顧客の預金残高改ざんで、国土交通省は東証一部上場のTATERU(タテル)に業務停止命令を出す方針を固めた。
預金残高を多く見せるために通帳などを改ざんし、審査を通していたようです。
過去にも行政処分を受けた業者は数多くあります。
アパート経営で非常に勢いのあった東証一部上場企業の「TATERU(タテル)」で、アパート建築費用の融資(1憶1000万円)を受けるために、従業員が顧客から得た預金残高データを23万円から623万円に改ざんし、西京銀行から有利に融資を受けようとしていたとのこと。
この報道を受けてTATERU社もHP上で、
本件に関しては、誠に遺憾ながら、そのような事実がございました。また、 報道では、当社が当該顧客に謝罪し、手付金として受け取っていた 50 万円の2倍の 100 万円を 支払うと伝えてきたとされていますが、この点につきましては、当社として謝罪申し上げると ともに、当該顧客からの手付解除のご要望を受けて、契約に従って手付金の倍額である 100 万 円を既にお支払いし、手付解除いたしました。
その他の損害についても、ご提示いただければ 真摯に対応させていただく旨を当該顧客に申し入れているところでございます。 他に同様の改ざんが行われていたかについては、引き続き社内において調査してまいります。
なお、調査の結果につきましては、判明次第速やかに公表いたします。
とのコメントを発表しております。
目次
tateruってどんな会社?
もともとの社名は「インベスターズクラウド」という会社でしたが、社名変更により「TATERU」となりました。
◯社名変更の目的
当社は、「ネット×リアルで新しいサービスを」という経営理念のもと、アパート経営プラットフォーム「TATERU」事業を主力として事業展開を行なっております。当社は「TATERU」のサービス強化、知名度の向上を図ってまいりましたが、サービス名である「TATERU」を社名として起用することで、業界における知名度およびブランド力の更なる向上と、より効果的な事業展開を目指し「株式会社TATERU」に社名変更いたします。
ネットでのSEOやアプリの開発による集客から、一棟アパートの建築・管理をメインとした会社さんです。
西京銀行ってどんな銀行?
西京銀行は2018年3月期連結決算の当期純利益は前期比2.8%増の42億4700万円で7期連続の増益となり、過去最高を更新しています。
投資用のアパートローンなどへの融資で成長を続けており、貸出金残高は1兆1015億円に上る。
関西や九州の物件を所有している方で、西京銀行さんから融資を受けている方も多いのではないでしょうか。
スルガ銀行さんよりも低金利で投資物件に融資をしてくれるので、その方面(関西・九州)で物件を販売している不動産会社には重宝されている銀行さんです。
預金残高改ざん。なぜそんなことを?
TATERUはなぜ預金残高を改ざんしてしまったのでしょう?
その理由は「西京銀行からより融資の承認を取り付けやすくするため」に他なりません。
不動産投資の融資は自宅のそれに比べて審査が非常に厳しいです(昨今問題になっているスルガ銀行などを除く)。
お金を貸す立場になったときにあなたならどちらに融資しますか?
A、不動産投資したい!預金は0円です!
B、不動産投資したい!預金は1000万あります!
もちろん後者のBさんですね。
なので、今回の一件でいうならば、TATERUは顧客の融資を通りやすくする為に、顧客の預金残高を水増しして西京銀行に提出し、融資を受けやすくしようとしたのでした。
また、不動産投資における預金残高の重要性に関しては
にまとめて記載しておりますのでご覧ください。
スルガ問題と似ているが・・・
「スルガ銀行に金融庁立ち入り(シェアハウス)内部は不正だらけ?」でもお伝えしましたが、スルガ銀行で不動産投資の融資を受ける際に、不動産業者が顧客の預金残高を水増し改ざんしてスルガに提出していたことが問題となりました。
もっと問題なのは、スルガ銀行もそれを黙認していたという状況でしたが、今回の西京銀行さんでは今のところそのような報道は出ておりません。
よって西京銀行さん的には不動産業者のねつ造資料で危うく騙されそうになった!という状況でしょうね。
何度も言ってますが、金融機関は預金残高をしっかり把握したいならば、原本確認を義務付ければよいのです。
コピーやネットバンキングなどで対応するからこのような不正が起こるんです。
顧客の不可解な対応が気になる・・・
この一連の事件で一番不思議に思ったのが顧客の対応です。
ネットによると当事者のAさんはTATERUでアパート購入を決意し、西京銀行の融資審査でOKも出たが、スルガ銀行の事件で自分自身が不安になって銀行に問い合わせしたそうです。
すると、預金残高が改ざんされていることが分かった。
Aさんはすぐに手付解除と違約金、損害賠償合わせて1200万円の支払いを要求・・・。
Aさんはアパート経営したかったんですよね?
だから金融機関に申し込みをしたわけで・・・
もし本当にアパート経営がしたかったのならば、金融機関より審査OKが出た時点で大喜びです。
それをわざわざ今回のように自分が不利になるような行動をとらないですよね?
この顧客の心境は理解しかねますが、強いて言うなら
「俺がやりたかった不動産投資で融資審査が通りやすいように改ざんしやがってー!TATERUめー!許さん!」
でしょうか。
ちょっと矛盾しすぎて、やはり理解しかねますね。
メールのやり取りなども全てマスコミにリークし、最終的には不動産会社に対して多額の違約金を請求してますし・・・
ハナからこうするつもりでTATERUと契約した?かどうかの真相までは分かりませんが、そのように思われても不思議ではないかと思います。
TATERUの現在
現在のTATERUは最盛期2018年12月期の売上高791億円をピークに、2020年12月期の売上高61億円へと激減しています。
株価に関しても2018年3月の2437円をピークに現在は10分の1以下に推移してます。
経営方針もアパートの販売から賃貸管理メインのストック収入ビジネスに転換を図っています。
まとめ
融資資料の改ざんはまだまだ出てくるでしょう。
今回の一件でもそうですが、今後より一層不動産投資に対しての融資が厳しくなるのは間違いありません。
現にオリックス銀行さんでも年収400万円代の取り扱いは無くなります。
不動産投資のよいところは自己資金がほとんど必要なく資産が残せるところなのですが、本当に預金が0円で、まったく貯金がない!という人は手を出さないほうが良いです。
不動産会社さんも低属性の人に無理やり細工をしてローンを通している時代ではありません。
「しっかりとした属性の方にしっかりとした物件を販売する」当たり前のことですね。