サブリースを解約できない!ワンルームマンション投資でトラブル続出

ワンルームマンション投資に限らず、レオパレスによるアパート経営、そして記憶に新しいスマートデイズによるシェアハウス(かぼちゃの馬車)で「サブリース」が大きな社会問題となっています。

サブリース契約によって取り決めた保証賃料を管理会社都合で大幅に減額したり、そもそも支払わなかったり、などめちゃくちゃなことがたくさん起こっています。

ではそんなトラブルの多いサブリースですが、何故解約できないのでしょう。

今回はその闇に迫ります。

サブリースの仕組みとは?

サブリースが分からない人の為に。

サブリースは、別名「家賃保証」とも言われます。

通常はオーナーと入居者(一般人)の二者間で賃貸経営が成り立つわけですが、これだと、入居者が退去した場合のオーナーにとっての空室リスクがぬぐえません。

そこで、その空室リスクを払拭するために「管理会社」に入居者になってもらうのです。

ただし、そのお部屋の入居者となった管理会社はそのお部屋に入居するわけではありません。

そのお部屋を今度は貸主として入居者(一般人)に転貸(貸し出す)わけですね。

これをサブリースと言います。

分かりやすく図にすると以下のような感じです。

一般の入居者が支払う賃料が10万円だとすると、間に入っているサブリース管理会社は1万~2万程度のサブリース手数料を取ります。

のこった9万円~8万の保証賃料を毎月オーナーに支払うのです。

例えば、このモデルで入居者が退去してしまい、お部屋が空室になった場合はどうなるのでしょうか。

通常の賃貸契約であれば、空室で家賃収入が無ければオーナーにも家賃は入ってきません。

しかし、サブリース契約はオーナーからすれば、入居者=管理会社となります。

その先(転貸先)の入居者がいようがいまいが、毎月一定額の賃料(9万~8万)を受け取れるという仕組みなのです。

サブリースの相場金額は?

サブリースの手数料は一般的に家賃の10%~20%に設定している管理会社が多いです。

例えば賃料が10万円のお部屋があったとすると、サブリース会社はその家賃の中から1万円~2万円程度の手数料をさしひいた9万~8万を保証賃料としてオーナーに振り込みます。

サブリース手数料という言い方をする管理会社もありますが、ほとんどの管理会社は現況家賃の「90%保証」「80%保証」という言い方をします。

都内のワンルームマンションは入居率も高いので、比較的高い水準で家賃保証してもらえる場合が多いです。

物件の立地が地方に行けば行くほど保証率も下がります。

考えてみれば当然のことです。

保証をしてしまうと、入居がいなくとも一定の家賃を払わなければならないので、賃貸需要の無い立地でサブリースをすることは管理会社のリスクとなるからです。

しかし、昨今ではこのサブリースが非常に大きな問題となっております。

実際に入居需要の無い立地の物件などにも高い金額のサブリース保証を付けて無理くり物件を販売しているような会社も少なくありません。

どうしてそのようなことをするのでしょうか。

そのようなことをすれば、管理会社が高額サブリース賃料を保証しなければならないので、管理会社が損をするのでは?

と思われるかもしれませんが、実はそうすることで利益を上げる以下の記事のような悪徳な会社も存在するのです。

ワンルームマンション投資での家賃保証(サブリース)の闇に迫る!

サブリースを巡るトラブルやデメリットは後述していきます。

サブリースのメリット

サブリースのメリット以下の通り。

  • 空室の心配をしなくても良い
  • 滞納の心配をしなくても良い

このくらいです。

賃貸経営の一番のデメリットは「空室」なわけですから、そのリスクを排除できるので、一見すると素晴らしいシステムに見えますね。

しかし、蓋を開けてみればデメリットも非常に多いので、安易にサブリース契約をしてはいけません。

サブリースのデメリット

サブリースのデメリットは以下の通り。

  • 手取りの賃料が少なくなる(手取り賃料が90~80%程度に下がる)
  • 自分で賃料を決められない
  • 礼金や更新料を全て管理会社に持っていかれる。
  • 入居者を選べない(誰が住んでいるかも分からない)
  • 借り換えが非常にしづらくなる
  • 売却が非常にしづらくなる
  • 保証賃料は定期的に下がっていく
  • 管理会社からサブリースを一方的に打ち切られる
  • そもそも解約できない
  • 解約するのに多額の違約金がかかる
  • 実際の入居者との賃貸借契約書を貰えない
  • サブリース会社倒産により不利益を被る可能性
  • 賃貸経営の全容が分からない(知識も経験も全くつかない)

無数に出てきます。

物件購入当初はサブリースが非常に心強く感じられるかもしれませんが、時間が経過すると至る所でそのデメリットが露呈する仕組みとなっております。

サブリースをめぐるトラブル一覧

サブリースをめぐるトラブル一覧を解説します。

一方的なサブリース賃料の減額&解約

サブリースの賃料は変動します。

「長期一括保証」などと謳っていますが、数年ごとに保証賃料はドンドン下落していくと思ってください。

賃料は改定しない!

という旨の記載が契約書にあったとしても、管理会社は保証賃料を下げることができます。

それって契約違反じゃないの?詐欺じゃないの?

と思われるかもしれませんね。

しかし、借地借家法第32条1項の以下の文章を読んでください。

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

簡単に言うと、

価格とか賃料下がったりとか、経済の事情で回りと比べて賃料が不相当になったら、どんな契約条件(30年定額の家賃保証!!など)であろうとも賃料減額しても大丈夫よ。

ということが書いてあるのです。

サブリースは貸主(オーナー)、借主(管理会社)の図式なので、この借地借家法によって借主である管理会社は守られてしまうのです。

これと同様に借地借家法第28条の以下の文章を読んでください。

建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。(借地借家法第28条本文)

簡単に言うと、

大家さんから入居者さんに「出て行ってよ!」という為には、「正当事由」が必要だよ。

ということが書いてあるのです。

ここでいう「正当事由」とは「家賃の滞納」や「建物が老朽化し非常に危険な状態」などのかなり切迫した状況のことを言います。

なのでオーナーから入居者に出て行ってもらうのは非常に難しいのが現状なのです。

今回はサブリース契約なので、入居者=管理会社となりますので、サブリースを解約することは「入居者である管理会社に出て行ってもらう」のと同じことなのであります。

その逆はどうでしょう。

つまり、入居者から「このお部屋出ていきたい!」と言った時です。

特に理由もなく、お部屋を出ていくことは可能ですよね。

これはサブリース契約もおなじですね。

結局、入居者が管理会社ですから、管理会社から「このお部屋でていきたい!(サブリース解約したい!)」と言われればサブリースは解約できてしまう仕組みになっているのです。

なので、

  • 35年長期家賃保証!
  • 定額家賃保証!
  • 家賃の下落幅を一定のパーセンテージに固定!

などと謳って、サブリースを必死に勧誘している新築ワンルーム業者もいるようですが、その契約内容はまさに絵に描いた餅です。

よってその内容に違反しても、借地借家法によって管理会社が守られてしまっているのが現状です。

サブリースのトラブル事例は以下の記事をご覧ください。

新築業者の「物件の立地が良いから家賃保証できるんですよ!」という一見筋の通った営業トークは絶対に信用してはいけません。

シノケンの35年サブリース(家賃保証システム)について問い合わせてみた。

サブリースを解約するのに多額の違約金

サブリース解約に当たって家賃の3か月分~6か月分という会社が多いです。

家賃が例えば8万円の場合ですと、

・違約金が3か月の場合

8万円×3か月=24万円

・違約金が6カ月の場合

8万円×6カ月=48万円

もの多額の違約金が必要となります。

ただでさえワンルームのキャッシュフローは少ないですから、その中で数十万の違約金を取られてはたまったもんじゃありません。

オーナーには分からない?「二重のサブリース」契約!

これは最近の新築ワンルームに非常に多いパターンです。

大手の新築ワンルームでも普通にあるので注意してください。

通所のサブリースと2重サブリースの違いを見てみましょう。

通常のサブリースモデル

投資用のワンルームマンションは販売会社がその物件の賃貸管理会社を兼ねていることがほとんどです。

よって、オーナーがサブリースを選択した場合には、売主業者兼管理会社とサブリース契約をすることになります。

そして、売主業者兼管理会社はその物件の入居者となり、そのお部屋を一般の入居者へと転貸するのです。

これが一般的なサブリースの仕組みです。

2重のサブリースモデル

最近新築ワンルームで多いのがこのモデルです。

売主業者兼管理会社が別の賃貸管理会社Ⅱとさらにサブリース契約を結ぶのです。

そして、賃貸管理会社Ⅱは一般の入居者へと転貸するのです。

もう団子状態ですね。

結局このモデルで損をするのはオーナーさんと入居者さんです。

なぜなら間に2社入ることで、その分余計なマージンが掛かってしまいますからね。

賃貸管理会社Ⅱとのサブリース契約が解除できない場合も?

例えば、多額の違約金を払ってオーナーさんが賃貸管理会社Ⅰとのサブリース契約を解約したとしましょう。

しかし、賃貸管理会社Ⅰと賃貸管理会社Ⅱのサブリース契約は生きている訳ですね。

結局は賃貸管理会社Ⅱとの契約も解除しなければサブリースの完全解約とはなりません。

あくまで、賃貸管理会社Ⅱもそのお部屋の入居者という立場でお部屋の契約をしているわけですから、その入居者(賃貸管理会社Ⅱ)を無理に追い出すことはできません。

そうなれば、サブリースの解約も難しくなってしまいます。

また、こちらでも解約に際して違約金が必要となることもありますので、そうなればオーナー様にさらなるご負担も考えられます。

基本的に管理会社Ⅰとのサブリースが解約できたとしても、管理会社Ⅰと管理会社Ⅱの結んでいたサブリース契約までは解約できません。

なのでオーナーが管理会社Ⅰの地位を引き継ぐことになりますので、今度はオーナーと管理会社Ⅱのサブリース契約となります。

よって、管理会社Ⅱとのサブリースの解約を交渉していかなければならなくなるのです。

サブリースを解約しないと売却できない。

売却が絶対に出来ない訳ではないですが、非常に売却しづらくなるのは事実です。

その理由としては、そのサブリース付き物件を次に購入する人の気持ちになれば良くわかるでしょう。

ただでさえ解約しにくいサブリースで、いつ保証賃料を下げられるかもわからない、自分で賃料を決めることもできない、そんな不安定な物件を誰も買いたいと思いません。

つまり、簡単に言うと物件をオーナー自らがコントロール(例えば賃料決定や賃貸差約契約書の発行など)出来ないのです。

まさに「名ばかりオーナー」状態です。

実質的な経営権や決定権は全てサブリース会社が握っています。

自分の物件なのに自分の好きに出来ないのならば、投資マンションを購入する意味はありません。

また、物件を売却する時に、次の購入者はほとんどの場合金融機関から融資を受けます。

その融資評価は売主業者が提携の金融機関に事前に「この物件ならいくらくらいまで融資してくれますか??」というお伺いをたてて、物件価格が決まります。

よって金融機関も、正式な賃料が分からないと融資の正しい評価を出せないので融資が出来ないのです。

サブリースだと、業者のいい値の家賃設定になってしまうので、公平性に欠けますからね。

業者の中には、物件を売却されて管理を外されるの防ぐために、わざと実際の「賃貸借契約書(サブリース会社と入居者の賃貸の契約書)」の提出を拒む業者も存在します。

賃貸借契約書が無いと実際の貸出賃料が把握できないので、売却が出来なくなってしまうのです。

賃貸借契約書を管理会社より見せてもらえない場合の対処法は以下の記事に記載しております。

ワンルームマンション投資/売却・借り換え時の家賃保証(サブリース)トラブルと解決方法

サブリース契約書の「期間内解約」をチェック

期間内解約がある場合

期間内解約」の条項が先ずは「ある」か「ない」かを見てください。

ある場合には、そこに期間内解約の違約金やペナルティについて記載があるかと思います。

一般的に、サブリース契約は6カ月前までに書面でもって解約の通知をするか、即時解約する場合には6カ月間の賃料を支払う旨の記載があるかと思います。

ただし、この期間や違約金については、会社ごとに異なる可能性がありますので、契約前に必ずチェックしてください。

期間内解約が無い場合

そもそも「期間内解約」の条項が無い場合は非常に厄介です。

期間内の解約条項が無いということは、オーナーからサブリースを解約する場合には「正当事由」が必要となります。

しかし、実際に住む訳でもありませんし、その「正当事由」が認められるような要件を満たすことは至難の業です。

その際には、サブリース会社に出て行ってもらうため(サブリース契約を解約するため)に、「立ち退き交渉」をすることになります。

すんなりと立ち退き交渉に応じてくれる場合は良いですが、それに応じないような場合には素人が解決するのは難しいと思ってください。

また、「立退料」の支払をサブリース会社から請求される場合もありますので、その金額で和解するかどうかはオーナーさんの判断となります。

いずれにしても、期間内解約のないサブリース解約は本当に厄介です。

サブリースの解約に強い「弁護士」に依頼することをお勧めします。

サブリース契約はしない

元も子もありませんが、サブリース契約なんてしないのが一番です。

このブログを昔から見ていただいている方でサブリース契約するような方はいないとは思いますが・・・。

サブリースは契約は絶対にしてはいけません。

そもそも業者はお客様を守るためにサブリース契約するのではなく、利益が出るからサブリースするのです。

ここの認識を間違えてはいけません。

賃貸経営は慈善事業ではないのです。

「家賃保証だから安心」

なんて言っている人は賃貸経営しないほうが良いです。

そういう方が、割高な物件を業者からハメ込まれてしまうのです。

割高な物件を購入させられ、さらに割に合わないサブリース契約で縛られ、永遠に搾取され続けることになるのです。

危険な業者や不良物件は1Rシミュレーションで解決

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まとめ

サブリースの契約は非常に簡単です。

物件購入時にサブリース契約書類に署名捺印するだけですからね。

ただし、実際にそれを解約するとなった場合には、最悪弁護士まで雇って調停をしなければならないほど大事になることも珍しくありません。

また、解約は長期間に渡り、高額な費用を請求(違約金&立退料&弁護士費用など)される場合がほとんどです。

借地借家法により管理会社が守られていることもあって、サブリース会社は強気です。

管理会社や営業マンの言いなりで管理を預けないように注意してください。

ワンルームマンション経営をするのはオーナーさんです。

管理会社はそのサポートをするだけなのです。

サブリースは確かにオーナーさんの手間は省けますが、そのメリット以上にデメリットやリスクが大きすぎて、その対価にとても見合いません。

サブリース契約はするべきではないのです。