リノベーション物件を投資用で購入すると失敗する当たり前の話

最近お客様の相談で都内の築古物件をリノベーションした投資物件のご相談を受けることが良くあります。

そもそもこのようなリノベーション投資物件はお勧めできません。

今回はその理由について詳しくお話しいしていこうと思います。

※動画でも解説しております。

リフォームとリノベーションは別物?その違いは?

先ず、リフォームとリノベーションをごっちゃにしてしまっている人が非常に多いので、その説明から。

簡単に言うと、「小さな工事で済むのがリフォーム、大掛かりな工事がリノベーション」といった感じです。

では詳しく見ていきましょう、

リフォームとは?

  • 壁紙や床の張り替
  • エアコンなどの交換
  • キッチンなどの交換

これらがリフォームの一例です。

簡単に言えば「原状回復」のことですね。

「古くなったり、汚くなった部分をきれいな状態に戻す」というイメージです。

リノベーションとは?

建物の躯体部分である柱や梁を残して、それ以外の全ての部分を対象に工事します。つまり

  • そもそもの間取りを変更(3LDK⇒1LDKに)
  • 排水管の取り換え
  • 耐震補強工事
  • 壁に断熱材など貼る

これらがリノベーション工事の一例です。

そもそもの既存中古物件の「資産価値を上昇させる」工事のことです。

リノベーション投資物件は単なる割高中古物件

リノベーション物件は新築価格の7~8割程度の値段で購入できます。

おっ、ならお買い得じゃない!

と思われるかもしれませんが、そこで騙されてはいけません。

築30年を経過した物件が今の新築価格の80%で販売されていて果たしてお買い得なのでしょうか?

例えば、新築の投資用ワンルームマンションを例にとってみましょう。

今現在の都内の新築ワンルームの平均価格は3000万程度です。

同じような広さの築30年の物件が2400万(3000万×80%)で販売されていたら、お買い得に見えるのでしょうか?

いくらお部屋の中が今風にリノベーションされていたとしても、躯体部分の老朽化は避けられません。

また、旧耐震基準の(昭和56年以前)の物件の場合には耐震性も心配です。

そもそも業者は物件を仕入れて、リノベーションをして、利益を乗せて販売しているのです。

物件によっては新築ワンルーム並みに利益が乗せられているものも少なくありません。

つまり、割高で、老朽化が早く、この先の寿命も短い物件ということです。

リノベーション物件の家賃アップに惑わされてはいけない

リノベーションの投資物件は非常に厄介です。

なぜならば、賃料の相場が一般のそれとは異なるからです。

お洒落な内装デザインにより、通常の相場よりも高額な賃料で入居者を募集することができます。

価格が若干安く、尚且つ賃料が高いので毎月の収支が一見非常によく見えるのです。

リノベーションの投資物件販売会社も「収支の良さ」を売りにしています。

築古物件でも長期融資をしてくれる金融機関もあるので、その金融機関を使って物件を販売しているのです。

「築古物件に長期融資」

どこかで聞いたことがありますよね?

そうです。以前にもブログでお話ししているスルガスキームですね。

スルガスキームに関しては「スルガ銀行での一棟物件の借り換えが難しい5つの理由」に詳しく記載しております。

対応年数を大きく超えて、融資が受けられるので、築年数の古い物件だとある程度のキャッシュフローが出るので、一見お買い得に見えてしまうのです。

もちろんリノベーションの効果もあり、購入後しばらくは問題ないでしょう。

しかし、あくまで躯体部分は築30年の物件になります。

そのような物件が現状と同額の賃料でローン年数(向こう30年から40年間)をしっかりと稼ぎ切れるのか?

いくらお部屋の中をリノベーションをしたところで「建物自体の老朽化」を止めることはできません。。

つまり、毎月の管理費や修繕積立金を変えることは出来ないということです。

売却の出口が狭まる

ワンルームはあくまで投資用として購入します。

よって、購入物件を売却するときはその買主も投資用としてその物件を購入するのです。

投資用として物件を購入するにはほとんどの方が銀行の融資を使って物件を購入します。

しかしながら、築年数が20年~25年を過ぎると多くの金融機関で35年ローンの融資が受けられなくなる事実が存在ます。

よって、そもそもの築年数が経過した物件を購入するとなれば物件の売却(出口)は通常の築浅物件よりも難しくなる傾向になります。

ワンルームマンションのリノベーションには限界がある

投資用のワンルームマンションのお部屋の広さは、そのほとんどが20㎡前後です。

部屋数も1つしかありません。

よって、2LDKをリビングが広い1LDKに!

といった間取りを変えるようなリノベーションは出来ないのであります。

つまり、ファミリーマンションに比べると施工できるカ所がそもそも少ないのです。

リノベーション物件を投資物件として買ってはいけない

あくまで、リノベーションやリフォームは古くなって価値の落ちてきた物件を延命させる1つの手段です。

そんな延命物件を投資用で購入しようとしているのは非常に滑稽であります。

【まとめ】危険な不動産投資とワンルームマンション投資で失敗する物件の特徴」でも記載しましたが、築古物件自体お勧めできません。

これはマンション以外でも言える話かもしれませんが、

「価格が安いという理由でモノを購入し、メンテナンスや維持に思った以上にお金がかかってしまい、結局は高くついてしまう。」

まさに安物買いの銭失い状態です。

だからと言って新築を買え!と言っているわけではありませんので誤解の無いように。

新築ワンルームが失敗しやすい理由は「新築ワンルームマンション投資は失敗しやすい?その理由を徹底調査!」に詳しく記載しております。

悪徳リノベーション物件に要注意

リノベーション物件は見た目上は非常にきれいに見えます。

ただし、壁の裏や排水管など見えない部分を把握することは非常に難しく、物件によってはリフォーム程度の物件をリノベーション物件と称して高額で売りつける業者も存在します。

リノベーション済みの物件を購入する場合には、施工現場を見ることができないので、そもそも躯体部分がどの程度老朽化しているのかを確認することも難しいのです。

まとめ

あくまでリノベーションは価値を維持するための延命にすぎません。

実際に築浅物件を所有し、ある程度の年数が経過したころにリノベーションするのは非常に投資効果が高いのは事実です。

しかし、敢えて割高なリノベーション物件を最初から投資目的で所有することは、

  1. 物件の対応年数
  2. そもそも割高

という点においてお勧めできません。

リノベーション物件では目先の収支に騙されないようにご注意下さい。