不動産投資をしている多くのオーナーさんは賃貸管理を管理会社に委託しています。
毎月決まった日に管理会社からオーナーに家賃の振り込みがあるわけですが、突如その入金がストップ。
入居者が退去したわけでもないのに何故?
一瞬パニックになってしまいますよね。
そんなときの対処法など詳しく解説していきます。
※動画ではさらに詳しく解説しております。
目次
家賃の振り込みがされない原因
集金代行契約で入居者はついているハズなのに、期日に家賃が振り込まれない。
サブリース契約なのに家賃が期日に振り込まれない。
このような状態で考えられる主な原因は以下になります。
銀行振込のシステム上のエラー
管理会社からオーナーへ家賃を送金する際には銀行振込が一般的です。
入居者から家賃を回収し送金データを作成し、そのデータを銀行へ送る際に管理会社または銀行側のシステムエラーによって振込がされないケースが存在します。
管理会社の経営が悪化
物件購入時に管理委託契約を結び、基本的にそれ以降は管理をまかせっきりとなるため、管理会社の経営状況などを把握することは非常に難しいと言えます。
ではなぜ管理会社の経営が悪化すると、オーナーへの家賃が振り込まれなくなるのでしょうか?
それは、入居者から管理会社に振り込まれた家賃を経営資金に回してしまうからです。
このような状況を業界では「家賃を喰(く)う」といいます。
経営が傾く管理会社はほぼこの状態に陥ることになります。
管理会社が倒産してしまうと、家賃の回収は事実上ほぼ不可能となり、オーナーさんが泣き寝入りることになります。
よって、未回収の家賃が高額になる前に動くことが肝心です。
場合によっては、弁護士などの専門家からのアドバイスも視野に入れて動きましょう。
株式会社ReVieの元グループ会社であるBLAZE社の家賃未納問題
業界の方からすれば、「やっぱりね」といったところでしょう。
株式会社ReVie(レヴィ)は代表の植西 剛士氏が2015年に設立した会社です。
以前はHEARTS Asset Management(ハーツアセットマネジメント)という社名でした。
そこから社名変更し株式会社ReVieに。
そこからさらに社名変更し現在はCAPITAL株式会社に社名を変更しているようです。
問題点をわかりやすく時系列にすると以下の通りです。
- ReVie社が投資マンションを販売
- そのマンションをBLAZE社が管理(サブリース)
- 2022年冬頃よりBLAZE社がオーナーに家賃滞納
- オーナーは家賃が入らず困ってしまう
簡単にいうとこのような形です。
私も過去にこの件について問題が表面化する以前からツイートしてました。
とある業者の中古ワンルーム投資のセカンドオピニオン依頼を受けた。
提案書を見ると相場よりも1万強高い金額でサブリース。
オーナーは毎月の建物管理費や修繕積立金も払わなくて良いらしい。
なんじゃそりゃ。やばすぎ。
飛ぶ前提なのか、数年で一気にサブを解約するのか・・・
今後が見もの— 東京1R (@fudousan_toshi) February 21, 2022
また、BLAZE社のサブリースを解約しようとしても、その先にさらにサブリース会社がはいっており、その会社のサブリースが解約できない問題も同時に浮上してきています。
これは過去に何度もこのブログ警鐘を鳴らしていた2重サブリース(通称サブサブ)と言われるものです。
通常のサブリースはこんな感じです。
2重サブリース(通称サブサブ)はこんな感じです。
つまり、今回運よくBLAZE社(賃貸管理会社Ⅰ)のサブリースを解約できても、その先にさらに賃貸管理会社Ⅱが存在しており、そのサブリースが外せない、という問題です。
サブリース付の物件は売却しにくい傾向にあり、相場と比較すれば値段が下がる傾向にあります。
よって、オーナーさんはサブリースを解約しようと躍起になりますが、サブリース会社は借地借家法を楯にサブリースの解約には簡単に応じないという状態になっています。
サブリースがどれだけ危険か?は過去記事に嫌というほど記載しておりますので、ご覧ください。
また、その家賃未納問題とは別にもう1つの問題が。
それが過払い金の請求である。
過払い金ってなんだよ、と思われるかもしれません。
サブリースは保証賃料を毎月振込する契約です。
先ず、そもそもこの保証賃料が非常に高く、入居者に貸出している家賃より高額の保証賃料を毎月オーナーに支払っていました(この時点で管理会社は赤字)。
しかもそれにプラスαで通常は物件オーナーが支払うべき「建物管理費・修繕積立金」を管理会社が負担する契約になっているものがほとんどでした。
その今までの管理会社の負担分を過払い金と称して、サブリース解約を申し出たオーナーに請求するという手法です。
売れば売るほど、ReVie社、BLAZE社は赤字になりますが、なぜわざわざそんなことしたの?と不思議に思うかもしれません。
答えは儲かるからです。
サブリースで高い金額の保証賃料契約書を金融機関に提示すればより高い融資評価がとれ、より高値での販売か可能になります。
つまり、売買利益が通常よりも多く出るわけです。
その多額の売買利益から毎月のサブリースの赤字分や管理費・修繕費をちょっとずつ補填するようなイメージです。
売り続けなければ破綻してしまう、まさに自転車操業というやつです。
かぼちゃの馬車と全く同じスキームですね。
管理会社から家賃が振り込まれない時の対処法
管理会社からの家賃の振り込みが停止したら早急に動きましょう。
対応が遅れれば遅れるほど被害は拡大する傾向にあります。
管理会社や担当者に何度も連絡し催促する
とにかく期日に家賃が振込されていないことを確認したら担当者に電話して事情を聴きましょう。
担当者が電話に出ない、退職しているような場合は管理会社に直接電話をかけましょう。
物件の賃貸管理を管理会社に委託する際に「管理委託契約書」や「サブリース契約書」を結んでいるハズなので、その契約書には家賃の送金日が明記されています。
その期日が守られていないわけですから、振り込みを催促するのは当たり前の行為です。
臆せずに強気で交渉しましょう。
何度もしつこく電話することで管理会社からすると「やっかいなオーナーだな・・・」と印象づけられれば、他のオーナーよりも優先的に家賃を振り込んでくれる可能性が高くなります。
最もダメなのは家賃の振り込みが無いことを知りながら放置することです。
管理会社からすれば「このオーナーは何も言ってこないから送金後回しにしよう」となってしまいます。
会社に直接訪問し催促する
遠方の方などですと容易でない場合もあるかもしれませんが、できれば直接訪問することが望ましいです。
直接尋ねてみたら既に会社は無く、もぬけの殻だった・・・なんてことも考えられます。
実際に会社を訪ねることで社内の雰囲気も分かると思いますし、電話よりも催促の交渉がしやすいのは確かです。
担当者の人柄なども判断の重要な要素となるでしょう。
振込について不確かな回答しか得られないようであれば、管理の解約についての約束もその場で書面で取り決めておくのがベターです。
賃貸借契約書を確認する
管理会社に電話がつながらなかったり、交渉しても家賃が振り込まれないような場合は、賃貸借契約書が手元にある場合には、入居者に直接連絡を取りましょう。
入居者に事情を説明して、管理会社への家賃振込をストップしてもらい、オーナーの口座に直接家賃を支払うよう交渉しましょう(リスク有。後述します)。
電話だけだど入居者からすれば詐欺の可能性を疑われてしまう場合もありますので、直接訪問or電話にてアポを取り付けて、自身がオーナーであることを証明をした上で交渉するのも1つの手です。
サブリースなどで直接入居者の連絡先が分からない場合や、賃貸借契約書が手元にない場合は早急に管理会社に書類発行を依頼する、もしくは所有物件に状況を説明した書類を入居者に郵送するのも有効です。
しかしながら、いくら家賃が振り込まれていないといえど、勝手に家賃振込先を変更したりすると、逆に管理会社から訴えられてしまう可能性もありますので、この手法にはリスクもあることを認識しておきましょう。
管理委託契約書、サブリース契約書の解除事由を確認する
契約書の内容は管理会社やサブリース会社によって様々です。
契約の解除事由も契約書によって異なり、契約書の内容によって様々です。
よって、先ずは管理委託契約書やサブリースの契約の解除事由を確認し、今回の家賃が振込されないことが解除事由に該当するのかどうかしっかりと自分で確認しましょう。
例えば、数カ月家賃振込が滞ることがあれば解約できなる、などと明示してある契約書も存在します。
そのような場合は解除事由に該当していることが明確なので、即時の契約解除もしやすい傾向にあります。
保証会社に連絡する
入居付けをする場合、多くの管理会社が保証会社を利用しています。
保証会社の審査に通過した人がお部屋に入居していることになります。
この場合、
- 入居者は保証会社に家賃を支払います。
- そして保証会社が管理会社に家賃を送金します。
- 最後に管理会社がオーナーに家賃を送金します。
これが一般的な流れです。
先にも述べたように、管理会社から家賃が振り込まれないからと言って、直接入居者に交渉し、いきなり振込先をオーナーに変更した場合。
保証会社に賃料が入金されないことになってしまいます。
保証会社側が事情などを全く知らない場合は、単純に入居者が家賃を滞納したと勘違いして、保証会社の保証が発動し、管理会社に保証家賃が振り込まれてしまう可能性もあります。
なので、保証会社を通している場合には必ず事前に保証会社にも相談したうえで管理の変更や家賃振込先の変更を行うように注意しましょう。
少額訴訟による債権回収
管理委託契約の解除に応じない場合や、無事管理が解約できた場合でも未回収の賃料がある場合は訴訟も検討しましょう。
弁護士に依頼するとなるとかなりの金額がかかるので、その費用だけで家賃を回収しても赤字になってしまう可能性があります。
そこでおすすめなのが少額訴訟です。
少額訴訟は請求額が60万円以下の場合のみ利用できる制度です。
訴状と証拠資料や書類などを簡易裁判所に提出し、原則として1回の審理で判決がでます。
書類の記入方法などは裁判所で親切に教えてくれます。
費用は数千円から1万円程度です。
管理会社が倒産すると起こる厄介なこと
管理会社が倒産してしまうと、オーナー側の被害も大きくなる傾向にあります。
家賃回収が難しくなる
既に会社が倒産してしまっているので、未納分の家賃の回収は非常に困難になります。
管理会社はすぐさま倒産する訳ではないので、家賃が振り込まれない期間が数カ月~場合によっては数年続き倒産することが多いです。
当然その未納期間が長くなればなるほとオーナー側の被害は大きくなります。
敷金が戻ってこない
敷金は入居者が入居時に支払う預り金です。
預り金なので、当然入居者のものです。
敷金は退去時の原状回復費用に充当されます。
その敷金はほとんどの場合、管理会社が預かっていることが多いです。
敷金の返還義務は契約上「貸主」が負うことになります。
つまり、オーナーが敷金を入居者に返還しなければいけないということです。
オーナーからすれば、管理会社が敷金を預かって、倒産したわけで、悪いのは管理会社だろ!と思うかもしれません。
しかしながら、入居者からすれば、自分が預けた敷金を管理会社に保管したのはオーナーだろ!という意見になります。
よって、管理会社が倒産すれば、オーナーから敷金を返せ!と返還請求されるリスクもあります。
契約書類などが確認不能になる
賃貸借契約書、保証会社の契約書、お部屋の鍵(スペアキー)、メールボックスの番号などは管理会社が保管しています。
会社が倒産してしまうと、これらの内容が確認不能となる可能性があります。
賃貸借契約書が確認できないと入居者の連絡先もわかりませんから、コンタクトを取るのが非常に難しくなる傾向にあります。
保証会社の契約が打ち切りになる
入居者が保証会社に加入している場合。
管理会社が倒産した場合、新たな管理会社にその保証契約を上手く引継ぎできれば良いですが、中にはその管理会社専属の保証会社なども存在します。
そのような場合は、新たな管理会社に保証契約を引き継ぎできません。
新しい管理会社を見つけたとしても、入居者に新たに保証会社に加入しなおしてもらうしかありません。
当然その加入費用はオーナーが負担するのか、入居者が負担するのか?
という問題が起こってきますので要注意です。
保証会社を通さなくても管理はしてもらえますが、夜逃げや、入居者の家賃滞納などのリスクが非常に大きくなるのであまりお勧めはしません。
ローン支払いができなくなることも
不動産投資ではほとんどの方がローンを組んで物件を購入します。
毎月の返済の原資は入居者からの家賃収入です。
その家賃収入が入金されなくなれば、オーナーは自腹でローンを支払い続けることになります。
1、2カ月程度であればなんとかなるかもしれませんが、それが長期化すれば間違いなく家計を圧迫することになるでしょう。
ローンが支払えなくなった場合についてはこちらの記事で解説しております。
管理会社が倒産する前兆
管理会社が急に倒産してしまうことは少ないです。
倒産に至るまでにはその前兆があります。
それが「賃料振込の遅れ」です。
毎月の賃料振込が遅れがちになり、その期間は徐々に長期化していく傾向にあります。
また、担当者や会社と連絡が取りづらくなる傾向もあります。
管理会社が完全に倒産してしまう前に管理の変更や未納家賃の回収に急がなければなりません。
管理会社選定のポイント
世の中には多くの管理会社が存在します。
会社が多すぎて何を基準に選んでいいのかも分からない方がおおでしょう。
手数料が安いという理由だけで決めるのは非常に危険です。
委託契約書の内容など細かくチェックしましょう。
過去記事にまとめてありますのでご覧ください。
まとめ
安定した賃貸経営を行うためには、信頼できる管理会社の存在が必須です。
しかしながら、管理会社も企業である以上、経営が傾く可能性もあります。
そんな時により早く、的確な対処をすることで、被害を最小限に食い止めるよう努力しましょう。