中古の投資物件を購入するときに「オーナーチェンジ」と記載がある物件資料をよく目にすると思います。
特に投資用の中古ワンルームなどはほとんどがオーナーチェンジ物件となっております。
今回はそんなオーナーチェンジのメリット・デメリットそして注意点やポイントに至るまでしっかりと解説していきます。
※動画ではさらに詳しく解説しております。
目次
オーナーチェンジ物件とは?
オーナーチェンジというのは、入居者がいる状態で物件が売買される、つまりオーナーが変わるという意味です。
つまり、オーナーチェンジ物件とは入居者がいる状態で売りに出ている物件を指します。
都内の投資用中古ワンルームマンション売買の場合はそのほとんどが「オーナーチェンジ」での物件売買となります。
入居者と旧オーナーの間で結ばれた賃貸借契約は新オーナーへと引き継がれます。
オーナーチェンジ物件が売りに出される理由
なぜ前オーナーは入居者がいて家賃収入が受け取れるにも関わらずその物件を売却するのでしょうか。
様々な理由が考えられますが、代表的なものを9つ紹介しましょう。
利益を確定するため
売買利益や賃貸収益の合計額がプラスになるため、その物件を売却する場合です。
以前のオーナーもしっかりと利益を出し売却しているので非常に理想的な売却理由とも言えます。
損切するため
物件を保有していても赤字収支が続き、このまま保有していても赤字が大きくなるばかりなので、早い段階で売却してこれ以上の損失を防ぐことが目的です。
毎月の家賃は入ってきているが、購入当初に想定したよりも大きく家賃が下落したり、そもそも購入時の価格が高すぎたりする場合はこのパターンが多いです。
物件の買い替え
既存物件を手放して、新たな物件を購入する場合です。
理由は様々ですが、さらに収益性の高い物件を購入する場合もあれば、より築年数の新しい物件を購入するなど、オーナーの考えによって様々です。
中長期の保有で減価償却が少なくなってきたから、さらに減価償却の取れる新しい物件に買い替える場合もあります。
管理が面倒
物件そのものの管理が面倒になって手放す場合です。
賃貸管理を業者に業務委託していればオーナーの手間はそれほどでもありませんが、オーナーさんが物件を自主管理しているような場合は非常に管理の手間がかかります。
そのような管理業務に疲れてしまい、物件を手放す人も珍しくありません。
家族や身内の反対
物件所有者の本人の意思に反して、家族や身内が物件保有に反対する場合です。
信じられないかも知れませんが、ワンルーム投資などをパートナーに内緒で購入する人もいます。
そのような場合、購入後にその事実がパートナーや身内にバレてしまい、大反対されることが非常に多いです。
住宅ローンが組めない
投資用のワンルームマンションを複数件ローンを組んで購入すると、例えばいざ自宅を購入しようと思った際に、希望金額の住宅ローンが組めないことがあります。
よって、自宅を購入するためにワンルームマンションを処分することも多いです。
無理やり買わされた
これは特にワンルームマンションなどに多いですが、無理やり営業マンに説得されてい嫌々物件を購入した場合などに多いです。
ワンルームマンション投資の営業マンはクロージングが強く、気弱な人だと断ろうにも断れずに購入に至るケースがあります。
そのような場合だと、物件の良し悪しに関わらず、不動産投資のメリットや内容すら理解していないので、不安だから手放したい!という人も少なくありません。
資産整理
将来的には子供に相続させる目的で投資物件を購入したが、当の子供たちに「いらない」と言われて売却に至るケースもあります。
また、不動産投資は中長期間にわたる非常に時間軸の長い投資です。
購入当時に思い描いたライフステージと異なる未来になり、資産を整理する目的で物件を売却する方も多いです。
トラブル
これは様々な種類のトラブルを含みますが、例えば入居者とのトラブル、管理会社とのトラブル、売主業者とのトラブルなどです。
入居者の属性が悪く家賃を滞納し続け、その対応に追われるのが嫌になる人もいます。
管理会社とのトラブルにおいては、高額な修繕費用を請求されたり、管理内容についてトラブルになることもあります。
売主業者とのトラブルにおいては、当初営業マンから説明された内容と実際の運用に大きな乖離があった場合などにトラブルが起きやすいです。
オーナーチェンジ物件を購入するメリット
それでは、オーナーチェンジ物件のメリットを先ずは解説していきます。
直ぐに家賃収入が入る
入居者が既にいるわけですから、物件を購入して直ぐに家賃収入をうけとることができます。
空室の状態であれば、入居者を募集する段階から始めなくてなりません。
よって、オーナーチェンジ物件であれば入居募集の段階をすっ飛ばして、いきなり家賃がもらえる状態からスタートできるメリットがあります。
しかしながら、購入後に退去となれば当然に家賃は入ってきません。
空室リスクが0という訳ではないので注意しましょう。
修繕履歴が確認できることも
旧管理会社や売主業者にお願いして、お部屋の中の今までの修繕履歴などを確認できることもあります。
中古物件の場合、部屋の中の設備は何がいつ壊れるのか?は非常に予測が難しいため、室内の設備などいつ交換したのか?
がわかれば、今後の投資計画も非常に立てやすくなるといえるでしょう。
割安な価格で購入できることも
オーナーチェンジ物件は相場より割安な価格で購入することができる場合もあります。
それは具体的にどういうときかというと、賃料が相場よりも安く入居がついている場合です。
業者から物件を購入する際に、提携金融機関を使う訳ですが、その金融機関の評価額(つまり●●●●万円まで融資するよ)が業者の販売価格となります。
そしてその評価額は収益還元法によってきまります。
よって、割安の賃料で入居が付いている物件であれば金融機関の評価額が低くなりますので、業者の販売価格も低くなる、というロジックです。
金融機関から融資を受けやすい
投資用の中古ワンルームマンションにおいては、ほとんどの場合不動産業者の提携金融機関を使って物件を購入することになります。
その融資を受ける場合には、入居中の家賃の金額によって価格が変動する傾向があります。
つまり、空室状態だと金融機関もそのリスクを加味した融資となり、融資金額が低くなったり、最悪の場合融資を受けられないということもあります。
リフォームの必要が無い
既に入居者がいる状態なので、お部屋の中を原状回復したり、クリーニングする必要はありません。
現状のまま物件を売買します。
これが空室状態ですと、お部屋をいったん綺麗にしてから入居者を募集しなければならない為、お金も時間もかかります。
当初の自己資金や資金計画にあまり余裕が無い人にとってはうれしいですよね。
オーナーチェンジ物件を購入するデメリット
次にオーナーチェンジのデメリットを詳しく解説していきましょう。
購入後、直ぐに修繕が発生
お部屋の中の状態が見れない為、購入後直ぐに室内の設備が故障し修繕費が発生する場合があります。
空室状態であれば、自分の目で設備の作動状況を確認できますが、オーナーチェンジではそれができません。
トラブルの多い入居者
賃貸経営において、トラブルを起こす入居者も一定数存在します。
中にはことあるごとにクレームを言ってきたり、隣人ともめ事を引き起こすような入居者も・・・
オーナーチェンジではそのような不良入居者のリスクもあります。
空室状態であれば、自分自身で入居者を決めることができるので、そのようなリスクを限りなく抑えることができます。
室内が見れない
オーナーチェンジの場合、入居者がいるため室内を見ることは基本的にできません。
入居者がどのようなお部屋の使い方をしているのか?を目視できないのです。
また、室内に瑕疵がある場合でもそれを入居者が管理会社に伝えない限り、基本的に退去までその瑕疵が発見されることもありません。
瑕疵とは、建物そのものについた傷や欠陥のことをいいます。
管理費・修繕積立金の滞納
投資用のワンルームマンションなどを購入する場合、建物管理会社に建物管理費と修繕積立金を毎月支払うことになります。
これは建物の共用部分を維持管理していくうえで、全てのお部屋のオーナーが支払わなければならない大切なお金です。
そんな管理費や修繕金を旧オーナーが滞納している場合があります。
もし、滞納があれば多くの場合は売買契約をする際に精算し、滞納を0にして引き渡すのが通常です。
しかしながら、旧オーナーが滞納金を支払えない状況だったりすれば、その滞納分は新オーナーの負担となることもあるので注意が必要です。
入居条件を変更できない
オーナーチェンジでは旧オーナーと入居者で結んでいる賃貸借契約を引き継ぐことになります。
つまり旧オーナーの契約内容がそのまま新オーナーにも適用されるということです。
物件購入後、新オーナーがその賃貸借契約の内容を変更したい!
となっても、入居者にとって不利になる内容のものは基本的に変更することは難しいと考えてください(例えば、賃料をいきなり上げる、退去させる、など)。
オーナーチェンジ物件で失敗を防ぐポイントと注意点
オーナーチェンジ物件を購入する場合にはチェックしなければならないポイントや注意点が数多くありますので、1つづつしっかりと見ていきましょう。
最新の賃貸借契約書をチェック
入居者属性
どんな人が入居しているのかしっかりとチェックしましょう。
生活保護者や定職についていないフリーターなどが入居者の場合は当然に家賃滞納のリスクも大きくなります。
サブリース、マンスリーなど
このブログでは何度もお伝えしておりますが、サブリースの物件を購入してはいけません。
サブリースは基本的に業者にとって都合よく契約内容を変えられる仕組みになっており、非常にリスクが高いと言えます。
また、マンスリー業者の借り上げにも注意しましょう。
お部屋をマンスリー業者が借り上げて、その室内に家具家電を設置し、マンスリー契約で入居者に貸し出すというものです。
このような状態のお部屋は通常の家賃相場よりも高値で貸し出されているパターンが多いので、収益還元法でいうと割高な価格設定のものが多いのが特徴です。
更新年月
基本的に都内のワンルームなどであれば更新は2年に1度の契約がほとんどです。
よって、次回の更新はいつになるのか?をしっかりとチェックしましょう。
更新されている場合には最新の更新契約書をチェックしましょう。
敷金の有無や精算
入居者から取る敷金は預り金といって、オーナーの報酬ではありません。
預り金なので、退去時に原状回復費用を差し引いて、残った分は入居者に返金しなければなりません。
この敷金を旧オーナーが受け取っている場合は、それを新オーナーへと引き継ぐことになります。
しかしながら、そもそも旧オーナーが敷金を受け取っていない場合は新オーナーに引き継ぐこともありません。
よって、そもそも敷金をちゃんと取ったうえで入居しているのか?
敷金をとっている場合はちゃんと新オーナーにその敷金が引き継がれて精算されているのかどうか?をしっかりとチェックしましょう。
ルームクリーニング費用
ルームクリーニング費用を入居者から受け取っている契約であれば、それも敷金同様に引き継ぐことができますので、契約時にちゃんと精算できているのか?を確認しましょう。
退去時にクリーニング費用を入居者から受け取る契約であれば、退去時ににクリーニング費用を請求することができます。
更新料
更新料がいくらか?を事前にしっかりチェックしましょう。
管理会社によりますが、通常更新料は管理会社とオーナーで折半する契約が多いです。
よって、更新の場合には賃料の半分がオーナーに入ってきます。
稀に更新料が無い契約も存在します。
そのような場合は、更新料が0なのでオーナーへの入金も0となります。
保証会社の加入状況
ほとんどの管理会社は保証会社を通して入居の審査を行います。
しかしながら、保証会社を通さずに入居している人も一定数存在ます。
このように、保証会社を通していない入居者の場合は注意が必要です。
保証会社を通していないと、家賃の滞納や夜逃げ時のリスクが非常に大きくなります。
万が一、保証会社を通していない入居者だった場合は新たに保証会社に加入してもらう、などの対応をしなければなりませんが、それには当然費用が発生します。
その際には費用負担は誰がするのか?などの問題にもなるので、事前に売主業者としっかり打ち合わせしましょう。
保証会社の引継ぎ
入居者が保証会社を通して、入居している場合は何の問題もないと思いがちです。
しかしながら、まれに保証契約が新オーナー(つまり新管理会社)に引継ぎできないことがあります。
オーナーが変わり、管理会社が変わるのならば保証は打ち切りになります!といった保証会社も存在します。
その際には上記同様の新たな保証会社加入の問題が浮上してくることになります。
解約予告期間
解約予告期間は契約書によって様々です。
一般的には1~2カ月程度の契約書が多いですが、念のため購入物件の解約予告期間は事前にチェックしておきましょう。
ペット
入居者がペットを飼っているような場合は注意が必要です。
ペット可の物件は通常のお部屋よりも原状回復費用が多くかかります。
また、今後入居募集をする際にペットのにおいなどが部屋にしみついて、一般の入居者に嫌悪される可能性もでてきます。
ペットを飼っている物件の場合は、最悪、今後もペット可としてしか入居募集できなくなる、というリスクも考えておきましょう。
専有部分の修繕履歴をチェック
室内の設備に関して、何がいつ壊れるか?を予測することは非常に難しいです。
しかしながら、過去にさかのぼってある程度の交換時期などがわかればそこから逆算して将来の故障した場合の出費を予測することも可能となります。
売主業者や仲介業者に室内の修繕履歴を確認してみましょう。
また、それと同時に室外(共用部分)の修繕履歴なども併せてチェックしましょう。
具体的には重要事項調査報告書、長期修繕計画、総会の資料、議事録などを確認することで、そのマンションの管理状態を把握することができます。
サクラ入居者の可能性
入居者がサクラ(仕込み)の可能性があります。
売主業者や旧オーナーの知り合いを一時的に入居させるというものです。
なぜわざわざそのようなことをするの?
と疑問に思うかもしれませんが、先にも述べたように空室状態だとワンルームの売却価格が低くなる傾向にあります。
そこで、知り合いなどを一時的に住ませることで入居中のオーナーチェンジ物件を意図的に作り上げることができるのです。
中には相場よりも高額な賃料でサクラの入居者を住まわせ、高値で売却し、引き渡しが終わったら退去するという悪質な事例も存在しますので、注意が必要です。
割高な賃料ではないか?をチェック
そもそも相場よりも割高な賃料で入居のついているオーナーチェンジ物件は要注意です。
賃料が高いと銀行の評価額も高く出る為、物件の販売価格が割高になる傾向にあります。
万が一入居者が退去した場合、次に募集をする際には相場家賃に賃料を下げて募集しなければなりません。
賃料が下がれば、収益還元法に基づき、物件の評価額も下がってしまいます。
つまり、賃料が下がった分、物件価値も下がってしまうということです。
物件の売り出し理由をチェック
物件の売却の理由は人によって様々です。
一般的にオーナーの都合(資産整理など)であれば特段大きな問題はないでしょう。
しかしながら、中には入居者から賃料の減額交渉を受けているような物件も稀に存在します。
そのような物件を購入してしまった場合、物件購入後に賃料が下がり思った収益が得られない可能性がありますので注意しましょう。
なぜ、旧オーナーがその物件を売却するのか?
仲介業者や売主業者にしっかりヒアリングしましょう。
賃貸管理会社との管理委託契約を解約
通常、オーナーチェンジで物件を売買する場合、新オーナーは新たな管理会社を自分で選択することができます。
しかしながら、旧オーナーと管理会社の契約上、その管理契約を解除できない場合もまれに存在します。
管理が解約できないとなれば、今後自分がオーナーになったとしても管理会社の変更は難しくなります。
それが原因でトラブルに発展する可能性もありますので注意が必要です。
まとめ
オーナーチェンジ物件は既に入居者もいて、いままでの運用実績のある物件です。
投資初心者の方でもスムーズに賃貸経営がスタートできるでしょう。
しかしながらオーナーチェンジ特有のデメリット(室内をみれないなど)も存在します。
メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、今回の注意点やポイントを参考に慎重に投資判断を行いましょう。