インターネット上でワンルームマンション投資について調べていくと、新築ワンルームは業者の利益が上乗せされている!などといった記載が非常に多く目立ちます。
中には価格の半分以上が業者の利益だ!などと記載している記事もありました。
ただ、実際にその人(記事を書いた人)たちがワンルームのデベロッパーにいたわけでもないと思うので、実際のところは分からない人が大半ではないでしょうか。
では、今回はそんな新築ワンルームデベロッパーがどのくらいの利益を得ているのか?元業者の私が詳しくお話ししていこうと思います。
目次
ワンルームデベロッパーは大きく2種類
自分たちで土地から仕入れ
題名の通り、自社でワンルーム用地を見つけてそこにマンションを建築する形です。
当然自社で全て行うので利益も大きくなります。
ただし、完成までに1年~2年の歳月を要する為、実際に売り出す時の経済情勢等で価格が思ったような評価を得られない(売り出し時)などのリスクも負わなければなりません。
既に建築中の一棟を仕入れ
ゼネコンや建設会社が既に建築しているものを一棟で仕入れるような形です。
現在のワンルームだと比較的こちらが多いのではないでしょうか。
既に建築中なので完成までの時間も短いですし、販売時の評価額変動のリスクも少なくなります。
ただし、土地などは建築会社やゼネコンが仕入れているので自分たちで土地を仕入れるよりは利益は少なくなります。
ワンルームデベロッパーの粗利益は?
マンションを建築するにあたって「戸当たり」という言葉をよく使います。
これはワンルームを建築する際の「ワンルームマンション1部屋あたりのデベロッパーの粗利益」のことです。
粗利益とは「物件のエンドユーザーへの販売価格ー物件の仕入れ値」のことですね。
ワンルームの新築デベロッパーは最低でも戸当たり500~600万以上の粗利益を見込んで仕入れをします。
つまり2500万円の新築定価の物件だと業者の仕入れ値は1900万~2000万以下ということになりますね。
確かに私が業界に入った10年以上前は粗利益も今以上に大きかったです。
それこそ戸当たり1000万なんていう物件があったのも確かです。
しかし現状は土地の値段の高騰や建築資材、職人さん不足などの影響から確実にワンルームデベロッパーの粗利益も大きく下がってきております。
ではこの500~600万の粗利益は丸々デベロッパーの利益になるかというとそうではありません。
そこから経費が掛かります。
もちろん経費もかかる
通常の会社経営をするにあたって、以下の経費が必要となってきます。
- 人件費(給料やボーナス)
- オフィスや店舗の賃料通信費
- 水道
- 光熱費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 保険料
- 交通費
- 消耗品費 などなど
粗利益丸々が会社に残る訳ではなくそこから必要経費が差し引かれる訳ですね。
売上総利益 - 販売費及び一般管理費 = 営業利益
ということになります。
経費に関しては会社の規模や方針によって大きく異なってくるので何とも言えません。
ただし、一般的にネットで書かれているほど儲からなくなってきているのは確かです。
粗利率
例えば2500万の物件を販売して仕入れが2000万だったとしましょう。
その際の粗利率は、
500万円(粗利)÷2500万円(販売価格)=20%になります。
同じ物件の仕入れが1900万円だったとすると、
600万円(粗利)÷2500万円(販売価格)=24%になります。
粗利益だとそうでもない?
ここから見ても分かるように、価格の半分以上が業者の利益だ!などという意見は間違いであるということがご理解頂けるかと思います。
先ほども言いましたが、確かに10年以上前だとそういった物件もありました。
仮にそのような物件を仕入れられればデベロッパーは儲かって仕方無いでしょう。
しかも昔であれば、広告などかけずとも電話一本でバンバンワンルームが売れた時代ですから。
その辺の電話営業についてはこちらの過去記事を参照してください。
だからこそ、未だに広告やネットにお金を使わずにひたすら名簿と電話で営業している会社も存在するのですね。
毎月何本も販売できれば儲かるが・・・
これは別にワンルームに限ったことではありませんが、第一前提として投資用のワンルーム(特に新築)は毎月何十本も売れるようなものではありません。
毎月1本でもコンスタントに販売できる営業マンは非常に優秀です。
中には丸一年全く契約の出ない人間もいます。ほとんどの場合はそうなる前に辞めてしまいますが・・・。
しかも、新築ワンルーム業界は一昔前までは値引きが当たり前の業界でしたので、値引きをすると当然粗利率も下がってしまいますね。いまはそもそもの仕入れ値が上昇してきており、昔ほど粗利益が取れないので当然値引き幅も少なくなってきております。
ただし、そうはいっても諸費用分程度はで販売会社が持ってくれる場合もありますので、投資用のワンルームを購入する場合には必ず値引きの交渉をしましょう。
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まとめ
インターネット上の情報を見ていると、ワンルームデベロッパーは不当に利益を得ている!といったような書き込みや情報が目立ちますが、本当に業界の内情を知ったうえで書き込みをしている人は非常に少ないでしょう。
新築ワンルームの1部屋あたりの粗利は500~600万程度です。
そこからさまざまな経費を差し引いて、会社に残ったお金が利益です。
もちろん全営業社員が毎月コンスタントにマンションを販売できる訳もなく、しかも内勤(総務、人事など)の人たちもいるわけですから、その分まで稼がなければなりません。
そのようなことを考えていったときに、ワンルームの粗利益はネットに書かれているほど実は大きくないという現状も理解できるのではないでしょうか?