内のワンルームマンションの仕入れから販売に至る経緯と融資イメージ

築年数の浅い物件で立地が良い物件は業者間でも争奪戦が繰り広げられるほど需要が大きいです。つまり、それだけ高値で買い取ってもらえる可能性が高くなるということですね。しかしそれ以上の築年数(築30年や40年)になると、物件を再販売する際に、売主業者として一般的な35年ローンが提案できなくなり、25年ローンや20年ローンといった感じで、期間が短くなってしまったり、一部の金融機関では取り扱い自体が不可能となってしまいます。

また、ローン金額もフルローンが難しくなり一部頭金が必要などの条件が付くケースが多いです。

ローン期間が短くなると毎月の返済も大きくなり、融資が受けられない物件だと現金購入客を探すほかなく、再販売する業者目線で考えた際に非常に売りにくい物件になってしまうのがよくわかると思います。そのような販売しにくい物件をわざわざ高値で買い取る業者はいません。ということは、そのくらいの築年数の物件は、一般的な買取再販業者もよほどの高条件じゃない限り買取してくれません。となると、売却のターゲットは一般消費者に絞られます。

つまり、築年数が古くなった物件に関しては「業者買取」の需要が減るので「仲介」での売却がお勧めということになります。ワンルーム購入者目線で言うならば、築25年以降の中古ワンルームを購入する場合、売却の出口が「仲介による一般消費者への売却」の選択肢に絞られるので、より入念に周辺の同程度の築年数の物件価格や築古物件の実際の売却成約価格などをしっかりと下調べした上で売却を検討しなければなりません。

また、ワンルーム投資において、築古の物件にターゲットを絞って現金購入する需要も一定数存在します。よって、立地や購入価格を間違えなければ築年数が古くなっても売却の出口が無くなるわけではありません。特に都内の好立地においては、築古物件であったとしても低利回り(つまり高価格)で取引されている為、価値が落ちにくいと言えるでしょう。

管理費や修繕積立金の値上げ前のタイミング

これはワンルームマンションに特化した話ですが、ワンルームマンションの価格設定は収益還元法で決まります。管理費や修繕積立金などの経費部分が上昇すると、オーナーの毎月の手取り家賃は少なくなります。例えば毎月の家賃8万、毎月の管理費・修繕積立金が1万の物件であれば、手取りは7万(8万-1万)となりますが、管理費・修繕積立金が2万になれば手取りは6万(8万-2万)になります。つまりそれだけ物件の収益性が下がります。

管理費や修繕積立金の改定は急に行われるものではなく、いくつかのステップを経て改定(増額)が行われます。長期修繕計画に基づいて管理組合の決議をとって承認される必要があります。なので、長期修繕計画や毎回送られてくる総会の資料には必ず目を通し、修繕積立金や管理費の増額がある前に物件を売却してしまうのも1つ売り時と言えます。

収支が大きくマイナスの時

毎月のキャッシュフローが大きくマイナスになってしまい、資金的に不安がある場合です。しかしながら都心部の築浅ワンルームマンションは利回りも低く毎月のキャッシュフローは購入時からそもそもマイナス収支の物件が多いです。だから一概に収支がマイナスだから絶対に売った方が良いという訳ではありません。毎月のマイナス収支に対して不安を感じ始めたり、今後の運用が心配な方は売却を検討する良いタイミングと言えるでしょう。

価格が上昇しているタイミング

全体的な不動産価格が上昇しているタイミングは売り時です。まさに利益を確定させるベストタイミングを言えるでしょう。

家賃を値上げできたタイミング

家賃を値上げすることで、売却価格は上昇します。なぜならワンルームマンションの価格は収益還元法によって決定するからです。都内のワンルームマンションの場合は毎月1000円の賃料上昇で、売却価格は約30万程上昇するとお考え下さい。その根拠を伝えます。例えば東京都心部の区分マンションの利回りは4%前後だと仮定した場合。年間90万の家賃収入の取れる物件の価格は

90万/年÷4%=2250万

と計算できます。

たとえば、こちらの物件の賃料が毎月1000円(1.2万/年)上昇した場合、年間の賃料は91.2万となります。

91.2/年÷4%=2280万

となります。つまり家賃が毎月1000円上昇したことで、価格が30万円上昇する計算になります。

このように賃料を高くつけることができればその分売却価格も高くなる傾向にありますから、賃料を値上げしたタイミングはワンルームマンションの売り時であるといえます。

保有期間が5年を超えた時

物件を売却した際には譲渡税がかかります。

物件を購入し、1月1日を6回迎えた後(5年後以降)に売却すれば長期譲渡所得(20%)、それ以前に売却すると短期譲渡税所得(39%)となり税金の金額が大きく異なります。基本的に短期間(5年以内)での売却は譲渡税が高額なのであまりお勧めしません。よって短期譲渡から長期譲渡に切り替わったタイミングはワンルームマンション売却の1つの売り時と考えることができます。

金利が上昇しているタイミング

金利が上昇すると毎月の支払いが増加するため、収支が悪くなります。場合によっては大きく赤字に転落してしまうことも考えられます。しかしながら、現在のように金利が上昇し、それに合わせて不動産価格も上昇している状況であればワンルームマンションの売り時と言えるでしょう。逆に金利が上昇しすぎてしまうと、不動産を買いにくくなりますから価格下落の圧力が強まることになるので注意が必要です。

売却の一括査定で相場感を養おう

売却の一括査定はお勧めです。そこで売却するかどうかは別として。

築25年以内のワンルームであれば「業者買取」に的を絞って一括査定するのも良いでしょう。

そこでおおよその売却価格の相場を身につけることができます。

ワンルームマンション売却一括査定の注意点

売却一括査定は様々な会社に売却物件の査定をしてもらえるので、一見効率がよさそうに見えます。しかしながら、その中には「仲介業者と買取業者」がごちゃまぜになっていたりするので、必ず「取引形態」を確認しましょう。様々な会社に査定をお願いするのは良いですが、「査定額=売却価格」ではありません。物凄く高い査定価格が出たりすると要注意です(仲介が多い)。

不動産仲介会社の営業マンは媒介契約(仲介契約)を多く取ってナンボの世界です。

なので、お客様に「私の物件こんなに高く売れるの!?」と一瞬だけサプライズさせて、当然そんな金額で売れるわけもなく、媒介契約後に「この値段じゃ難しいですね」と言いながら、徐々に徐々に価格を落としていき、相場もしくは相場以下で売却を進めてくるのです。

ワンルームマンションの高値の売却査定をだし、徐々に値段を下げて相場で売却させる仕組みを現した図。

これが仲介の常套手段であります。

ワンルームマンションの高額売却査定の罠

投資用ワンルームマンション売却時の高額査定に要注意

ワンルームマンションを高値で売却するポイント

ワンルームマンションを売却する際にはいくつか重要なポイントがありますので順番に解説していきます。

  • サブリースは解除する
  • 空室ではなくオーナーチェンジで売却
  • 出来る限り賃料は高めで入居をつける
  • 管理費や修繕積立金の改定時期をチェック
  • 定期的に売却査定を行う
  • 複数の会社に査定を依頼

ではご所有のワンルームマンションを高値で売却する為の5つのポイントを順番に解説していきます。

サブリース契約は解除する

サブリース契約は、売却時に不利に働きます。サブリースはサブリース会社の都合でいつでも賃料が引き下げられたり、解約できなかったりとデメリットが多いため、業者も積極的に買取しません。金融機関も、サブリースのトラブルについて熟知しているためサブリース付きの中古物件への融資は消極的です。よって、売却を検討されるのであれば先ずはサブリースの解約を先行して行いましょう。万が一サブリースが解約できない場合はサブリース付で売却するしか方法はありません。

空室時ではなく、オーナーチェンジで売却する

空室中に物件を売却すると、物件の買取価格が下がってしまう傾向にあります。その理由は、空室中の物件は買取業者が賃料の査定をする訳ですが、買取業者は販売のことも考えて相場の中でもできるだけ低めの賃料で物件価格を査定する傾向にあります。よって、その分価格が低くなってしまう傾向にあるのです。投資用ワンルームマンションの売却はオーナーチェンジが基本です。オーナーチェンジとは、入居者が付いた状態で物件を売買することを言います。よって、空室中に物件を売却しないように注意しましょう。

できる限り賃料は高めで入居を付ける努力をする

ワンルームの売却価格は収益還元法できまります。

同じ条件の物件が仮に家賃が3000円異なった場合の売却価格の比較を以下の図でまとめてみました。

築浅中古ワンルームマンションの家賃アップによる売却価格の変化

家賃が0.3万円異なるだけで、売却価格に73万円もの差が生まれています。事実、ワンルームマンションの買取市場においても、この収益還元法にて買取価格を決定する為、同じ物件でも家賃が数千円違うだけで買取価格が100万円以上違ってくるケースはザラにあります。よって、常日頃より、賃貸相場の上限(アッパー)で入居付けする努力をしなければなりません。

管理費や修繕積立金の上昇はオーナーの毎月の収支が直接的に悪くなるので、事前にしっかりとチェックしておきましょう。

長期修繕計画表などをみれば、修繕積立金上昇の時期や金額が分かります。

修繕積立金の上昇や管理費の上昇は、その上昇した分だけオーナーの手取りが減ることにつながります。

修繕積立金の上昇や管理費の上昇は、その上昇した分だけオーナーの手取りが減ることにつながります。

ただマンションを待っているだけでは上限家賃での入居募集は難しいですから、それなりの出費も必要となります。しかしながら、最終的な売却価格が100万以上かわってくるとすれば、入居募集にかける費用も一種の「投資」と割り切ることもできるでしょう。逆に考えると、相場よりも高値の家賃で入居がついている物件を保有している方(例えば入居者が長期間変わっていないなどの理由から)は物件の売り時でもあると言えます。

管理費や修繕積立金の改定時期をチェック

管理費や修繕積立金の上昇はオーナーの毎月の収支が直接的に悪くなるので、事前にしっかりとチェックしておきましょう。長期修繕計画表などをみれば、修繕積立金上昇の時期や金額が分かります。修繕積立金の上昇や管理費の上昇は、その上昇した分だけオーナーの手取りが減ることにつながります。よって、大幅な上昇があればその分手取り家賃収入は減るわけですから収益還元法で言えば売却価格も大きく下がるという訳です。よって、修繕積立金や管理費の改定状況によっては、その前に物件を売却するというのも1つの選択肢となります。

建物管理会社の発行する重要事項調査報告書を取得することで、直近の管理費や修繕積立金の値上げ予定を確認できます。また定期的に自宅に送付される総会資料などでも確認可能です。

半年に一回程度のスパンで定期的に売却査定を

金融機関の融資状況が変わると、買取価格にも影響が生じます。よって、その融資状況を把握するためにも定期的な物件の売却査定をお勧めします。残念ながらワンルームは購入後にほったらかしにしてしまう方が非常に多いです。有利な売り時を逃さない為にも、常に売却の戦略を考えながらワンルームを保有していきましょう。

複数の会社に売却査定を依頼

売却の査定は必ず複数社に見積もりを依頼しましょう。1社だけだと比較材料がなく、相場が分かりにくいからです。また査定価格に関して言えば、仲介なのかそれとも買取なのか?によっても手残りの金額が異なります。

例えば、仲介での査定価格2000万、買取での査定価格1950万という結果が出た場合。金額的に見れば2000万の仲介での売却が一見お得に見えますが、仲介の場合はここから仲介手数料72万がひかれますので、手残りは1928になります。かたや買取1950万は仲介手数料がかからないので手残りは1950万です。

このように、売却価格と実際に手元に残るお金をしっかりと計算した上で複数社に査定見積もりを取るのが有効といえます。

ワンルームマンション売却の成功事例

都内に中古ワンルームマンションを所有していたAさんの成功事例です。10年前に購入した中古マンションをオーナーチェンジで売却し多額の売却益を確保しました。

物件のスペックは以下の通り。

  • 東京都中央区のワンルーム(20㎡)
  • 物件新築年月は2000年09月
  • 2014年に購入(2024年12月売却)
  • 当時の購入価格は1950万

東京都中央区の一等地の物件で、現在築24年になります。私の書籍やセミナーを受けて、買取再販業者10社程度に売却の相談を持ち掛けて、最終的に2380万でスムーズに売却を成立させました。買取価格は会社によってバラつきがあり、低いところだと1800万という査定もあったそうです。仲介ではなく直接の買取契約の為仲介手数料は0円です。売却時のローン残債は1480万だったので、

2380万-1480万=900万のキャッシュを手にしました。

譲渡所得税に関しては180万程度、抵当権抹消で3万円、売却時の印紙代で0.5万円、金融機関への違約金は0円で実際の手残りとしては

900万-180万-3万-0.5万=716.5万を手元にのこすことができました。

売却成功のポイントは以下の通りです。

  • 再販業者に直接買い取りで売却
  • 10社もの売却査定で価格を比較
  • 築25年以内の売却で高値実現

ワンルームマンション売却の失敗事例

都内に中古ワンルームマンションを所有していたBさんの売却失敗事例です。

9年前に購入した中古ワンルームマンションを空室で売却し売却損がでてしまいました。

物件のスペックは以下の通り

  • 東京都練馬区のワンルーム(16㎡)
  • 物件新築年月は1994年09月
  • 2015年に購入(2024年10月売却)
  • 当時の購入価格は1550万

大手の仲介会社と専属専任媒介契約を結び売却しました。当初自宅に届いたDMに「1700万で購入希望者がいる」との誘い文句が売却のきっかけです。当然その値段では売れずにズルズルと価格を下げることに。途中で物件が空室になった際には、「空室の方が高く売れる」と営業担当者から言われ、敢えて入居者を付けず売却活動をおこないました。しかしながらなかなか希望価格には届かず一端は売却活動そのものを辞めようと思ったが、担当者に「このまま物件を保有していても価格は下がるだけ、今後修繕積立金が値上がりすれば最悪売れなくなる可能性もある」などのセールストークを真に受けて1000万で売却することにしました。

ローンの残債が1178万だったので、-178万の損失です。また仲介手数料約40万と印紙代0.5万、抵当権抹消費用3万円、金融機関への繰り上げ手数料20万を支払っため、トータルで178+40+0.5+3+20=241.5万もの赤字となってしまいました。

売却失敗のポイントは以下の通り

  • 築25年を超えたタイミングでの売却
  • 空室状態で売却したこと
  • 売却DM業者に売却を依頼したこと
  • 担当者のセールストークを鵜呑みにしたこと

オーナーチェンジで入居者がついている状態であれば売却価格も随分違っていたはずです。また、大規模修繕や修繕積立の値上げに関しても長期修繕計画表などを参考にして冷静に分析せずに焦って売却したことも原因の1つと言えます。

また空室になった際に、例えばお部屋をリフォームしバリューアップした上で賃料を上げて募集するなどの施策を取ることもできたでしょう。売却のタイミングを見誤ったこと、適切な準備なしで売却を開始したことが最大の失敗と言えるでしょう。

ワンルームマンション売却後は火災保険や地震保険の解約忘れずに

マンション購入時に35年一括で火災保険料を支払っていらっしゃる方(現在では10年一括)が多いかと思います。

例えば、期間内に売却した場合だと、残存の保険期間が残っているので、その分の支払い保険料が戻ってきます。

よって、売却の決済終了後に火災保険の解約申し込みを忘れないように手続きしましょう。

マンション売却後、「火災保険」の解約を忘れるな!

売却査定は1Rシミュレーションで解決

ご所有のワンルームマンションの売却価格を知りたいなら1Rシミュレーションがおすすめです。

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まとめ

投資用ワンルームマンションの売却は一般的な自宅の売却と違って、購入者の購入目的が異なります。

なので、投資用のワンルームマンションと一般的な自宅の不動産売却を同じ土俵で考えるのは無理があります。

また、ワンルームをセールスする場合は専門的な知識と専門的なマーケットそして金融機関が必要になります。

そんな中で一般的な不動産会社(特に大手の仲介など)にワンルームの売却をお願いしたところで、あまり良い結果が得られないのはご理解頂けたでしょう。

ワンルームマンションの売却はワンルーム業者への直接買取もしくは専門の仲介会社への仲介依頼が最も効率的です。

ワンルームマンション投資の売却は、適切な準備と事前知識がカギです。失敗を避けるためには、最新の動向や基礎知識を理解し、専門の担当者と協力して進めることが重要です。成功事例と失敗事例を参考にし、最適な売却を目指してください。