ワンルーム投資で相場よりも安く物件を購入することは難しい

ワンルームマンション投資で少しでも安く物件を購入したい。

相場よりも安い値段で物件を購入したい。

誰しも一度は考えることですよね。

ここで残念なお知らせです。

多少不動産投資の知識を付けたうえであっても、相場よりも割安で中古ワンルームを購入することはほぼ不可能です。

費用対効果も良くないので最初からそのような考えは捨てた方が良いとさえ思います。

今回はその理由についてお話ししていきましょう。

なぜ割安で中古ワンルームを購入することが不可能なのか?

割安な価格でワンルームを購入することはほぼ不可能です。

それは

割安な価格の物件は全て業者に購入されてしまうから

の一言につきます。

相場よりも安い金額の物件はほぼ例外なく業者が購入します。

それがワンルームならば尚更その傾向が顕著です。

新築ワンルームなら安く買うことはできるのか?

中古ワンルームに比べて新築ワンルームは業者の利益幅も大きいので、中古よりも値引き交渉はしやすいです。

しかしながら、そもそもが新築の割高な価格&家賃設定の為、おすすめできません。

値引きできるということはそれだけ売れていない証拠と捉えることもできます。

中古ワンルームの販売価格=金融機関の評価額

ワンルームの購入形態は2種類存在します。

  1. 業者売主物件
  2. 仲介物件

の2つです。

ワンルーム投資の売主と仲介の違いがこちら

投資用ワンルームマンションの売主物件と仲介物件の違いについて

多くの方は1.の「業者売主物件」を購入することになります。

なぜなら不動産売主業者の提携ローンが利用できるからです。

多くの提携銀行でフルローンが可能です。

物件価格も諸費用もあわせてローンをくめるので、ほとんど自己資金を必要としません。

それに対して2.の「仲介物件」に関しては提携ローンを利用することが難しい場合も多く、購入者が融資を使いにくいのです。

そうなると自己資金の少ない会社員属性の人たちは「仲介物件」を諦めて、「業者売主物件」を「フルローン購入」する形になります。

そして業者売主物件の価格(定価)=提携銀行の評価額となります。

つまり、ワンルームの販売価格は銀行が決めているのです

ワンルームの仲介物件は誰が買うの?

先ほどお伝えしたように「仲介物件」は融資が引きづらいのでサラリーマン属性は購入が厳しいという現状があります。

ではその仲介物件はだれが購入するのでしょう。

答えは再販業者です。

つまり「売主業者」です。

分かりやすく図にすると以下のようなイメージです。

  1. ワンルームを売却したいエンドユーザーがいます。
  2. そのユーザーが仲介業者に売却依頼を出します。
  3. その仲介業者はワンルームを買ってくれる販売業者を探します。
  4. 業者が見つかったら売主(一般)と買主(販売業者)で売買契約を結びます。
  5. 物件を購入した業者はすぐさま売主に転じて、提携金融機関を使って一般のエンドユーザに物件を売却します。

このような流れで業者売主物件としてのワンルームが市場に流通します。

仲介を通して売りに出された仲介物件はワンルーム販売業者(売主業者)を経由して業者売主物件とりなり、提携ローンを使って一般の買主の元へ流通します。

中古ワンルーム業者の利益幅について

都内の中古ワンルームの業者利益は数年前に比べ大きく減少しています。

2023年の都内の築浅中古ワンルームの業者利益は約150万程度です。

ワンルーム業者の仕入れと利益幅についての流通の図

例えば上記の図の場合、提携銀行Aで評価が2500万でています。

ということは、売主業者はこの物件を仕入れて2500万で提携Aのローンを使って販売します。

また、その際の物件の仕入れは2350万(仲介手数料込み)です。

つまり業者は2350万で仕入れて2500万で販売し、差額の150万程度が業者の利益となる計算です。

仲介で残っている物件=業者が買わない物件

ネット上で必死になって物件探しをしている人も多いでしょう。

しかしながら、ほとんどの売りワンルームは一般ユーザーが見る仲介市場に出る前に業者間の取引で契約が決まってしまいます。

そして、その業者の買取から漏れた物件が一般ユーザーの仲介市場に流通することになります。

買取から漏れた物件というのはいくつかの可能性があります。

大きく分けて4つです。

1,価格の合わなかった物件

価格が合わないというのは、単純に業者の買取ラインまで値段が落ちなかった物件のことです。

これが一番多いです。

ワンルーム業者の仕入れと利益幅についての流通の図

上記の例でいうならば、不動産業者が利益を150万確保しようとすると、2500万の提携ローンAで販売する場合は仕入れ2350万(仲介手数料込み)、2510万の提携ローンBで販売する場合は仕入れ2360万(仲介手数料込み)が上限値となります。

それらの金額以下で仕入れができれば単純に不動産業者の利益幅が大きくなるので御の字です。

しかしながら、例えば売主オーナーが2480万で売りたい!という場合はどうでしょう。

売主業者としては2480万で仕入れても利益幅150万が確保できないので仕入れができません。

つまり、その2480万の物件は売れ残ります。

仲介会社としては媒介契約は預かっているものの、業者買取の線が消えてしまった時点で一気にやる気をなくします。

その時点で成約になる可能性が極めて低くなるからです。

そんな物件はダメ元でレインズに掲載されたり、そもそも掲載もされずに放置されたりしているのが現状です。

2,金融機関で何かしらの原因で評価が出ない物件

不動産ポータルサイトなどをみていると、まれに割安な物件が見つかることがあります。

取引形態は「仲介」が多いです。

そんな割安な物件にはほとんどの場合、何かしらの理由があります。

さきほども散々説明しましたが、基本的に中古ワンルームは利益幅で150万以上とれるものは全て業者が購入します。

つまり、

  • 売主の提携ローン評価額-150万=業者仕入金額

という式になります。

しかしながら、これらの式が当てはまるのはあくまで提携ローン会社でその売り物件の評価がしっかりと出る前提のお話しです。

例えば、何かしらの理由で提携ローンの評価が出ないような物件であった場合にはどうなると思いますか?

再販業者としては、転売できる前提で物件を仕入れるわけですが、転売の大前提が提携ローンを利用できることなのです。

提携ローンが利用できない、となればローンを使った転売ができなくなるので販売先が極端に少なくなってしまいます(現金一括購入などに限定されてしまう)。

そんな物件は業者は仕入れしたくありませんよね。

では、提携ローンの評価が出ない物件とはどんな物件なのか?については私の毎週行っているオンラインセミナーにて詳しく解説しておりますのでそちらで学んでいただければと存じます。

そのような訳アリ物件でも安く買えれば良いのでは?と思うかもしれませんが、結局のところ「再販業者の買取」という出口が取れない物件だからこそ価格が大きく下がるのです。

つまり、市場の流通価値もその分低いわけですから、決して「割安」という訳ではないのです。

確かに価格でいうと他よりも安いが、売却価値(物件価値)もそれに比例して低くなるという訳です。

このような物件は売却の出口を取ろうと思った際に非常に苦労することが多いです。

3,単純に何も知らない仲介がレインズ掲載した場合

日本全国に不動産会社は12万社以上あると言われています。

コンビニの数(5万7000)よりも圧倒的に多いです。

そしてその全国の不動産会社には取引の得手不得手が存在します。

マンションを専門に扱う会社もあれば戸建てを専門とする会社もあります。

新築がメインのところもあれば中古がメインもあります。

その中でも収益用のワンルームは非常にニッチな部類になります。

全ての不動会社が投資用ワンルームの商流を理解しているわけではありません。

逆に言うとワンルームの専門業者以外は理解できていない場合が多いでしょう。

そんなワンルームのことをあまり理解していない不動産会社にワンルームの仲介(売却)を依頼した場合は、一般の仲介市場に情報が流通する可能性はあります。

仲介会社が教科書通りにレインズに物件を掲載してそこで客付け仲介からの買付を待つスタイルですね。

しかしながらレインズでも再販業者や仲介業者が四六時中物件情報を見ているので、割安で尚且つ評価の取れる物件は直ぐに買付が入りなくなってしまいます。

客付け仲介がエンドユーザーに物件を提案・紹介している時間もありません。

運よく即座に買付を入れられたとしても、不動産業者と競り合うことになるので、売主仲介会社としては決済確実な不動産業者を優先する傾向にあります。

よって、市場流通したとしても一瞬でなくなる可能性が高く、尚且つライバルが業者なので購入が難しいというのが現状です。

4,単なるおとり物件

そもそも既に昔売れてしまった物件などです。

昔は不動産価格も安く、売却価格も今より安かったため、それらの物件広告を未だに掲載しているパターンです。

あとは実際に取引の無い安い価格で掲載(虚偽広告)していることもあります。

そんなことをして何になるの?と思うかもしれません。

しかしながら業者からすればそれだけで、反響のあった顧客リストが作れます。

お客さんから反響があるとその物件は売れたことにして、その顧客リストを元に業者の売りたい物件を販売していくのです。

割安で買えるのは何かしらの理由がある物件

これらの事情を踏まえて、一般の仲介市場に割安で物件が出回る可能性が極めて低いということがご理解いただけたのではないでしょうか。

そして、もし仮にそのような割安物件があった場合には、業者の買取から漏れた物件である可能性が高く、そのような物件には金融機関の評価、管理形態など何かしらのネックがある可能性が非常に高い物件ということになります。

そして、そのような銀行評価の出ない物件は、買取再販業者も購入しても販売先に困るため仕入れしません。

よって、そもそもの売却価値が大きく下がる原因となるのです。

つまり出口の取れない物件という訳です。

そんな物件は売れ残ります。業者が手を付けないからですね。

ネット上でもリアルでも割安な区分マンション探しはほどほどに。

適正価格で尚且つ適正家賃の物件を探しましょう。

まとめ

ワンルームの商流を理解できれば、その利益構造や物件仕入れの流れなども理解できます。

それが理解できれば、「売主・仲介」の違いがわかり、割安物件を何のツテも自己資金も無い素人が手に入れることはほぼ不可能だということが理解できたでしょう。

割安な物件を探すのはもうやめて、適正価格・適正家賃の物件を探しましょう。

その為にも東京1Rの毎週末のセミナーにおいて物件探しの基礎を解説しておりますので、是非ご参加ください。

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