ワンルームマンション投資を検討するにあたって、毎年かかる固定費で「固定資産税」と「都市計画税」があげられます。両方合わせて「固都税」なんていう風に略称で呼ばれることもありますが、固定資産税の「固」と都市計画税の「都」の頭文字をとっているわけです。
目次
そもそも固定資産税って何?
固定資産税とは毎年1月1日時点で所有している土地や建物などの固定資産にかかる市町村の税金です。投資用のワンルームマンションを購入すれば、当然そのワンルームマンションの所有者になる訳ですから、固定資産(不動産)を所有することになります。保有以降は毎年固定資産税の支払いが所有者の義務となります。これは何も投資用のワンルームだけでなく、自宅のマイホームを所有したとしても毎年かかってくる税金です。
そもそも都市計画税って何?
都市計画税とは、「市街化区域」に存在している土地や建物に対してかかる税金です。「市街化区域」とは読んで字のごとく「既に市街化している地域」や「これから市街化していく予定のある地域」のことです。ちなみに首都圏のワンルームに関してはほとんどがこの「市街化区域」に建築されています。市街化していないし、これから市街化する予定もない山の中にマンションを立てても需要が無いですし不動産投資が成り立ちません。また様々な規制もありそのような場所にはワンルームを建築することはありません。ということは必然的に首都圏で投資用のワンルームを購入すれば「都市計画税」を「固定資産税」と一緒に収めることになる訳です。
固定資産税は誰が支払うの?
不動産の所有者(ワンルームオーナー)です。気を付けなければならないのは、物件を購入した初年度です。この固定資産税は、毎年の1月1日(元旦)に不動産を所有している人に請求がきます。
例えば、2024年7月にあなたが物件を購入したとしましょう。その年の固定資産税は2024年の1月1日にその物件を所有していた前所有者に請求がいきます。その前所有者が2024年の固定資産税1年分の支払いをするのでは、ちょっと納得できませんよね。なぜなら2024年7月からその物件の所有者はあなたに代わっているのですから。
よって
- 1月1日から6月までの固定資産税は前所有者
- 7月から年末までの固定資産税は現所有者(あなた)
という形で日割り清算(物件購入時)します。
そうなると、購入する月によもりますが、あなたが支払う初年度の固定資産税は通常の半分くらいになるわけです。翌年の確定申告で経費計上できる固定資産税は、あくまであなたが支払った分の固定資産税ですから、初年度に経費計上できる固定資産税は通常よりも少なくなるのです。
このような固定資産税の日割り清算などは基本的に不動産業者が全てやってくれるので、あなたが何かする必要はありません。
固定資産税はいつ支払うの?
固定資産税の納税通知書が4月~6月頃に所有者の住所に郵送で届きます。
各市区町村によって、納税通知書の発送時期が微妙に異なります。
固定資産税はどこに支払うの?
その物件の所在地の「市区町村」に納付します。
固定資産税はどうやって支払うの?
自宅に届いた納税通知書を持って、役所や金融機関窓口に行って現金で支払います。
支払バーコードがあれば所定のコンビニなどでも支払OKです。
現金を持参して支払うのが面倒な方は、銀行や郵便局で事前に口座を登録しておいて口座振替による引き落としも可能です。
また、近年ではクレジットカードや電子マネー対応した市区町村もあるようなので購入物件所在地の市区町村に一度確認をお勧めします。
「一括払い」も可能ですし、年4回に分けて納付する「分割払い」も可能です。
固定資産税には以下のように納付期限がありますので注意してください。
特に一括払いの場合は4期に分けた場合の1期分の期限までに支払いしないと、延滞金などがかかる可能性もありますのでご注意ください。
固定資産税を払えないとどうなるの?
固定資産税を払えないとどうなるのでしょうか?
先ず固定資産税を滞納すると納付期限の翌日より延滞金が発生します。
次に納付期限から20日以内に市区町村より「督促状」がとどきます。それでも納付しない場合には次に「催告状」が届きます。これが最終の通告となり、これでも支払わない場合には財産調査・身辺調査が行われます。ここでの調査範囲は家族や勤務先・取引先にまで及ぶ可能性があります。
この調査で差し押さえるべき財産が見つかった場合には財産が差し押さえされます。直ぐに不動産が差し押さえられるというよりも、先ずは給与や預金の差し押さえが一般的に行われます。
固定資産税が払えない時の対処法
とにかく直ぐに納付書や催告書の発行元の自治体に連絡して相談するのが最優先です。一括での支払いが難しい場合には「分納」を認めてくれたり、「納税の猶予」が認められる場合もあります。納税の猶予が認められると延滞金の免除が受けられる可能性もあります。
固定資産税が払えないから自己破産しようなどと安易に考えてはいけません。税金などは「非免責債権」と言われ自己破産による免責の対象外となっています。よって自己破産したからといって固定資産税の支払からは逃れられないということになります。
固定資産税は節税できるのか?
固定資産税の計算は
- 「固定資産税評価額×標準税率(1.4%)」
都市計画税の計算は
- 「固定資産税評価額×標準税率(0.3%)」
で計算することができます。
しかしながら、
ワンルーム投資においては多くの場合、「小規模住宅用地の特例」と言われる固定資産税が軽減される特例が適用されます。つまり、建物部分についても土地部分についても一定の要件を満たすことで、特例による減税措置を受け固定資産税を軽減できます。
特例による減税措置は大きく分けて2つありあます。
- 土地:小規模住宅用地の特例(減税措置)
- 建物:新築物件における特例(減税措置)
軽減率は以下の通りです。ほとんどの区分ワンルームマンションは200㎡以下ですから下記の軽減率が適用されます。
次に新築住宅における特例です。
2026年の3月31日までに下記条件を満たす住宅を新築した際には軽減措置を受けることができます。また、認定長期優良住宅などを新築した場合には最大で7年間、固定資産税が1/2に減額されます。適用要件は以下の通り。
- 認定長期優良住宅である新築住宅
- 床面積が50~280m2(貸家の場合は40㎡~280㎡)
- 3階建て以上の耐火・準耐火構造住宅
- 住宅以外の部分がある場合は住宅部分の床面積の割合が全体の1/2以上である
- 平成17年1月2日~令和8年3月31日までに新築されたマンションであること
ワンルームマンションなどの場合は面積の要件を満たさないことが多い為、減税措置を受けるのは難しいです。適用要件はかなり細かいので、自己判断せずに税理士などの専門家に詳しく相談することをおすすめします。
ワンルームマンションの固定資産税・都市計画税は大体いくら?
都内のワンルームマンションの固定資産税・都市計画税は両方合わせて年間4〜8万円程度です。
もちろん広さ(㎡)や築年数によってもばらつきがあります。
ではその固定資産税・都市計画税はどうやって計算するのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
固定資産税の計算方法
固定資産税は「土地」と「建物」の2つに分けて請求が来ます。
固定資産税を詳細に計算するには、都税事務所(23区内の物件の場合)で「土地の固定資産評価証明書」と「建物の固定資産税評価証明書」の2枚を取得します。
※以下「土地・建物の固定資産評価証明書」
土地の固定資産税を計算しよう
土地の固定資産税の計算機は以下の通り。
- 固定資産税課税標準額×1.4%×持ち分比率
赤で囲った部分が建物一棟の土地の固定資産税課税標準額(こちらはすでに6分の1の小規模宅地の軽減税率の適用を受けた後の価格)となります。
これに1.4%を掛けた数字がこのマンション一棟の土地の固定資産税となります。なので
22,804,813円×1.4%=319,267円
ですね。ただし、今回はワンルーム1部屋の所有ですからこれを自分自身の部屋の持ち分で按分します。
按分率は青枠に記載してある通り。
319,267円×(2046÷108438)=6,023円
これがワンルーム1部屋の土地分の固定資産税ということになります。
建物の固定資産税を計算しよう
建物の固定資産税の計算機は以下の通り。
- 固定資産税課税標準額×1.4%
緑が建物の評価額(持っている部屋の固定資産税課税標準額)です。
これに1.4%を掛けたものが建物の固定資産税(1部屋分)となりますので
2,789,400×1.4%=39,051円
これがワンルーム1部屋の建物分の固定資産税ということになります。
先ほど計算した、「土地分の固定資産税6,023円」と「建物分の固定資産税39,051円」を合計すると
45,074円となります。
100円未満は切り捨てになりますので、45,000円がこのワンルームの土地と建物の固定資産税となります。
都市計画税の計算方法
こちらも「土地」と「建物」に分けて請求がきますのでそれぞれ計算してみましょう。
計算方法は先ほどの固定資産税を算出したのとほぼ同じ要領で行います。
※以下「土地の固定資産評価証明書」
土地の都市計画税を計算しよう
土地の都市計画税の計算機は以下の通り。
- 都市計画税課税標準額×1.4%×持ち分比率
オレンジで囲った部分が建物一棟の土地の都市計画税課税標準額(こちらはすでに3分の1の小規模宅地の軽減税率の適用を受けた後の価格)となります。
こちらに0.3%を掛けます。すると一棟の土地の都市計画税が計算できます。
45,609,628円×0.3%=136,828円
ただし、ワンルーム1部屋の所有ですからこれを自分自身の部屋の持ち分で按分します。
按分率はの青に記載した通り。
136,828円×(2046÷108438)=2,581円
これがワンルーム1部屋の土地分の都市計画税ということになります。
建物の都市計画税を計算しよう
建物の都市計画税の計算機は以下の通り。
- 都市計画税課税標準額×0.3%
緑が建物の評価額(持っている部屋の固定資産税課税標準額)です。
これに0.3%を掛けたものが建物分の都市計画税となります。
2,789,400×0.3%=8,368円
これがワンルーム1部屋の建物分の都市計画税ということになります。
先ほど計算した「土地分の都市計画税2,581円」と「建物分の都市計画税8,368円」を合計すると
10,949円となります。
100円未満は切り捨てとなりますので、
10,900円がこのワンルーム1部屋の土地と建物の都市計画税となります。
よって
固定資産税45,000円(土地分+建物分)+都市計画税10,900(土地分+建物分)=55,900円がこの物件の固都税となります。
固定資産税は変動するのか?
固定資産税は築年の要素で金額が変動します。
「建物(家屋)」に関する固定資産税の金額は築年数が経過するごとに徐々に減少していく傾向にあります。なぜなら、建物の価値は経年ととも徐々に減少すると考えられるからです。
また、3年に1度の「評価替え」によって、課税標準額は見直しが行われます。しかしながら昨今では首都圏の土地の価格高騰により「土地部分」の固定資産税は増加しているワンルームマンションも多くありますので注意しましょう。
不動産投資でかかる8つの税金
不動産投資でかかる税金は固都税だけではありません。
そこで、不動産投資でかかる税金とその課税のタイミングをわかりやすく表にまとめましたのでご覧ください。
不動産購入時
1.不動産取得税
不動産購入時や相続時に1回だけ支払う税金です。
2.印紙税
不動産売買契約書にかかる印紙税の金額は以下の通りです。
またローンを組んで不動産投資する場合は銀行との金銭消費貸借書にも印紙税がかかります。またその際は融資を受ける金額が以下の図の契約金額となり、それに該当する印紙税がかかります。例えば2000万のローンを組む場合には1万円の印紙税がかかります(軽減税率適用後)。
3.登録免許税
不動産を取得した場合に法務局に登記する場合に必要な費用です。
不動産運用中
1.固定資産税・都市計画税
今回の記事参照。
2.所得税・住民税
投資物件で家賃収入を得ると所得税と住民税を支払います。ワンルーム投資では不動産所得が赤字になりやすく節税にもなりますが、中長期で保有していくと黒字化し、所得税や住民税をおさめなければならないこともあります。
3.消費税
店舗など居住用以外の不動産を賃貸して得た収入の年間家賃総額が1000万以上の場合にかかります。
不動産売却時
1.譲渡所得金に対しての所得税・住民税
不動産を売却した際にかかる税金です。
税金も含めた運用シミュレーションを
ワンルーム投資を検討する際に、業者から提案される収支シミュレーションでは固定資産税や不動産取得税などが毎月の収支に加味されていない場合がほとんどです。
都内の中古ワンルーム(築15年程度)の固定資産税は大体6万円程度ですから、それを月割りすると大体毎月5000円程度の出費となります。固定資産税は確かに毎月支払うものではないですが、毎年必ず掛かるコストなので、月割りでその費用をシミュレーションに組み込むことをお勧めします。
また、ワンルーム投資でかかった税金は確定申告で経費として計上することが可能です。確定申告の際には忘れずに固定資産税を経費計上しましょう。
ワンルーム投資の収支計算は1Rシミュレーションで
私の開発した1Rシミュレーションを利用すれば毎月の固定資産税も含めたトータルのワンルーム投資のシミュレーションが可能です。
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まとめ
ワンルームマンション投資を検討するにあたり、固定資産税などの固定費は必ず掛かってきます。節税によるシュミレーションで、税金をあたかも納めなくてもよいかのようなギリギリの営業トークもよく聞きます。
ワンルームマンション投資ではそもそも大きな節税が長期間つづくことはありません。
毎年の固定資産税に関しては、今回のような計算方法で大体の金額を把握することができますので、ワンルームマンション投資を検討する場合には、できれば事前に1Rシミュレーションで計算してより詳細なシュミレーションをした上で資金計画をたてましょう。