ワンルームマンション投資で値引き交渉は可能なのか?

ワンルームマンション投資で物件を値引きすることは可能なのか?

前回の業者利益のお話しに続き今回はワンルームマンション投資の値引き事情をお話ししていきましょう。

新築ワンルームマンションは値引き可能

新築のワンルームマンションに関しては値引き可能です。

具体的には物件購入に際しての諸経費や物件価格の数%程度です。

新築ワンルームは中古ワンルームよりも利益幅が大きく、1回の売買に際しての業者利益が大きいので、その分値引きも可能ということです。

新築ワンルームは中古ワンルームよりも購入時の諸経費が多くかかる傾向にあります。

新築の場合は諸費用全額の値引きなども可能です。

中古ワンルームマンションの値引きはほぼ不可能

中古ワンルームマンション業界はどんどん薄利になっています。

中古ワンルームマンション業者の利益について

中古ワンルームマンション投資会社の最新の利益事情を大公開

都内のワンルーム1部屋を売買する際の売主業者の利益は約150万程度にまで縮小してきています。

例えば、ここからお客さんが物件購入する際の諸費用(約50万)を値引きしたとすると、

150万(利益)ー50万(値引き分)=100万(売主業者最終利益)

業者に残る手残りは100万となります。

2500万の物件を売買した際の片手の仲介手数料は

2500万×3%+6万×1.1(消費税)=89.1万(仲介業者利益)

です。

せっかく売主で物件を仕入れて売買しているのに、値引きをしてしまうと、残る利益が仲介とほぼ同じになってしまうのです。

売主業者は一端物件を仕入れるわけですから、在庫のリスクもあります。

また売主責任として契約不適合責任も負わなくてはなりません。

利益が少ないうえに、販売上のリスクも負わなくてはならないとなると値引きが難しいのが理解できるでしょう。

中古ワンルームで値引き提案は要注意

そんな市況の中、未だに値引きの提案をしている業者もあるようです。

昨今のような状況でオーナーチェンジの中古ワンルームを値引き提案してくる時点で要注意です。

値引きができる背景をしっかりと理解しなければなりません。

結論からいうとほとんどの場合、このような物件を購入すると損をします。

値引きができるのはそれなりの理由が存在するからです。

先ずはどんな場合があるのかケーススタディにて学んでいきましょう。

高い評価のでる金融機関で販売

例えば、冒頭で不動産業者の利益幅のお話しをしましたが、それはあくまでオリックスやジャックスの評価額を元に算出した利益幅のことをいいます。

つまり、オリックスやジャックスよりも基本的に高い評価が出るような金融機関の場合(SBJ、イオン住宅、楽天、東京スター)は、業者側も一回の取引でより多くの利益が取れる為値引きも可能となります。

中古ワンルームの金融機関ごとの評価額と業者利益の仕組み図

このように、高い評価がでれば諸費用や価格の値引きも可能となるのが理解できるでしょう。

しかしながら、その値引き(例えば諸費用50万など)を加味したとしてもそもそもの購入価格が高いので、結局は割高で物件を購入しているのと同じなのです。

サブリース契約の承継物件

昨今、サブリース契約の承継物件が増えてきております。

通常、ワンルームを仕入れて業者が売主となって販売する際には、従前のサブリース契約などは全て解除した上で販売するのが王道です。

サブリース物件を売却する時の流れ

しかしながら、昨今のワンルームマンションのサブリース契約に関しては、そもそも解除できないものが多いのです。

従前のサブリース契約が解除できないと以下の図のような売買になります。

サブリース契約の承継物件の売買イメージ図

通常はワンルームの販売業者がその物件の管理も同時に行いますが、サブリース契約の承継物件の場合はその契約を引き継がなければなりません。

ワンルーム販売会社は単純な売買利益を得ることしかできず、管理収入を得ることができません。

よって、ワンルーム販売会社からすれば「サブリース契約の承継物件はできれば仕入れ販売したくない」というのが本音のところです。

しかしながら、冒頭でもお伝えした通り、通常のワンルームの仕入れが困難(薄利)になってきているので、このようなサブリース契約の承継物件も販売していかなければなりません。

ワンルーム販売業者も好き嫌いを言っていられない状況なのです。

ちなみにこのようなサブリース契約の承継物件の一般的な業者の利益幅は350~400万程度が一般的です。

実に通常仕入れの物件(利益幅150万)の2~3倍程度の利益を得ることができます。

よって、その分の値引きもしやすい傾向にあります。

しかしながら、サブリースに関してはデメリットやリスクが多く基本的にお勧めすることはできません。

よって、値引きにつられてこのようなサブリース契約の承継物件を購入しないように注意しましょう。

賃料がそもそも割高な物件

ワンルームの評価額は金融機関の収益還元法による評価で決まります。

賃料が高ければ、評価額も高くなり賃料が低ければ評価額も低くなります。

賃料が高い物件はそれだけ高い値段で売買できるので、業者に入る利益も多くなります。

また、仕入れ業者によっては入居者にお金を渡して、毎月の賃料を増額する契約書(新たな賃貸借契約書)を結ぶ悪質な事例も報告されています。

見せかけの入居者や一時的な高額賃料に惑わされない為にも、しっかりと自分自身で物件周辺の賃料相場をリサーチするように心がけましょう。

訳あり物件

ワンルームマンションの訳アリ物件は様々な種類が存在します。

  • 一定の銀行から融資を受けられないマンションシリーズ
  • 一定の銀行から融資を受けられない管理会社
  • 一定の銀行から融資を受けられない法人入居者
  • 問題を抱えた入居者
  • 近隣に嫌悪施設
  • 法的瑕疵物件(既存不適格など)、心理的瑕疵物件
  • 事故物件

など注意しなければならない物件は数多く存在します。

まとめ

値引きやサービスで投資マンションを契約するのはやめましょう。

ひと昔前であれば物件価格や諸費用の値引きは当たり前に行われていました。

しかしながら、昨今の中古ワンルーム市況を鑑みると売主物件の値引きはほぼ物理的に不可能ということがお分かりいただけたでしょう。

あくまで皆さんが投資するのは物件そのものです。

ちょっとした値引きやサービスに心躍らされてはいけません。