昨今、不動産投資の中でもワンルームマンション投資がサラリーマンに人気です。しかしながら、知識の無い状態でサブリース契約でワンルーム投資をはじめてしまい、契約内容や購入物件に後悔される方も多いです。
ワンルームマンション投資の中でも代表的な失敗事例とされるのがサブリースです。サブリース契約は空室時の賃料保証をしてくれる効果があるため、不動産投資初心者にとっては魅力的に見えるかもしれません。しかしながら、その特性や契約内容、デメリットなどをしっかしと把握しないと取り返しのつかない失敗をしてしまう可能性が高いです。
結論から言いますが、ワンルームマンション投資でのサブリース契約はお勧めできません。今回はサブリースがなぜおすすめできないのか?デメリットだけでなくメリットにもスポットを当てて様々な角度から見ていきましょう。
目次
サブリースとは?その仕組みと基本概要
サブリース契約とは?またマスターリース契約についてもその仕組みと基本構造を見ていきましょう。
サブリースとは?
サブリースが分からない人の為に。サブリースは、別名「家賃保証」とも言われます。通常はオーナーと入居者(一般人)の二者間で賃貸経営が成り立つわけですが、入居者が退去した場合に空室がリスクとなります。そこで、その空室リスクを払拭するために不動産業者に入居者になってもらうのです。そのお部屋の入居者となった不動産会社はそのお部屋を今度は貸主の立場となって入居者(一般人)に転貸(貸し出す)するのです。こうすることで、オーナーの立場からすれば入居者が退去してもお部屋の借主はあくまで不動産会社なので、毎月一定の家賃(サブリース家賃)が保証される仕組みとなっています。
分かりやすく図にすると以下のような形式です。
一般の入居者が支払う賃料が10万円だとすると、間に入っているサブリース管理会社は1万~2万程度のサブリース手数料を取ります。残った9万円~8万のサブリース賃料を毎月オーナーに支払うのです。
例えば入居者が退去してお部屋が空室になった場合、通常の管理契約であればオーナーに家賃は入ってきません。しかし、サブリース契約はオーナーからすれば入居者=不動産会社となります。その先(転貸先)の入居者がいようがいまいが、毎月一定額のサブリース賃料(9万~8万)を受け取れるという仕組みなのです。
「家賃保証」や「空室保証」という呼び方をされることもあります。
本来サブリースは転貸を意味し、不動産会社と入居者との間で結ばれる契約を指しますが、上記の図のようにマスターリースとサブリースを厳密に使い分けることは少なく、このような転貸方式を相称して「サブリース契約」と一般的に呼ばれています。そのため実務面でいうと、オーナーと不動産会社のマスターリース契約もサブリース契約と呼ぶことが多いです。
マスターリースとは
マスターリースとは一括借り上げを指し、オーナーとサブリース会社で締結される賃貸借契約のことをいいます。
厳密に言えばサブリース契約はサブリース会社と入居者との契約を指しますが、厳密に使い分けることは少ないです。不動産会社がお部屋の入居者になり、それを実際の入居者に転貸する仕組みそのものをサブリースと呼ぶのが一般的です。
サブリースの相場金額は?
サブリースの業者手数料は一般的に家賃の10~20%に設定している管理会社が多いです。例えば賃料が10万円のお部屋があったとすると、サブリース会社はその家賃の中から1~2万円程度の手数料をさしひいた8万~9万を保証賃料としてオーナーに振り込みます。つまり、サブリース賃料として現況家賃の80~90%を保証するという考え方です。
都内のワンルームマンションは入居率も高いので、比較的高い水準で家賃保証してもらえる場合が多いです。物件の立地が地方に行けば行くほど保証率も下がる傾向にあります。考えてみれば当然のことです。保証をしてしまうと、入居がいなくとも一定の保証賃料を払わなければならないので、賃貸需要の無い立地でサブリースをすることは管理会社のリスクとなるからです。
しかしながら、昨今ではこのサブリースが非常に大きな問題となっております。実際に入居需要の無い立地の物件などにも高い金額のサブリース保証を付けて無理くり物件を販売しているような会社も少なくありません。どうしてそのようなことをするのでしょうか。そのようなことをすれば、管理会社が高額サブリース賃料を保証しなければならないので、管理会社が損をするのでは?と思われるかもしれませんが、実はそうすることで利益を上げる以下の記事のような悪徳な会社も存在するのです。
【ワンルームマンション投資での家賃保証(サブリース)の闇に迫る!】
サブリースのメリット
サブリースのメリット以下の通り。
- 空室の心配をしなくても良い
- 滞納の心配をしなくても良い
- 将来の資金計画を立てやすい
- 管理の手間が省ける
- AD(広告費)や原状回復費用の負担減
- 確定申告が楽になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
空室の心配をしなくても良い
不動産投資における最大のリスクは空室です。入居者がいなければそもそも家賃収入が入らず、賃貸経営が成り立たなくなってしまいます。
サブリース(マスターリース)のメリットはオーナーが空室の心配をしなくて良いところです。転貸先の入居者が退去したとしても、マスターリース上の入居者は賃貸管理会社(不動産会社)になっているため、オーナーには毎月決められた賃料が必ず入金される仕組みになっています。
滞納の心配をしなくても良い
保証会社を付けずに入居者を付けた場合、入居者が家賃を滞納すると、オーナーへの賃料送金もストップすることになります。しかしながら、サブリース契約であれば転貸先の入居者が家賃を滞納したとしても毎月の賃料送金がストップすることはありません。あくまでお部屋の入居者は賃貸管理会社(不動産会社)になっているため、オーナーには毎月決められた賃料が入金されます。
将来の資金計画を立てやすい
入居者がいつ退去するかを予測することは難しいです。しかしながらサブリース契約であれば契約期間中は一定額の家賃が必ず入るため将来的な資金計画を立てやすいといえます。
管理の手間が省ける
通常の管理形態だと、入居者トラブル、室内の設備の故障、入退去の連絡など定期的に管理会社とオーナーでやり取りすることになります。オーナーによってはそのやり取りが煩わしかったり、面倒に思う人も少なくありません。しかしながら、サブリースであれば基本的に管理会社(不動産会社)と入居者でやり取りするため、オーナーの管理の手間を省くことができます。
AD(広告費)や原状回復費用の負担減
一般の管理形態の場合は空室時、次の入居者を募集する為のAD(広告費)や原状回復費が必要となる場合があります。これらは基本的にオーナー負担です。しかしながら、サブリースの場合は基本的にこれらの費用全てを賃貸管理会社(不動産会社)が負担してくれます。つまり、オーナーからすれば入退去の際の出費を低く抑えることができます。
確定申告が楽になる
不動産投資をする際には帳簿をつけて、毎月の入出金やかかった経費の内訳などを記載しておく必要がります。1部屋だけなら個人でも無理なく対応できると思いますが、これが複数件になればその分管理も煩雑になります。しかしながら、サブリースの場合は毎月の家賃も定額なのでその分管理も楽です。
サブリースのデメリット
サブリースのデメリットは以下の通り。
- 手取りの賃料が少なくなる
- 自分で賃料を決められない
- 礼金や更新料を全て管理会社に持っていかれる。
- 保証賃料は減額リスク
- 管理会社からサブリースを一方的に打ち切られる
- 解約するのに多額の違約金がかかる
- そもそも解約できない
- 入居者を選べない(誰が住んでいるかも分からない)
- 売却が非常にしづらくなる
- 借り換えがしづらくなる
- サブリース会社倒産リスク
- 賃貸経営の全容が分からない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
手取りの賃料が少なくなる
オーナーの手元に入ってくる家賃は、転貸先の入居者が支払う家賃の80~90%程度になります。差額は賃貸管理会社(サブリース会社)の儲けとなります。
自分で賃料を決められない
お部屋の貸出賃料(転貸賃料)を決めるのはあくまで賃貸管理会社(サブリース会社)です。オーナーは自分でも貸出賃料の相場をしっかりと確認し、サブリース会社の決めた転貸賃料とサブリース賃料に大きな差がある場合には必ず理由を確認しましょう。
礼金や更新料が入らない
通常の管理形態の場合は、礼金や更新料が入れば、管理会社とオーナーで折半する場合が多いです。しかしながら、サブリース契約の場合はその全てが賃貸管理会社(サブリース会社)に入る仕組みになっています。
保証賃料は減額リスク
サブリース会社の決めたサブリース賃料(保証賃料)は将来にわたって保証される訳ではありません。定期的に賃料の見直しが行われ、定期的に保証額が減額されるリスクがあります。
物件購入後に直ぐに保証賃料が減額されてしまったり、この手のトラブルが頻発してますので注意しましょう。
管理会社からサブリースを解約されるリスク
サブリース契約の場合、賃貸管理会社(サブリース会社)から契約を簡単に解除することができます。考え方としては、サブリース会社はあくまでお部屋の入居者であるため、そのお部屋から単純に退去するというイメージです。
解約するのに多額の違約金がかかる
オーナー側からサブリースを解除するのにサブリース会社から多額の違約金を請求される場合があります。一般的には賃料の6か月分程度の違約金を支払って合意解約に応じてくれる賃貸管理会社(サブリース会社)場合が多いです。しかしながら、中には2年分の家賃を違約金として請求してくるなど、超高額な違約金を請求してくるサブリース会社もあるので注意しましょう。
サブリース契約を解約できない
いくらか違約金を支払えば、サブリース契約を解除・解約してくれるならばまだマシです。昨今のサブリース会社においてはいくら違約金を支払おうともサブリースの解約に合意してくれないケースが多発しております。その際のサブリース会社の言い分としては「借地借家法における正当事由が無いため解約できない」という内容です。借地借家法では入居者が手厚く保護される傾向にあり、今回はサブリース会社が入居者の立場となるため、オーナーとのパワーバランスでいえば、サブリース会社が圧倒的に強い立ち位置となってしまうのです。
入居者を選べない(誰が住んでいるかも分からない)
通常の賃貸管理契約の場合は、入居者選定はオーナーの権利です。自分が嫌だな、と思う入居者は断ることも可能です。しかしながら、サブリースの場合はあくまでお部屋に入居しているのはサブリース会社の為、誰に転貸しようともサブリース会社の自由となります。よってオーナーは転貸先の入居者にまで口をはさむことはできなくなってしまうのです。
売却がしづらくなる
基本的に物件を売却する際にはサブリースを解除して売却することをお勧めします。しかしながら、昨今のようにサブリース会社が借地借家法を盾にサブリース契約が解除できない物件も増えています。そのような物件はサブリース継承物件(サブリース契約を次オーナーが引き継ぐ)として売却するしかありません。
サブリース継承物件は通常の管理形態の物件に比べると大きく価格が下がります。その理由としては不動産投資家の多くがサブリースの危険性や自由度の低さを理解しているため、敢えてそのようなサブリース継承物件を選んで購入することが無いためです。よって価格も通常管理の物件に比較すれば安くなってしまいます。
また、入居者がサブリース会社である以上、勝手に物件を売却することもできません。
借り換えがしづらくなる
金利が高く、収支改善をするために借り換えを行う場合にサブリース契約が邪魔になることがあります。借り換えは今より金利の低い銀行でローンを組みなおす行為をさします。借り換え先の銀行でのローン審査の際にはマンションの収益性も見られるため、物件の転貸先賃料などの資料が必要となります。
サブリース契約の場合、サブリース会社はオーナーに対して転貸先の賃料や貸出先(誰に貸しているのか?)を教える義務はありません。
サブリース会社にもよりますが、転貸先賃料の明細や資料の提示を拒むサブリース会社も一定数存在します。そうなると、マンションのサブリース賃料は分かっても、転貸先賃料が分からない、という状態になります。これが原因で銀行からの借り換え審査でNGを受けてしまうケースがあります。つまり、借り換えができなくなる、ということです。
サブリース会社倒産リスク
昨今、サブリース会社(賃貸管理会社)の倒産が問題となっています。サブリース会社が倒産してしまうと、入居者はサブリース会社に家賃を入金しているため、オーナーには家賃が入金されなくなってしまいます。また、入居者から預かっている敷金も返還できなくなる場合も多いです。サブリースの場合は転貸先の入居者が誰かも分からないので、直接入居者に家賃を集金しに行かなければならない可能性もでてきます。
そのような場合では、弁護士を通じてサブリース会社と交渉し、管理契約の解除や鍵の受け渡し、新しい管理会社への管理移管などお金、手間、時間がかかることになります。
賃貸経営のノウハウが身につかない
サブリース契約は運営のほとんどをサブリース会社に依存する仕組みです。その結果として、運営プロセスで重要な「入居者募集」「家賃設定」「入居者対応」などの関与することができません。
また、空室リスクを実感することもなく、そのような状態では賃貸経営の課題を見つけることも困難です。自分の物件について何も分からない状態では売却のタイミングを見出すこともできませんし、物件の魅力を高める為の施策なども経験できません。つまりサブリース契約では運営に関するノウハウが蓄積されないということです。
せっかく収益不動産を保有しているにも関わらず、賃貸経営のことは何一つ分からない。分からないがゆえにサブリース会社とのトラブルがあった際にも対処方法が全く導き出せない。売却もどうしてよいか分からず、不動産業者の言いなりで、相場よりも低い価格で買い叩かれ売却して損をしてしまう人が非常に多いです。
サブリースをめぐるトラブル一覧
サブリースをめぐるトラブル一覧を解説します。
一方的なサブリース賃料の減額&解約
サブリース賃料(保証賃料)は変動します。「長期一括保証」などと謳っていますが、数年ごとに保証賃料はドンドン下落していくと思ってください。賃料は改定しない!という旨の記載が契約書にあったとしても、管理会社は保証賃料を下げることができます。それって契約違反じゃないの?詐欺じゃないの?と思われるかもしれませんがそうではありません。借地借家法第32条1項の以下の文章を読んでください。
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。
ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
簡単に言うと、価格や賃料が下がったり、経済の事情で回りと比べて賃料が不相当になったら、どんな契約条件(○○年定額の家賃保証など)であろうとも賃料を減額しても大丈夫。ということが書いてあるのです。サブリースは貸主(オーナー)、借主(管理会社)の図式なので、この借地借家法によって借主であるサブリース会社(管理会社)は守られてしまうのです。
これと同様に借地借家法第28条の以下の文章を読んでください。
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。(借地借家法第28条本文)
簡単に言うと、オーナーから入居者さんに「出て行ってよ!」という為には、「正当事由」が必要。ということが書いてあります。ここでいう「正当事由」とは「家賃の滞納」や「建物が老朽化し非常に危険な状態」などかなり切迫した状況のことを言います。単純にオーナー都合の「物件を売却したいからサブリースを解除したい」というのは正当事由にあたりません。つまり、オーナーから入居者に出て行ってもらうのは非常に難しいということです。今回はサブリース契約なので、入居者=サブリース会社(管理会社)となりますので、サブリースを解約することは「入居者である管理会社に出て行ってもらう」のと同じことになります。
しかしながら、その逆はどうでしょう。つまり、入居者から「このお部屋出ていきたい!」と言った時です。一般的に考えれば特に理由もなく、お部屋を出ていくことは可能ですよね。これはサブリース契約も同様です。結局、サブリース契約は入居者が管理会社ですから、管理会社から「このお部屋でていきたい!(サブリース解約したい!)」と言われればサブリースは解約できてしまう仕組みになっているのです。
なので、
- 35年長期家賃保証!
- 定額家賃保証!
- 家賃の下落幅を一定のパーセンテージに固定!
などと謳って、サブリースを必死に勧誘している新築ワンルーム業者もいるようですが、その契約内容はまさに絵に描いた餅です。よってその内容に違反しても、借地借家法によって管理会社が守られる仕組みになっています。サブリースのトラブル事例は以下の記事をご覧ください。
新築業者の「物件の立地が良いから家賃保証できるんですよ!」という一見筋の通った営業トークは絶対に信用してはいけません。
【シノケンの35年サブリース(家賃保証システム)について問い合わせてみた。】
二重サブリース契約(サブサブリース)
これは最近の新築ワンルームに非常に多いパターンです。大手の新築ワンルームでも普通によくあるケースなので注意してください。通所のサブリースと2重サブリースの違いを見てみましょう。
通常のサブリースは以下のような形態を指します。
投資用のワンルームマンションは販売会社がその物件の賃貸管理会社を兼ねていることがほとんどです。よって、オーナーがサブリースを選択した場合には、売主業者兼管理会社とサブリース契約をすることになります。そして、売主業者兼管理会社はその物件の入居者となり、そのお部屋を一般の入居者へと転貸するのです。これが一般的なサブリースの仕組みです。
次に2重サブリース(サブサブリース)は以下のような状態を指します。
最近新築ワンルームで多いのがこのモデルです。売主業者兼管理会社(賃貸管理会社Ⅰ)が別の賃貸管理会社Ⅱへさらにサブリース契約を結ぶのです。そして、賃貸管理会社Ⅱは一般の入居者へと転貸するのです。お団子のような状態です。結局このモデルで損をするのはオーナーさんと入居者さんです。なぜなら間に2社入ることで、その分余計なマージンがかかることになります。
例えば、多額の違約金を払ってオーナーさんが賃貸管理会社Ⅰとのサブリース契約を解約したとしましょう。しかし賃貸管理会社Ⅰと賃貸管理会社Ⅱのサブリース契約は生きている訳です。賃貸管理会社Ⅰの地位をオーナーが継承するので、結局はオーナーと賃貸管理会社Ⅱとのサブリース契約は残ったままです。あくまで、賃貸管理会社Ⅱもそのお部屋の入居者という立場でお部屋の契約をしているわけですから、その入居者(賃貸管理会社Ⅱ)を無理に追い出すことはできません。そうなれば、サブリースの解約も難しくなってしまいます。また、こちらでも解約に際して違約金が必要となることもありますので、2重で違約金を支払う形になります。
今までの事例を見る限り、管理会社Ⅰとのサブリース契約が解約できたとしても、管理会社Ⅱとのサブリース契約までは解除できないケースが多いです。つまり、結局はサブリース継承物件として物件を売却するか、保有し続けるかの選択となってしまいます。
サブリースで成功する為には?
サブリース契約はおすすめできませんが、どうしてもサブリース契約をしたい場合には以下の点に注意してサブリース契約をしましょう。
- サブリース会社の信頼性
- 契約内容の詳細確認
- 物件の収益性や競争力把握する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
サブリース会社の信頼性
サブリース契約によるトラブルを避けたいのであれば、契約内容を明確に説明してくれる業者を選択しましょう。また口頭で簡単にサブリースの内容を説明し、サインを迫ってくるような業者は要注意です。サブリース会社選定においては会社の財務状況も大切です。例えば管理戸数や従業員数、資本金なども1つの指標と言えます。また、googleの口コミやxなどで業者名を検索し、ネガティブなキーワードやトラブル事例が出てこないかどうか?もしっかり見ておきまよう。
サブリース契約内容の詳細確認
サブリース契約書の内容に関しては以下をチェックしましょう。
- 保証賃料
- 保証期間
- 賃料の見直し条件
- 広告費や原状回復費用
- 契約更新や手数料
- 解約条件
- 免責期間
それぞれ詳しく見ていきましょう。
保証賃料
サブリース賃料(保証賃料)が適切かどうか?判断しましょう。サブリース賃料の相場は、通常の貸し出し賃料の80~90%程度となっております。物件周辺の類似物件の間取り、築年数、広さなども勘案して相場賃料を割り出して実際に計算してみましょう。
極端に保証賃料が低い場合や、逆に極端に保証賃料が高い場合などは要注意です。なぜその保証賃料になるのか?しっかりサブリース業者と打ち合わせし確認しましょう。
契約期間
サブリース契約は契約期間が2年~3年程度で自動更新されるものがほとんどです。極端に長い契約期間が記載されていたとしても、基本的にサブリース会社からはいつでも契約解除できるためあまり意味が無いと思っていいでしょう。
賃料の見直し条件
基本的にサブリースの契約書には賃料改定の記載があります。保証賃料の見直しの周期や期間、値下げの下限値、などしっかりと確認しましょう。よくある「35年一括借り上げ」などのセールストークはよくありますが、35年間サブリース契約を継続するという意味であって、保証賃料が下がらないという意味ではありませんので誤解の無いように。
広告費や原状回復費用
転貸先の入居者が退去した場合には、サブリース会社は原状回復をして新たな入居者を募集しなければなりません。そのような賃貸募集に関する諸経費などはサブリース会社が必ず負担してくれるわけではありません。原状回復費用に関してはオーナー負担というサブリース契約も存在します。突発的な費用負担を避けるためにも事前に原状回復やリフォーム、設備故障などの場合はオーナーと不動産会社のどちらが費用負担するのか?明確に理解しておきましょう。
契約更新や手数料
契約更新の際、オーナー側の都合で契約更新の拒絶は出来ません。借地借家法においては、貸主であるオーナーから更新を拒絶するには「正当事由」が必要となるからです。この正当事由には物件の売却などの理由は該当しませんので注意しましょう。
また契約更新の際に更新手数料を取られる場合もありますので、そこもあわせて確認しておきましょう。
解約条件
サブリースの解約に関するトラブルは非常に多いです。よってサブリースを解約・解除する際の条件を確認しましょう。
- 契約からどのくらいの期間で解約できるのか?
- 解約予告は何カ月前までにするのか?
- どのような場合に解約できるのか?
- 違約金はかかるのか?
これらの点に注意してサブリース契約書を熟読しましょう。またサブリース業者との口頭でのやり取りは後々トラブルになる可能性もあります。例えば、契約時にサブリースが解除できると言った、言わないなど。よって、大切なポイントは必ず書面に残すように心がけましょう。例えばマンション売却時にはサブリースを解除できる、などの特約を契約書面に残しておく手法もあります。以下はサブリース契約書の代表的なチェックポイントです。
期間内解約がある場合
「期間内解約」の条項が先ずは「ある」か「ない」かを見てください。ある場合には、そこに期間内解約の違約金やペナルティについて記載があるかと思います。一般的に、サブリース契約は6カ月前までに書面でもって解約の通知をするか、即時解約する場合には6カ月間の賃料を支払う旨の記載があるかと思います。ただし、この期間や違約金については、会社ごとに異なる可能性がありますので、契約前に必ずチェックしてください。
期間内解約が無い場合
そもそも「期間内解約」の条項が無い場合は非常に厄介です。期間内の解約条項が無いということは、オーナーからサブリースを解約する場合には「正当事由」が必要となります。しかし、実際に住む訳でもありませんし、その「正当事由」が認められるような要件を満たすことは至難の業です。その際には、サブリース会社に出て行ってもらうため(サブリース契約を解約するため)に、「立ち退き交渉」をすることになります。すんなりと立ち退き交渉に応じてくれる場合は良いですが、それに応じないような場合には素人が解決するのは難しいと思ってください。また、「立退料」の支払をサブリース会社から請求される場合もありますので、その金額で和解するかどうかはオーナーさんの判断となります。いずれにしても、期間内解約のないサブリース解約は厄介です。サブリースの解約に強い「弁護士」に依頼することをお勧めします。
免責期間
新築ワンルームマンションなどでよくある内容です。新築ワンルームを購入する際に、空室状態のまま引き渡しをすることがあります。その際にサブリース契約をしていたとしても、決済後1~2カ月間は保証賃料の振込を免責する(オーナーに保証賃料が入らない)契約も存在します。当初予定した家賃が免責によって入って来なければ、資金計画が大きく狂ってしまう可能性もありますから注意しましょう。
物件の収益性や競争力把握する
周辺の賃貸ニーズや賃料相場などを理解したうえで、自分自身の物件にサブリースが必要なのか今一度考えましょう。サブリースにすることで手取り賃料は減少し、収益性は下がってしまいます。しかしながら、都心の一等地などで競争力の高い物件であれば、わざわざサブリース契約する必要性の無い物件も数多く存在します。また、サブリースが解除できなかった場合の物件売却価格などもシミュレーションし、本当に自分にとってメリットがあるのかどうか?再確認しましょう。
サブリース物件を売却する方法
一般的にサブリース物件は売却しにくいと言われます。サブリース契約は様々な制約で縛られた契約であるがゆえに購入者も警戒するからです。また、サブリース賃料は転貸賃料の80%から90%程度になり収益性が下がるため、物件価格も下がってしまいます。もしサブリースが解約できるのならばサブリースを解除して物件を売却するのが最もオーソドックスな売却方法です。しかしながら、サブリースを解除するにはいくつかの障壁があります。分かりやすく図にしてみましたので、それぞれのケースについて詳しく見てみましょう。
サブリースが解約できる時
サブリースが解除できると分かった場合の確認事項をいくつかまとめてみました。
解除時の違約金が無い場合
最もラッキーなパターンです。解除時の違約金を払うことなくサブリース契約を解除できます。しかしながらサブリース契約を解除する多くの場合、6か月~12カ月前に書面で解約通知書を送らなければないことも多いので、契約書を読んで書面送付のタイミングを事前にチェックしておきましょう。
解除時の違約金がある場合
サブリースを解約する場合には家賃の6か月分程度の解約違約金をサブリース会社に支払うことで、貸主、借主双方で合意解約できる場合があります。サブリース会社によって家賃の3カ月分ですむこともあれば、賃料の2年分を違約金として請求してくる会社もあります。この場合も書面での解約通知書はほとんどの管理会社で必要となります。また、違約金を支払うタイミングですが、物件を決済する前に支払わなければならないことも多く、売買代金で相殺しようとしても物理的に不可能な場合もありますので、違約金に関しては事前に準備しておくのがベターです。
2重サブリース(サブサブリース)が発覚した場合
昨今、2重サブリースが大きな社会問題となっています。現在のサブリース会社①がサブリース会社②に転貸し、サブリース会社②が入居者にさらに転貸しているような場合です。オーナーはこのサブリース会社②の存在を知らないことも多く、サブリース解除に向けて活動して初めて発覚するケースが頻発してます。
上記のような状況だった場合、例えばサブリース会社①のサブリース契約が解除できても、サブリース会社②のサブリースが解除できない場合が非常に多いです。
オーナーはサブリース会社①の立場を継承しますが、結局サブリース会社②とサブリース契約が残っているので、売却する時にはサブリース継承物件として売却するしかありません。もしくはサブリース会社②と交渉し、違約金などで契約解除できれば晴れてサブリースを解除した物件として売却することができます。しかしながら、サブリース会社①にも違約金を支払い、サブリース会社②にも違約金を支払うことになるため、二重で違約金がかかるケースもありますので注意しましょう。
そもそも2重で違約金を支払ってサブリースを解除して売却する場合と、サブリース継承で売却する場合で価格や労力などを天秤にかけて慎重に判断する必要があります。
サブリースが解約できない時
サブリースが解除できないと分かった場合の売却までの流れは以下の通りです。
同条件でサブリース契約を引き継ぎできる場合
入居中の投資マンションを売却する場合、売主であるオーナーから新たなオーナーに所有者が変更になります。いわゆるオーナーチェンジというやつです。基本的にオーナーチェンジでは前所有者の権利関係を次の所有者に丸々引き継ぐ契約となります。保証賃料(サブリース賃料)なども同条件で次の所有者に引き継げるケースです。その場合は同条件の保証賃料でサブリース継承物件として売却します。
再設定された賃料でサブリース引継ぎになる場合
サブリース継承物件をオーナーチェンジ物件として売却する際に、前所有者から次所有者へとオーナーが変更になります。その際にサブリース賃料(保証賃料)が減額されてしまうケースがあります。その場合にはサブリース会社から「新賃料証明書」と言われる書類を手数料を支払って発行してもらう必要があります。サブリース会社の言い分としては「オーナーが変更になるなら、保証賃料も再査定になります」というケースです。保証賃料が変わらないことも稀にありますが、ほとんどの場合はここぞとばかりに保証賃料を減額される場合が多く、あまりにも保証賃料が低いため、当初予定していた売却価格を大きく下回り、売却できないなどの事例が頻発しております。
弁護士を通じて裁判する
サブリース解約に強い弁護士を通じてサブリース売却に向けた裁判を行います。しかしながら、借地借家法においてサブリース契約の解除は「正当事由」がないと解約が難しいとされているため、引き受けてくれる弁護士も多くはありません。また、依頼したからと言って必ずサブリースを解約できるわけではありませんので注意してください。インターネットやxなどで口コミを調べれば、サブリース解除の実績を公開している弁護士さんもいるので、入念にリサーチしましょう。
しかしながら、弁護士への報酬がかかるため、金額次第ではサブリース継承のまま物件を売却することも選択肢に残しておきましょう。また、弁護士という職業に崇高なイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、悪徳な弁護士も存在します。具体的には、サブリース解約の案件を引き受け、着手金をせしめて、実際にはほとんど活動せずにサブリースも解除できないというケースです。弁護士を依頼する時には必ず「口コミ」をxやグーグルで調べる癖を付けましょう。
サブリースの最新法規制について
サブリースに関するトラブルが社会問題化していることから、2020年12月にサブリース新法が施行されました。サブリース新法の大きな変更点は以下の通り。
- 誇大広告等の禁止
- 不当勧誘の禁止
- 重要事項説明の義務化
それぞれ詳しく見ていきましょう
誇大広告等の禁止
全ての広告媒体において、サブリースのメリットのみを打ち出した広告を禁止されています。誇大広告の禁止はサブリース業者だけではなく、勧誘者にも適用されるものです。これに違反した場合には行政処分や罰則が科される可能性があります。
不当勧誘等の禁止
サブリース業者や勧誘者は以下のような行為を禁止されています。
- 故意に事実を告げない行為
- 故意に不実のことを告げる行為
例えば、将来的に保証家賃が減額されるリスクを伝えない、借地借家法に基づいてオーナーからの解約には正当事由が必要であることを伝えない、などの行為を指します。
重要事項説明の義務化
不動産を売買する際には重要事項説明が行われます。それと同じように、サブリース契約をする前に消費者に対してサブリース契約における重要事項を書面で交付した上で説明しなければなりません。そして契約締結時にはオーナーに対して契約書面を交付しなければなりません。また、サブリース会社は「契約期間、更新及び解除に関する事項」を必ず書面に記載しなければなりません。
サブリース契約はおすすめできない
ここまで記載したように、サブリースには一部メリットもありますが、基本的にデメリットが多すぎます。もちろん、サブリースの契約内容や業者の信頼性にも依存するわけですが、とりわけワンルームマンション投資に関するサブリースにおいてはトラブルが多いので要注意です。
都心で利便性が高く、賃貸ニーズの豊富な立地においてはサブリース契約で収益性を落としてしまい、逆にオーナーの首を絞める結果となるケースが多いです。もうしどうしてもサブリース契約がしたいということであれば、前述したデメリットやトラブルなどのリスクも全て理解した上で契約するように注意しましょう。
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まとめ
サブリースの契約は非常に簡単です。ただし、実際にそれを解約するとなった場合には、最悪弁護士まで雇って調停をしなければならないほど大事になることも珍しくありません。
また、解約は長期間に渡り、高額な費用を請求(違約金&立退料&弁護士費用など)される場合がほとんどです。借地借家法により管理会社が守られていることもあって、サブリース会社は強気です。管理会社や営業マンの言いなりでサブリース契約しないよう注意してください。
ワンルームマンション経営をするのはオーナーさんです。あくまで賃貸管理会社はそのサポートをするだけなのです。サブリースは確かにオーナーさんの手間は省けますが、そのメリット以上にデメリットやリスクが大きすぎて、その対価にとても見合いません。本文タイトルにあるように、まさにサブリース契約のよって地獄を見ているオーナーも少なくありません。結論、サブリース契約はあらゆる角度から見てお勧めできません。