このブログでもスルガ銀行が融資していたスマートデイズのシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題について何度も言及してきました。
このスマートデイズ社は4/9に東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。
4/18日現在、民事再生法の適用は棄却され、破産手続きに移行しております。
また、それに際してこのスマートデイズ社のシェアハウスに融資をしていたスルガ銀行の融資姿勢が問題視されている訳であります。
スマートデイズ社のシェアハウス問題についてはこちらの記事を参照してください。
またそれに類似する形でのスルガ銀行の地方一棟物件、サブリース問題についても警鐘した記事を記載しておりますので、あわせてご参照ください。
問題の本質は当然スマートデイズ社・購入者・スルガ銀行それぞれにあると考えます。
目次
スマートデイズ社の責任
30年定額で家賃保証(サブリース)をするというとんでもない謳い文句だったようですね。
通常、家賃保証契約というのは必ず数年ごとに見直しが入ります。
建物が経年劣化するとともに当然賃料は下落していくと考えられているからですね。
要するに徐々に保証賃料も周囲の相場に合わせて下がっていくという訳です。
今回はその新築当時の賃料が30年間ずっと定額で保証されるという謳い文句でした。
通常であれば「本当かよ」という話ですが、この話をややこしくするのが「仕事を斡旋することでの紹介料システム」です。
地方から若い女性を上京させ、シェアハウスで住居を提供し、そのまま仕事を斡旋することでその紹介先の会社から年収の数十パーセントの報酬を得られるため、シェアハウス自体の空室が多くても、その職業斡旋の報酬で賄えるというビジネスモデルでした。
その証拠として前社長の大地則幸氏が「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資」という本も出版しています。
しかしそのビジネスモデルは上手くいかず、シェアハウス自体も空室だらけで大赤字でした(賃料設定がそもそも高すぎるから)。
ただし、スマートデイズ側は35年定額の家賃保証をうたっているため毎月一定額の家賃収入を必ずオーナーに支払わなければならない為、シェアハウスを建て続けることでの「売買益」でその送金賃料を賄うという自転車操業に陥っていたのであります。
売らないとオーナーへの保証賃料を賄えない。だからこそ、どんどんと被害が拡大していったのでしょう。
最初から騙すつもりはなかったのかもしれませんが、この状況を見ると、まさに「ポンジスキーム」ですね。
購入者の責任
購入者に全く責任が無いかと言うとそうは言えないと思います。
周りの相場賃料などを見れば、保有しているシェアハウスに入居者が付くか否かはある程度判断は付くかと思います。
また、家賃保証の本質が理解できていれば、今回の事件のように被害が拡大することも無かったでしょう。
ただし、購入者としてはスルガ銀行も物件のみを担保で融資してくれる訳だから、まさかそんな危ない話ではないだろう、と考えるのも良く分かります。
先ほども言ったように、サブリースに関しては、「入居者に仕事を斡旋することでの手数料」をサブリース賃料の原資にするというスキームなので、これが本来の賃貸経営のビジネスモデルを攪乱させているわけです。
そこまでの信用があったのか、そもそもあまり深く考えずにシェアハウスを購入したのかは分かりませんが、業者の言うことを鵜呑みにしないことが本当に大切だと思い知らされる一件ではないでしょうか。
スルガ銀行の責任
ここが一番の論点です。
一般的に融資をした銀行は融資が焦げ付くわけですから、被害者といえば被害者ですよね。
お金を貸して返ってこない訳ですから。でも、なぜここまでスルガ銀行が叩かれているのでしょうか?ちょっとよくわかりませんよね。
不動産投資に興味の無い方ですと、あまり聞きなれない銀行さんかもしれませんが、不動産投資をしている方であれば、知る人ぞ知る「最後の砦」的な銀行であります。
「最後の砦」と書いたのには理由があります。
通常、不動産投資で融資を受けるためには、金融機関にその物件にどれだけ融資をしてくれるのか評価依頼をして、ローンを組める額などが決定します。
例えば1憶円の物件があったとして、現金が手元に1000万しかないとします。
融資額が8000万の場合は自己資金不足でこの物件は購入できないことなります。
物件の評価は銀行によって千差万別ですが1憶円丸々融資する銀行もあれば、半分の5000万しか融資しない銀行もあれば、そもそも融資しない銀行もあります。
特に投資物件に関しては自宅ではない為、その分審査自体が非常に厳しいのですが、その中でもとりわけスルガ銀行は、金利は高いですが融資基準が非常に緩かった(他行に比べると)ので、世の中の不動産投資家や一棟の売主業者からは非常に重宝されている存在でした。
しかも審査スピードが非常に早く、欲しい物件をすぐさま押さえるには持ってこいだったのです。
また、他行で融資しないような、築年数の古い対応年数越えの融資も行っていたので、そういった意味でも不動産投資家にとっては非常にありがたい銀行だったのであります。
預貯金残高の改ざん?(エビデンスの改ざん)
不動産投資において金融機関が融資をする際に、預貯金残高の確認をする場合があります。
なんの為にするかといえば、債務者の与信を確認する為でしょう。
与信については過去記事を参照してください。
ただし、その預貯金残価の確認も非常に形式的なものであり、通帳の原本確認まではしませんでした。
通帳コピーやネットバンキングの画面印刷などでOKという感じだったのです。
もし、本当に預金残高が重要ならば、普通は原本を確認しますよね?
それをわざわざコピーで大丈夫というのも・・・。
そうなると数字を改ざんしてスルガに持ち込む業者が多発したのです。
これだけであれば完全に業者が悪いですが、スルガの方からそういった指示が出ていたのではないか?という疑惑もあるのです。
そうなれば、スルガ側が融資を通すために不正を支持したことになりますので、大きな問題となるでしょう。
シェアハウスの件で私のところに相談にいらっしゃった方も大勢いらっしゃいます。スルガ銀行に対して、契約当時にスルガ銀行に提出した書類一式を見せてほしいとお願いしたところ、何故か拒否されたという方もいらっしゃいました。
2018年9月には上場企業のTATERU(タテル)が顧客の預貯金残高をねつ造したとして大きく問題となっております。
2018年11月には西武信用金庫では不動産業者からの不正資料を見抜けなかったとして、金融庁から立ち入り検査を受けています。
融資に対してフリーローンを組むことを条件とする
これもあるあるですが、スルガで物件の融資を受ける際になぜかスルガ銀行のフリーローンを数百万円組まされます。
特にスルガで一棟を所有している方ですと、ほとんどの確率で使い道のないフリーローンを組まされている方が大勢いらっしゃいます。
これが銀行担当者の営業成績になるのかどうかは分かりませんが、ほとんどの方が金利の高いフリーローンを組まされているのです。
物件への融資を人質に、高金利のフリーローンを組ませる行為はいささか度を越した融資姿勢に思えますね。
不正ではないですが。
まとめ
何度もこのブログでお伝えしておりますが、やはり不動産投資やマンション経営の本質は家賃保証(サブリース)ではありません。
家賃保証(サブリース)だからマンション経営をするというのは明らかに本質からズレています。逆に家賃保証(サブリース)じゃなくても大丈夫な地域で不動産投資をすべきなのです。
家賃保証(サブリース)の問題はレオパレスに始まり、スルガ地方一棟スキームを通して、シェアハウス問題で大きく取り上げられるようになっております。
家賃保証に関しては過去記事で取り上げてますのでご参照ください。
家賃保証やサブリースだからといって、安心せず、いかにサブリースに頼らいない賃貸経営をするか?が非常に大切なのです。