マンション投資や不動産投資をする場合にほとんどの方がローンを組んで投資を始めます。
その際に使用するローンが不動産投資ローンです。
自宅として物件を購入する場合は一般的な住宅ローンを使います。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い、どっちを先に組んだ方が良いのか?、併用することはできるのか?またその時の注意点など詳しく解説していこうと思います。
※動画ではさらに詳しく解説しております。
目次
不動産投資で住宅ローンは組めない?
結論から言うと、不動産投資をする場合に一般的な居住用の住宅ローンは使えません。
不動産投資をする場合は不動産投資ローンを使います。
自宅を購入する場合は居住用の住宅ローンを使います。
不動産投資ローンはあくまで投資用物件(賃貸経営)としてアパートやマンション、戸建てなどを事業として購入する為の融資です。
なので投資用物件を購入する際に居住用の住宅ローンを使うことはできません。
しかしながら、昨今フラット35の不正利用の報告が相次いで社会問題となっています。
フラット35は長期固定金利の住宅ローンであり、そのフラット35を使って投資物件を購入するという悪質な事例です。
住宅ローンで投資物件を買おうとする人がいる理由
では、なぜわざわざ投資物件を購入するのに不動産投資ローンを使わずに、フラット35などの住宅ローンを不正利用してまで使おうとするのか?
と疑問に思う方もいるでしょう。
その答えは融資条件にあります。
一般的な住宅ローンの金利は0.5~1.5%程度であり、投資用ローンの金利は1.6~4%程度となっています。
つまり、金利が住宅ローンの方が低いのです。
投資物件を安い金利で購入できればそれだけ毎月の返済も少なくなり、物件オーナーにとっては大きなメリットとなります。
もちろん貸し出す側の銀行(フラット)としては、居住用として融資しているわけですから、許可なく人に投資用として貸し出されると困ってしまう訳ですね。
もし、このようなことが銀行(フラット)側にバレると一括返済の対象となります。
絶対に融資の不正利用はしないように注意しましょう。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンと住宅ローンの違いを細かく見ていきましょう。
融資の目的の違い
そもそもの融資の目的が異なります。
不動産投資ローンは投資物件用、住宅ローンは自身の居住用。
返済原資の違い
不動産投資ローンは賃料収入を主な返済原資とし、住宅ローンは個人の給与やボーナスなどの収入が返済原資となります。
ローンの審査基準の違い
不動産投資ローン、居住用ローンともに個人の与信を審査対象とすることは共通しています。
しかしながら、不動産投資ローンは、投資対象の物件そのものの収益性や立地などもその審査対象となります。
一般的な審査難易度としては
不動産投資ローン>居住用ローン
となります。
融資限度額の違い
フラット35の利用者調査(2021年度)によると、フラット35を使用して自宅を購入した方の年収倍率が6~7倍程度が平均と言われています。
不動産投資ローンにおける限度額は購入する物件や保有物件の状況によってもことなりますが、一般的にオリックス銀行やジャックスにおいては年収倍率は8倍とされています。
しかしながら、不動産投資ローンの場合いくつかの銀行を組み合わせて融資を効率よく組むことで年収の10倍以上の融資金額を引き出すことも十分に可能です。
年齢制限の違い
申込時の年齢
- 住宅ローンは、20~65歳未満としている金融機関が多いです。
- 不動産投資ローンは、25~60歳未満としている金融機関が多いです。
完済年齢
- 住宅ローンは、80歳未満としている金融機関が多いです。
- 不動産投資ローンは、85歳未満としている金融機関が多いです。
20代前半だとあまりに若い為、不動産投資ローンの融資審査で否決となってしまう場合もありますので注意が必要です。
ローン金利の違い
一般的に住宅ローンは不動産投資ローンよりも金利が低く設定されていることが多いです。
不動産投資は物件価格や賃料の下落、空室などのリスクもあるため不動産投資ローンは金利が高く設定されているのです。
おおよその金利としては
- 住宅ローンの金利は0.5%~1.5%
- 不動産投資ローンの金利は1.6~4.0%
不動産投資をすると住宅ローンは組めなくなるのか?
不動産投資をしたからと言って、必ず住宅ローンが組めなくなるわけではありません。
しかしながら、住宅ローンが組みにくくなる可能性があるので注意が必要です。
特に金融機関の審査においては主に2つの要素「与信枠(総借入額)」と「返済比率」が重要となってきます。
与信枠について
先ほども記載しましたが、銀行からいくらでも融資が引けるわけではありません。
銀行にもよりますが、年収に対しての貸付限度額(融資限度額)が存在します。
例えば年収500万の人が都心の新築ワンルームマンション3500万をフルローンで購入した場合、その後に自宅を購入しようとしても既に投資用マンションで
- 500万/年収×7倍=3500万
の不動産投資ローンを組んでいるので、新規に住宅ローンを組む与信枠が無いのです。
しかしながら、一部の金融機関(例えば三井住友信託銀行の全国保証型)ではワンルームのローン残債などを無視して住宅ローンを組ましてくれる金融機関も存在します。
返済比率について
住宅ローンを組むうえで重要な考え方の1つにこの返済比率があります。
返済比率とは年収に対して占める年間のローン返済額の割合を示す数値のことです。
返済比率の考え方をわかりやすく図にしたのでご覧ください。
一般的な返済比率は35%以内の金融機関が多いです。
もちろん年収や資産状況が良ければ40%以内と多めに見てくれる銀行もあります。
上記の事例の場合は返済比率が35%を大きくオーバーしているので、今の状況だと3000万の住宅ローンを組むことは不可能という結論に至ります。
不動産投資しながら自宅購入は可能か?
結論から言えば可能です。
ただし、先ほども書いたように自宅購入の際の選択肢が狭まる可能性がありますので要注意です。
欲しい自宅が購入できない
不動産投資ローンの影響で返済比率や与信枠が狭まり、居住用の住宅ローンの組める金額が制限されてしまう可能性があります。
組めるローンの金額が制限されれば、必然的にローンで購入できる自宅の選択肢も狭くなります。
結果的に欲しい自宅が購入できなくなってしまいます。
不動産投資のせいで自宅が購入できない時の解決策
不動産投資ローンを多額で組んでしまい、自宅のローンが組めない、そんなときの対処法をいくつかご紹介しましょう。
投資物件の売却
これが最も効果的かつ確実な手法です。
売却してしまえば、不動産投資ローンは無くなりますし、毎月の返済もなくなります。
しかしながら、投資用ワンルームマンションなどの場合は購入して間もない状態だと
- ローン残債>売却価格
と赤字になってしまう場合も多く、売るためには多額の現金が必要だったり、そもそもその現金を用意できなければ売ろうに売れないという状況の方が非常に多いのも事実です。
借り換え
金利の高い銀行で不動産投資ローンを組んでいる場合は、その金利を低金利の銀行に借り換えするのも1つの手です。
金利が下がれば毎月の返済額は少なくなるので、その分返済比率に余裕が生まれます。
繰り上げ返済
所有しているワンルームマンションに繰上げ返済をして、毎月のローン返済額を下げ、そして借り入れの残債も減らす方法です。
返済額が少なくなった分、そしてローン残債が減った分返済比率や与信枠に余裕が生まれます。
自宅購入時に頭金として現金投入
満額の住宅ローン(フルローン)は難しくてもある程度頭金を入れることでローン金額を減らせば融資を受けることが可能となる場合があります。
ワンルームマンションは手放したくない、でも自宅は買いたい!そんな人にはこちらがお勧めです。
しかしながら、そもそも現金資産が無い方だとこの手法は使えません。
とにかく多くの金融機関にヒアリング
住宅ローンに融資してくれる銀行は無数に存在します。
大手のメガバンクが駄目だったからと言ってあきらめてはいけません。
地方銀行や信金、ネット銀行などとにかく数多くの銀行に融資相談を行うことが大切です。
不動産投資ローンと住宅ローンの順番について
どちらを先に組んだ方が良いのか?
と聞かれれば、結論は「人によって異なる」です。
例えば、年収が500万前後の方が直近(向こう1、2年)で自宅を購入しようと考えているような場合は、不動産投資は後回しにした方が良いでしょう。
500万程度の年収だと、年収倍率から考えても不動産投資ローンを組んでしまうと、自宅購入に悪い影響(思ったほど住宅ローン組めない、そもそも住宅ローンが組めない等)がでてくる可能性が高いです。
自分自身の年収倍率と返済比率を考えて、不動産投資と住宅購入のどちらを先に行うか慎重に判断しましょう。
先ほども言ったように不動産投資ローンを組んだら住宅ローンが組めなくなるわけではありません。
一定の与信の範囲内で投資すれば両方とも手に入れることも十分に可能と言えます。
自宅購入前に不動産投資をする場合は、将来購入する居住用の住宅ローンの与信枠を残した中で、不動産投資ローンを上手く活用すればよいのです。
投資物件の確定申告で住宅ローン控除は受けられる?
不動産投資では住宅ローン控除(減税)を受けることはできません。
住宅ローン控除(減税)は、正式名称「住宅借入金等特別控除」と言います。
簡単に言うと、「自分が住む家を住宅ローンで購入orリフォームする為に住宅ローンを組むと、所得税と住民税がかなり安くなる」という制度です。
具体的には年末の住宅ローン残債の1%(2022年からは0.7%)分の税金が控除(約10~13年程度)される仕組みを言います。
しかしながら、投資用物件の場合は居住用の住宅ローンではない為この制度が使えません。
よく不動産投資が節税になると言いますが、この住宅ローン控除と不動産投資の節税をごっちゃにする人が多いので注意してください。
不動産投資における節税は以下の通り。
投資物件を所有すると確定申告をする必要があります。
不動産所得は総収入金額(家賃収入)から以下のような経費を差し引くことができます。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 減価償却費
- 火災保険料
- 地震保険料
- ローンの支払い金利の一部(建物部分)
- 建物管理費、修繕積立金
- 賃貸管理手数料
- 設備交換やリフォーム代金など
投資用ワンルームマンションなどの場合、購入当初数年間は家賃収入以上に上記経費が多くかかり、不動産所得が一時的に赤字状態になります。
その不動産所得の赤字と給与所得を損益通算することで、課税所得が下がり、結果的に納める税金(所得税・住民税)が低くなる(節税)のです。
不動産投資で騙されない為には1Rシミュレーション
不動産投資には様々なリスクが存在します。
今回ご紹介したような投資物件を住宅ローンを使って購入させる悪質な業者も未だに無くなりません。
このような悪質な業者や粗悪な物件を掴まされない為にも東京1Rの開発した1Rシミュレーションをご利用ください。
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まとめ
不動産投資ローンと居住用の住宅ローンの違いをしっかりと理解し、それぞれの特徴を理解した上で不動産投資に取り組むことで、将来的な自宅購入時のリスクを最小限に抑えることができます。
また、既に不動産投資を始めている場合でも自宅を購入する為にできる解決策も上記のように存在しますので是非お試しください。