営業マンのセールストークで、「このお部屋の入居者は法人です!社宅として借り上げられてるので空室リスクが少なくお勧めですよ!」なんて話を聞いたことがある方も多いはず。
はたして、ワンルームマンション投資における「法人入居」はそれほど魅力的なものなのでしょうか?
今回は賃貸物件を法人契約で貸し出すメリットとデメリットをしっかりと解説していこうと思います。
※動画でさらに詳しく解説しております。
目次
賃貸の法人契約って何?
例えば、ワンルームマンションなどを例に考えていきましょう。
通常の入居者は個人です。
しかしながら、中にはそのお部屋を個人ではなく、法人で借りたい!という需要が一定数存在します。
よって、契約上はオーナーと法人の賃貸借契約を結びます。
もちろんそのお部屋に住むのはその法人の従業員です。
中には1部屋だけではなく、一棟丸ごと、複数室まとめて法人が借り上げて、社宅や社員寮として従業員に貸し出すことも珍しくありません。
オーナー側のメリット
法人にお部屋を貸し出す際のオーナー側のメリットを順番に見ていきましょう。
家賃滞納リスクが少ない
個人と法人を比較した場合に、家賃を滞納する確率が法人の方が低いと言えます。
しかしながら、これは入居する法人の規模にもよります。
中小企業であれば、倒産・破産ということもあり得ます。
大企業であれば、普通に考えれば倒産リスクは小さいと言えるので、家賃を滞納するリスクは少ないと言えるでしょう。
長期的に借りてくれる可能性が高い
社宅としての一棟丸ごとの借り上げなどであれば、通常の入居者よりも長い期間借り上げてくれる可能性が高いと言えるでしょう。
また、入居者は会社から家賃の補助を受けている場合も多く、通常よりも安く入居しているので比較的長期で住む傾向にあると言えます。
審査が早い
基本的に賃貸物件に入居する場合には保証会社の審査を行います。
保証会社の審査は通常7~10日間といわれてます。
審査に要するスピードもある程度の規模の会社であれば個人よりも若干早いといえるでしょう。
退去費用の未納が少ない
退去時に原状回復費用を入居者に負担してもらう訳ですが、個人の入居者の場合、その費用を払わずにそのまま逃げてしまう人もいます。
入居時の敷金で賄える範囲であれば逃げたところで問題ありませんが、その敷金を上回るほどの費用が発生した場合は入居者に当然に請求します。
転居先に内容証明を送ったり、少額訴訟をしたりして回収することになります。
しかしながら入居者が外国人の場合で国に帰ってしまって費用を回収しようにも連絡先も分からず回収できないリスクもあります。
法人の場合はこれらのリスクは極めて低いといえるでしょう。
オーナーデメリット
法人にお部屋を貸し出す際のオーナー側のデメリットを順番に見ていきましょう。
一斉解約や家賃減額交渉
法人で一括借り上げの場合、社会情勢や法人の都合で一斉に解約となる場合があります。
また、それと同じように賃料の値下げを一斉に要求されるリスクもあります。
一斉解約の場合は、同物件同条件のお部屋が賃貸市場に一気に放出されることになりますので、次の一般の入居者が決まるまで非常に長い時間がかかる可能性が高いです。
また、その中でも早く入居者を付ける為に、賃料を下げたり、広告費を多くつけたりするので、当初見越していたよりも多くの費用がかかる場合もあります。
申込までに時間がかかる
会社が大きくなればなるほど、申し込みに時間を要します。
社内でいくつもの稟議を重ねてようやく申し込みが受理されるからです。
小さな会社であればそこまで時間がかかることもないですが、大企業が入居者の場合は実際の入居までのタイムスケジュールをしっかりと確認しましょう。
退去予告の期間が短い
退去予告の期間を2カ月前にしている管理会社やオーナーさんも少なくないでしょう。
※退去予告:入居者が部屋から退去する場合に、事前にオーナーに退去の旨を通知すること
しかしながら、法人入居者の場合はその会社の社内規定などで退去予告は1か月前まで、とするものも少なくありあません。
退去予告の期間が短ければ当然に入居募集をする期間も短くなります。
保証会社加入を嫌がられる
個人の入居者の場合、ほとんどの管理会社が保証会社加入を必須としています。
しかしながら、大手法人入居者の場合はその保証会社加入を拒絶されることも多いです。
保証会社加入に際して家賃の半月分から1か月分の保証料がかかりますし、更新のたびに保証料がとられてしまうからです。
大手法人であれば滅多なことが無い限り倒産は考えにくいですが、可能性は0ではありません。
もし、法人が倒産した場合はその法人の破産管財人と入居者で精算方法も含めて話し合った上で賃貸借契約を合意解除するのが一般的です。
保証会社に加入していないわけですから、賃料の滞納分や、お部屋の原状回復費用などはオーナー負担となってしまうことも考えられます。
退去費用の精算が細かい
出来る限り入居者である法人の負担を減らすために、退去費用の精算がすごく細かい場合が多いです。
原状回復に関しては当然東京ルールに基づいて精算する訳ですが、入居者負担が減るということは=オーナー負担が増えるということでもあります。
まとめ
法人入居はメリットありますが、その反面デメリットも存在ます。
近年はコロナ禍で働き方も大きく変化しています。
投資物件を購入する場合に「法人入居だから」「借り上げ社宅だから」そんな安易な理由での物件購入は非常に危険です。
しっかりと周囲の家賃相場を調べ、ワンルームマンション投資の基礎知識を付けたうえで検討するようにしましょう。