現状で販売されている投資用の中古ワンルームマンションの価格が新築当時はいくらだったのか?
当時よりも今は高いのか?安いのか?
またそのような場合は購入しても大丈夫なのか?
皆さんからよく寄せられる質問にお答えしていこうと思います。
※動画でもさらに詳しく解説しております。
目次
基本的に今の中古は新築時より高い
現状販売されている業者売主の都内中古物件は基本的に新築当初の価格よりも高いものが多いです。
もちろんその物件が建てられた年数や立地にもよりますが、都内の物件で築10年以上経過しているものであれば新築時よりも価格が上昇している物件も存在します。
では現状で販売されている中古物件と新築分譲時の価格を比較してどのくらい価格が上昇しているのかを見てみましょう。
例えば、以下のような中古ワンルームマンションを例にあげましょう。
以下は現在実際に市場で売りに出されている中古物件の図面になります。
場所は東京都墨田区にある両国駅徒歩9分のワンルームマンションです。
こちらの物件の新築当時の価格を調べてみました。
以下は上記物件が新築当時に販売された際の価格表と賃料表です。
新築当時の賃料は例えば803号室の場合、図面記載の通り
86,500円+8,000円(共益費)=94,500円
となります。
よって、こちらの墨田区の物件に関しては、新築時より10年経過していますが、ほぼ賃料は下がっていない(横ばい)というのが分かります。
そして価格に関しては、新築当時が2520万~2550万程度ですが、それが10年経過した今現在、2610万で販売されています。
価格に関しては新築時よりも60万~90万程度値上がりしているのが分かります。
築古物件の新築時の販売価格は?
例えば築年数がさらに古い物件(築40年など)の新築当時の価格については、過去のこちらの記事で解説しておりますので合わせてご覧ください。
バブル期を除いては、基本的に築古物件に関しても新築当時の価格よりも今現在の販売価格の方が高い傾向にあるのかご理解いただけると思います。
新築ワンルームマンションはお得なのか?
上記の事例を見ると、新築ワンルームは買って中長期で持てば値段も上がる!賃料も下がらない!儲かる!
と思う人もいるかもしれません。
現に上記事実をセールストークとして新築ワンルームの販売を進めている業者も存在します。
しかしながら、単純に値段が上がった事実を鵜呑みにして、現在の新築ワンルームを購入することはお勧めできません。
なぜならたまたま今までの10年はワンルームマンションの価格が上昇傾向にあっただけであり、これから先も今までの10年と同じように大きく価格と賃料が上昇していくとは限らないからです。
下記は新築ワンルームの平均分譲価格の推移です。
2012年頃より上昇カーブが大きくなっているのが分かります。
2012年と2022年の平均価格を比較すると約1.4倍の伸びとなっております。
今から10年後つまりは2033年において、現状の新築平均価格3221万円が1.4倍となる4500万になると仮定すれば現在の新築ワンルームを購入しても価格上昇により儲かる可能性もあるでしょう。
将来の予測は難しいですが、ワンルームマンションで平均4500万円となれば、新築表面利回り3.6%程度仮定した場合、毎月の賃料は13.5万円となります。
平均で13.5万/月ですから、都心の一等地はさらに高額の賃料となります。
現状の新築ワンルームの入居状況は過去に記事にした通り散々たるものです。
単純に賃料が高すぎて入居が付かず、各社ADやフリーレントを大量に付与しなんとか入居を付けている新築物件も多いです。
よって、収益還元法における価格の算定根拠となる「賃料」が追い付かない為、これまで同様の価格上昇は難しいと考えます。
となれば今までのような価格の大幅上昇を期待して新築ワンルームを購入することがいかに危険か?が理解できるでしょう。
新築プレミアム価格は嘘なのか?
一般的に新築ワンルームマンションは新築プレミアム価格と言われます。
上記の原理でいけば、新築ワンルームは購入後に中古相場となり価格は新築時の70~80%程度まで下落すると言われています。
なので、例えば10年前の新築時2500万の物件であれば中古相場になると一気に値段が下がり2000万程度で取引されるのが普通です。
新築プレミアムは間違いなく存在します。
よって、築10年のワンルームが新築当時より高い金額2600万で販売されていれば、高すぎる!と考えるのも分からなくもありません。
しかしながら、この10年という長い歳月を経て、そもそもの新築・中古の両方の価格相場が押しあがっているため、このような状態になっているのです。
新築購入後直ぐに売却すれば新築プレミアム分が無くなり、含み損は発生します。
以下はレインズの上記(墨田区緑2丁目)物件の成約事例を調べたものです。
新築を購入(2013年or2014年)して直ぐに売却(2017年に成約)した場合は以下のような価格になってしまいます。
新築時が約2500万ですから丁度購入価格の70%程度の売却価格になっているのが分かりますね。
つまり、購入直後に一端は新築プレミアムが無くなり価格下落したもののその後の新築・中古相場の価格上昇により現在の2600万という売値に至った、と考えるのが普通でしょう。
※ここでは売主か仲介か?という取引形態に関しては話がややこしくなるので省きます。
新築ではなく築浅中古を購入していたと仮定
例えば、2017年に上記のレインズに掲載されている物件を購入していた場合はどうなるでしょうか?
購入価格をレインズ表記の1814万として、現状の売り出しが2600万ですから、明らかに新築ワンルームよりも短期間の6年間(2017年⇒2023年)でより多くの利益を得られるのが分かるでしょう。
よって、この時点で築浅中古に比較すると新築の優位性は特に無いことが理解できると思います。
新築ワンルーム販売時の営業トークに要注意
これまでお話ししたような過去の販売価格や売却事例を用いた「いかに新築ワンルームマンションが有利か?」という営業トークには注意してください。
過去10年においてはワンルーム価格の高騰によって結果的に新築でも利益がでた、という状況です。
よって、セールスマンの営業トークを鵜呑みにしないように注意しましょう。
今の中古物件を新築当時の価格と比較して、それが高いか安いか?という比較は意味がありません。
今の相場でみてその物件が高いか安いのか?で判断すべきなのです。
まとめ
ここ10年間のワンルームマンションの価格水位は上昇の一途をたどってきています。
しかしながら、この先10年もいままでど同じように価格上昇するとは断言できません。
そういった意味でも、価格上昇を狙った新築ワンルームマンション投資が如何に危険か?ということが理解できるかと思います。