重要事項調査報告書って何?どこをチェックすれば良いの?

重要事項調査報告書(重要事項に係る調査報告書)は投資用の中古ワンルームマンションや自宅用の中古マンションを購入する際に、契約前に事前確認すべき重要な書類の1つです。

では、そもそもこの書類は何なのか?

どこをどのようにチェックしたらよいのか?

詳しく見ていきましょう。

※動画でも詳しく解説しております。

重要事項調査報告書って何?

簡単に言うと、マンションの建物管理会社が発行している「マンションの管理内容や状況」が記載された書類です。

どうやって取得するの?

マンションの建物管理会社に発行の依頼をして、取り寄せます。

発行を依頼してから、手元に届くまで約1週間から2週間程度かかります。

また、料金は建物管理会社によってさまざまで、数千円~2万円以内で取得できます。

誰が取得するの?

物件の売却を依頼した場合などは依頼先の不動産仲介会社が取得します(業者買取で物件を売却する場合は買取先の不動産会社が取得します)。

また、マンションを売却する場合の売主(オーナー)が個人で取得することも可能です。

なんの為に使うの?

物件を売却する場合、次にその物件を購入する買い手が現れます。

不動産の売買契約では、買い手が売買契約を結ぶ前に「重要事項説明」を行わなければなりません。

その重要事項説明書は「重要事項調査報告書」を元に作成されるのです。

よって、売買契約の前に必ず取得される非常に重要な書類なのです。

何が書いてあるの?

以下は実際の重要事項調査報告書の例です。

重要事項調査報告書って何?どこをチェックすれば良いの?

該当マンションの管理状況などが詳しく書いてあるのが分かりますね。

それでは順番に見ていきましょう。

①重要事項調査報告書を取得確認した日

中古物件などを購入する際には、直近で取得されたものかどうかを確認しましょう。

日付が古いものだと、直近の管理内容の変更点などが反映されていない可能性もありますから。

②修繕積立金の総額

これは建物全体の修繕積立金の総額です。

一概にこの金額が多いから良い、少ないから悪いというのは非常に判断しづらい部分があります。

何故なら大規模修繕を終えたばかりのマンションだと、当然こちらの修繕積立金総額は少なくなっていますし、そうでなければある程度溜まっているのは当然だからです。

長期修繕計画と照らし合わせて、予定と異なっていないかしっかりと確認しましょう。

③お部屋の建物管理費、修繕積立金などの月額と滞納

これは一棟全体ではなく該当するお部屋の毎月の管理費と修繕積立金の詳細な金額と、滞納があるか否かです。

今回のお部屋の場合は、

  • 建物管理費12100円/月
  • 修繕積立金6200円/月

ということになります。

今回の場合は記載通り滞納は0円なのがわかりますね。

④建物全体の建物管理費、修繕積立金の滞納

これは一棟全体の建物管理費と修繕積立金の滞納の合計金額です。

今回は0円となっております。

しかし、投資用のワンルームマンションなどに関しては、建物全体の滞納が0円と言うのは珍しく、数万円から数十万程度の滞納がある場合がほとんどです。

この滞納が数百万単位になってくると、物件購入時の金融機関からの融資に悪影響を及ぼす可能性がありますので、注意しましょう。

⑤管理組合の借り入れ

修繕積立金などが足りずに、金融機関などから借り入れをしているマンションも存在します。

積立金が溜まっていないがそれに対して修繕はしなければならない・・・

そのようなときに、管理組合で数百万~数千万の借り入れをしている場合が存在するのです。

借り入れをしているから一概にダメという訳ではありませんが、できることなら借り入れの無いマンションが理想です。

また、融資を受けて物件を購入する際に、この「管理組合の借り入れ」が金融機関よりマイナスの評価となることもあるので注意が必要です。

⑥その他の重要な事項

1,管理形態

共用部分の修繕やメンテナンスをどのような形態で管理するか?という内容です。

今回は「全部委託」となっておりますので、建物管理に関する全てを管理会社に委託する、という意味です。

これ以外には「一部委託」や「自主管理」などもあります。

一部委託は文字通り、管理内容の一部のみを業者に委託し、それ以外は自分たちで行うというものです。

自主管理は、管理組合のオーナーさんたちが管理を全て自分たちで行う方式です。

2,管理方式

今回のように、管理員が週に数回マンションに通って、基本的な清掃や軽微な補修・修繕を行う管理方式を「通勤(日勤)管理」といいます。

それ以外には「常駐管理」や「巡回管理」などがあります。

「常駐管理」は、管理員がそのマンションに泊まり込みで、管理する管理方式を言います。

また、「巡回管理」は複数のマンションを担当する管理員が週に数回それぞれのマンションを定期的に巡回する方式を言います。

3,管理費や修繕積立金の改定予定

直近で管理費や修繕積立金の改定予定があれば、こちらが「あり」となります。

投資用のワンルームマンションなどを購入する場合、この管理費などの金額変更によっては、毎月の収支計画が大きく変わってきます。

直近で「管理費・修繕積立金」の値上げが無いかしっかり確認しましょう。

4,大規模修繕工事予定

直近で大規模修繕工事がある場合はこちらが「あり」となります。

一般的なマンションでは10~20年のスパンで大規模修繕が行われます。

大規模修繕工事に向けて修繕積立金の見直しなどが入る場合もありますので、しっかりと長期修繕計画をチェックしましょう。

5,大規模改修工事実施時期の検討

大規模改修工事の実施時期をどうするか?という項目です。

上記資料の場合な「特になし」ということですね。

6,フローリング規制

マンションは音に関するトラブルが多いです。

よって、ほとんどのマンションでフローリングに関する遮音等級などを事前に定めている場合が多いです。

フローリング遮音等級一覧

7,駐車場

駐車場のあり、なしが記載されています。

8,駐輪場

駐輪場のあり、なしか記載されています。

また、入居者が使用する場合の金額も記載されていますね。

9,バイク置き場

バイク置き場のあり、なしが記載されています。

10,ペット飼育

ペット飼育が可能か否かです。

今回の場合は、最大2匹までで体長が70センチまでとあらかじめ決まっていますね。

11,楽器演奏の規制

楽器の演奏時間の規制です。

今回の場合は10~20時までであれば可能ということですね。

12,石綿(アスベスト)使用調査の有無

アスベストとは石綿(いしわた)と呼ばれる天然の鉱物繊維です。

値段も安く、耐久性と耐熱性に優れており、以前は建築資材として広く使われていました。

しかし、石綿を大量に吸うと人体に悪影響が出ることがわかったため1989年以降の建物であればほとんど使用されていません。

築浅のマンションなどの場合はほとんどこの欄は「なし」となっております。

13,建物診断・耐震診断の有無

現在の建物には旧耐震と新耐震が存在します。

昭和56年以前の建物は「旧耐震」とされており、大きな地震が起こった際に甚大な被害が予想されます。

よって、その古い建物が、現在の耐震基準に比較して、耐震性が備わっているかどうかの調査をするのが耐震診断です。

14,BS・CS

BSやCSのアンテナがマンション内にあるのかどうか項目です。

15,CATV

CATV会社のサービスによる視聴などを記載する欄です。

16,インターネット環境

マンション内のインターネット環境について記載する欄です。

⑦特記事項

特別に記載すべき事項のことです。

今回の場合、この物件で投身事故(飛び降りなど)が起こっているのがわかりますね。

マンションで事件や事故があった場合はこの特記事項に記入されます。

⑧共用部修繕工事実施状況

共用部分の修繕の実施履歴が記載されています。

しかし、お部屋の中に関しての修繕履歴(エアコンやガスコンロ交換など)は各部屋で様々なので現所有オーナーにヒアリングするしかありません。

こちらの欄に記載されるのは、あくまで建物一棟の共用部分の修繕工事の実施状況です。

まとめ

重要事項調査報告書はその名の通り、物件購入に際して非常に重要な判断要素が多く含まれている大切な書類です。

よって、できれば物件の契約前にしっかりと目を通して、自分自身で建物の管理状況を把握するようにしましょう。