中古ワンルームで家賃を一時的に吊り上げるグレーなスキームが流行中

投資用の中古ワンルームで家賃を一時的に上昇させ、高値売却を狙うグレーなスキームが流行しているようです。

これらの手法により、新規オーナーは割高な物件を掴まされる可能性が非常に高くなりますので注意してください。

今回はその手口を解説していこうと思います。

※ブログで紹介しきれなかった部分を動画に掲載してますのでご覧ください。

どうやって家賃を上昇させるのか?

単純です。

入居者にお金を渡して、現在よりも高い賃料で賃貸借契約をまき直してもらうのです。

例えば、現状90000円/月で賃貸借契約を結んでいる場合、入居者に数十万を支払う代わりに、毎月の賃料を98000円/月にして新たに賃貸借契約を結びなおすという荒業です。

もちろん入居者がその提案を断ればこのスキームは成り立ちませんが、近い将来引っ越しを考えていたり、業者から支払われる報酬によってはその提案を受け入れてしまう入居者も少なくないでしょう。

実際にネット上でもワンルームの入居者が賃貸管理会社に呼び出されて、「30万円支払うから家賃を8000円/月上げさせてくれ」と交渉されたなどの声もちらほら。

なぜそこまでして賃料を上げたいのか?

その物件の評価額が上昇するからです。

業者が物件を売却する為には、金融機関が不可欠です。

なぜならワンルーム投資を始めるほとんどの会社員が融資を利用して物件を購入するからです。

よって、その融資をしてくれる金融機関がその物件に対していくらまで融資をしてくれるのか?というのが販売の大きなポイントとなります。

もちろん融資の評価額は高い方が業者は儲かります。

例えば仕入れの金額1800万の物件があったとしましょう。

その物件に対しての金融機関の融資評価が

  1. 2000万までの融資
  2. 2300万までの融資

の2パターンがあった場合、当然2300万まで融資が出る方が業者は売りやすいし、利益も大きいですよね。

賃料と評価の関係性

一般的なワンルームの価格(評価額)はどのように決まるのか?

それは「収益還元法」に基づいて決まります。

収益還元法の計算式

例えば、東京都内の還元利回りを4%と仮定した場合。

このお部屋の家賃が9万だった場合は

年間で108万(9万×12)の家賃収入のある物件となり

108÷4%=2700万の評価となります。

このお部屋の家賃9.8万だった場合は

年間で117.6万(9.8×12)の家賃収入のある物件となり

117.6÷4%=2940万の評価となります。

つまり価格(評価額)に240万もの評価の差が出ることになります。

売主業者からすればより高い家賃で高い評価を出し、より多くの利益を抜いたほうが儲かります。

家賃上昇によってオーナーが利益をだした事例

投資マンションの家賃5000円アップで売却益150万アップ

入居者が抜けた後は・・・

高値の賃料を支払っている入居者が抜けた後はどうなるでしょう。

当然相場よりも割高な賃料なので、次の入居者はつくはずもありません。

待っているのは家賃の値下げです。

家賃が下がれば、評価額も下がります。

家賃が下がることで毎月のCFもその分マイナスになりますし、評価額が下がることでその分含み損も大きくなってしまいます。

このような物件を掴まされない為には

とにかく周辺の家賃相場をしっかりと調べることです。

ホームズやスーモなどで、検討物件と同条件の物件を数多く見ることで、周辺の賃料相場を把握しましょう。

また、その際に大切なポイントをいくつか挙げておきます。

  • お部屋の広さ
  • 駅からの距離
  • 築年数
  • 階数
  • 間取り(バス・トイレ別など)
  • 共用設備(宅配ボックス、オートロックなど)
  • お部屋の設備(浴室乾燥機など)
  • 周辺の施設(コンビニ、薬局、スーパーなど)

また、業者からレインズで過去の賃貸成約事例を見せてもらうことも有効です。

まとめ

中古ワンルーム市場では仕入れに苦戦する業者が非常に多くなっています。

通常ルートの仕入れでは利益が取れないので、今回のようなグレーなスキームを使って、何とか多くの利益を出そうと業者も必死です。

もちろん相場賃料の物件であれば問題ないわけですが、相場よりも割高な賃料の物件を掴まされた時は悲惨です。

賃料が下がれば、評価も下がります。

評価が下がればその分損益分岐点も先延ばしとなります。

そうならない為にも周辺の家賃相場はしっかりと自分自身で調べるようにしましょう。