不動産を売却する際に、「仲介」で業者に売却依頼している方は非常に多いのではないでしょうか。
- 売却依頼したものの中々売れない。
- 仲介業者に反響状況を聞いても「反響は0」の1点張り
- 徐々に価格を下げさせられている
等のご経験はありませんか?
本当にその物件や価格が理由で売れないのでしょうか?
本当は買いたい人がたくさんいるのに、その仲介業者がそのすべての問い合わせを意図的に「断っている」かもしれません・・・
それが不動産の「囲い込み」と言われる闇です。
※動画でも詳しく解説しております。
目次
不動産の囲い込みとは
不動産会社が売却依頼を受けた物件を他の不動産会社に契約させない行為をいいます。
例えば、あなたが所有している物件を仲介(専任媒介契約)で不動産業者Aに売却依頼します。
通常、売却の依頼を受けた業者Aは自社で買主を探すのはもちろんですが、依頼を受けて7日以内(専属選任媒介ならば5日以内)にレインズに物件情報を登録しなければなりません。
※レインズが分からない!という方は以下の記事をご覧ください。
⇒【保存版】仲介手数料を分かりやすく解説!仲介手数料無料のからくりは?
レインズに登録することで、あなたが売却したい物件の売り情報が全国の不動産会社に共有されることになります。
※レインズのイメージはこんな感じです。
そうすると、業者Aだけではなく、全国の不動産業者があなたの売りたい物件の情報を知れるので、条件に合った買い手さんを全国の不動産業者が探してくれるという仕組みなのです。(※レインズに物件が登録されるとレインズから「登録証明書」が発行されますので必ず業者から貰うようにしましょう。)
レインズの売り物件情報をみた業者Bが「この物件いいじゃん!うちのお客さんで丁度ほしい人がいる!」となったとしましょう。
もちろん業者Bは業者Aに問い合わせします。
業者B「ちょうどこの物件ほしい人いるんですよ!まだ物件ありますよね?」
業者A「ごめんなさーい。もう申し込みが入っちゃってご紹介できないんですよー(本当は申し込みなんて嘘だけど)」
業者B「それは残念です。諦めます。」
これが俗にいう「囲い込み」です。
ここで疑問に思うのが、なぜ業者Aはわざわざ他の業者が買主を見つけてきてくれているのに、そのありがたい申し出を断るのでしょうか?
早く売買が成立すれば、お客さん(あなた)も喜ぶし、業者Aにも仲介手数料が入るのに・・・。
なぜ物件の「囲い込み」を行うのか?
それは仲介業者Aに支払われる「手数料の金額」が原因となります。
例えば上記の例で囲い込みをしなかった場合の仲介手数料のイメージは以下の通りです。
「売主の仲介業者は売主から」「買主の仲介業者は買主から」それぞれ仲介手数料を貰います(いわゆる片手仲介)。
仲介手数料は物件価格によって異なりますが、一般的には物件価格の3%程度です。
では囲い込みをすることで業者Aにとってどんなお得なことがあるのでしょうか?
それは、「業者Aが自分で直接買主を見つけることで、売主と買主の両方から仲介手数料を貰うことができる(いわゆる両手仲介」という点です。
囲い込みをして、自社で買主を見つけた場合の仲介手数料は以下のイメージです。
業者Aとしては売主と買主の両方から仲介手数料を貰えるので、仲介手数料が一気に2倍になります。
囲い込みをすることで、自社で買主を見つけて両手仲介を狙うのです。
これが囲い込みをする一番の理由です。
媒介契約を預かった業者はレインズに登録義務あり
ここで疑問に思うのが、
「両手仲介を狙いたいのならば、そもそも業者Aがレインズに物件情報を登録しなければいいんじゃない?」
と思いますよね。
仰る通りです。
レインズに登録しなければ、どの業者にも売り情報を知られずに秘密裏に自社で買主を探せます。
しかし、仲介(媒介)契約の種類によって、レインズへの登録が義務付けられているので、それをしないと罰せられてしまいます。
媒介契約は以下の3種類です。
- 一般媒介
- 専任媒介
- 専属専任媒介
それぞれの契約の違いをまとめてみました。
レインズへの売却情報の登録義務があるのは
- 専任媒介(媒介契約から7日以内に登録)
- 専属専任媒介(媒介契約から5日以内に登録)
です。
基本的に売却を預かる業者はその他の業者に売却をお願いされないように上記の2つの専任媒介を狙ってきます。
よって、基本的にレインズには物件情報を登録しなければなりません。
業者が図面を作って、情報を掲載するだけですから30分もあれば入力は完了です。
情報を掲載すれば、その情報はレインズを介して全国の業者に情報が出回るので、その情報をみた買主仲介業者が連絡をしてきます。
レインズに掲載している以上問い合わせが買主から来てしまうので、そこで
「既に他のお客様で商談中です」
「申込が入ってます。」
「契約予定なんですよ」
等を理由にして、買主の仲介会社からの連絡をぶった切るのです。
そして、その裏では必死で自社で両手仲介をするために買主を見つけるのです。
売主さんからすればたまったものではありませんね。
自分が売却をお願いした仲介会社が売却の邪魔をしているのですから・・・。
囲い込みをされることで起こるデメリットは?
売主仲介会社に「囲い込み」をされてしまうと、売主さんにはたくさんのデメリットがあります。
売却に時間がかかる
希望価格で直ぐに買主を見つけてくれるのであれば、両手仲介だろうが片手仲介だろうが売主にとっては何の問題もありません。
売主さんが仲介業者に支払う手数料も変わりませんし。
しかし、自社(売主仲介会社)での集客にはもちろん限界があります。
直ぐに買い手が見つかればいいですが、そうじゃない場合も多いでしょう。
本来、買主の仲介会社で買主を見つけてもらえれば、直ぐに売却できたのに、売主の仲介会社が自社で顧客を探す時間は完全に売主にとって機会損失となってしまいます。
売却価格が下がる
売主の仲介会社は「囲い込み」によって、自社で買主を探します。
しかしなかなか見つからない・・・
そんな時どうするか。
売主に価格を下げるように要請するのです。
理由は何でもありです。
「問い合わせが全くありません(本当は結構きてるけどね)。価格が高すぎるんですよ。」
「もう少し値段を下げれば問い合わせも増えると思いますよ。」
値段が下がれば、自社でも販売しやすくなりますよね。
でも、ここで1つ疑問が。
売却価格を下げれば、業者の仲介手数料も同時に下がってしまう。
それは業者にとってもデメリットだから、簡単に価格を下げるような要請は業者にとってもデメリットなんじゃ??
というものです。
これはあくまで片手仲介の場合ならばその通りです。
しかし、両手仲介は片手仲介の2倍の報酬が入る訳ですから、多少価格を下げたところで両手仲介で契約したほうが業者の報酬も多くなり、メリットが非常に大きいのです。
よって、
「両手仲介が出来るならがっぽり儲かるから、売主にお願いしてガンガン価格さげちゃえ!」
となる訳です。
囲い込みの兆候(サイン)とは?
相場を確認して、適正な物件価格であるにもかかわらず
- 問い合わせが全くない状況が続く
- 価格を下げる要請を頻繁にされる
- 中々売却できない(長期化)
場合は物件の「囲い込み」を疑ってください。
「大手だから大丈夫だろう」
そんな考えは今すぐ捨ててください。
信じられないかもしれませんが、大手こそ「囲い込み」の温床となっています。
囲い込みを見抜くためには?対策は?
囲い込みを見抜くためにはどうしたらいいのでしょうか?
広告掲載状況を調べる
レインズに売却情報が登録されると、様々な業者がその物件情報を販売するために広告掲載をします。
よって、先ずは自分自身の物件をネットで検索してみて下さい。
様々な不動産会社があなたの売却物件の情報を掲載しているのならば「囲い込み」の可能性は低くなります。
しかし、あなたが売却依頼した仲介会社のみしか広告掲載されていないようであれば「囲い込み」の可能性大です。
あなたが売却依頼した仲介会社がレインズに物件登録する際に「広告掲載不可」などの条件をつけて、自社以外で広告掲載できないようにすることもできるのです。
そうなれば、買主の仲介会社さん達はあなたの売り物件情報を自社メディアなどに広告掲載できなくなってしまいます。
他の不動産業者から自分の物件の問い合わせをしてもらう
レインズにはあなたの売り物件情報が登録されていますから、他の不動産会社にお願いして(買主仲介会社)のフリをしてもらって物件確認の電話をしてもらいましょう。
そこで、
「商談中です」「申し込みが入ってます」などの何かしらの理由を付けて、物件紹介が出来ない!
となれば、囲い込みが確定します。
大手不動産会社の仲介手数料ランキングを見ると・・・
大手の仲介会社の両手取引の多いランキングがこちらです。
見てほしいのが「手数料率」です。
不動産の売買仲介に関して、仲介手数料には上限があります。
先ほども述べた売買価格の約3%(片手仲介)です。
しかし、これは片手仲介の場合であり、両手仲介になれば手数料はその倍の6%になる訳ですね。
上記ランキングを見ると、手数料率が最も高いのは三井不動産です。
両手仲介を数多くこなしているのでしょうね。
「自社の販売力が強いから、両手仲介出来るんだ!」
といわれればそれまでですが。
上位には業界では有名な囲い込み業者さんもいらっしゃいます。
このランキングを見て分かるように、売上高やネームバリューで仲介業者を探すのはお勧めできません。
特にワンルームなどの投資用物件はこのブログで前からお伝えしているように、大手仲介会社にお願いしたところで、ろくな売却査定がでません。
※その理由は過去のこちらの記事をご覧下さい。
⇒投資用ワンルームを仲介で売却!かと思いきや結局買うのは業者?
囲い込みからの買取保証(売却)に要注意
買取保証とは、仲介で売却依頼をしていた不動産会社で、仲介の依頼期間内に物件が売却できなかった時には、最終的にその業者が不動産を買取します!
という制度です。
この制度は、自宅の買い替えなどに良く使われます。
いついつまでに自宅を必ず売却しなければならない!という状態のオーナーさんにとっては、この制度を使うことで最終的な期日までに必ず一定金額の買取を保証してもらえるというメリットがあります。
もちろん買取金額は仲介金額に比べ一般的に低くなるのが常識です。
「素晴らしい制度じゃん!」
と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
業者からすれば、物件を仲介するよりも、物件を安く買い取って利益を大きく乗せて転売した方が儲かります。
要するに物件を安く買取したいんです。
しかし、そこまで安い金額で物件を売却してくれるオーナーさんはなかなかいない・・・。
そこで出てくるのが、「仲介で契約を預かり買取保証を付けたうえで囲い込み」をするのです。
囲い込みをされているため、売主には毎週問い合わせ0の報告が行きます。
売却の期限もある為、売主はどんどん不安に・・・
業者「やはり価格が高いので、仲介では希望価格で売却できませんでした。買取になりますね」
売主「は、はい・・・・」
業者としては、良い物件を安値で仕入れられてラッキーです。
売主は囲い込みをされ安値で物件を売却するハメになり最悪ですね。
安易に買取保証の契約をしないように注意してください。
まとめ
物件の売却は慎重に行いましょう。
特に投資用の区分ワンルームなどは販売にスキル・知識・提携金融機関などが必要なので、一般の不動産業者に仲介(媒介)をお願いしたところで正しい査定価格など出ません。
よって、投資用ワンルームは基本的にワンルームの専門業者への買取をお勧めします。
一方で、自宅などの売却に関しては買取よりも仲介を使って売却するのがおすすめです。
区分ワンルームにせよ、自宅にせよ、仲介で物件を売却する際には今回のような「囲い込み」には十分に注意してください。
実際に物件を売却に出しているがなかなか売れない・・・
それは仲介業者による「囲い込み」のせいかもしれません。
もし、自分の物件が囲い込みにあっているか心配なかたは、お問い合わせいただければお調べしますのでLINE@などでお問い合わせ下さい。
※LINEで東京1Rを友達追加していただくと、自動トークがきますので、そちらにそのままトークでご質問を返信いただければ、回答させていただきます。トーク内容は東京1Rにしか見えませんのでご安心下さい。