皆さんOYOってご存知でしょうか?
2012年に設立されたインド発のベンチャー企業で、ホテルや住居などの運営、リース、フランチャイズしている企業です。
ホテルでは、提供客室数ベースで世界第2位(110万室)と業界では有名な存在です。
そんなOYOが日本にてマンスリー賃貸住宅サービスを始めました。
運営会社は「OYO LIFE」です。
今回はそんなOYO LIFEの特徴や仕組み、その危険性などについて詳しくお話ししていこうと思います。
目次
OYOLIFEの現状
いつもOYO LIFEをご利用いただき、誠にありがとうございます。
OYO Japan(以下「当社」)が運営する不動産賃貸事業「OYO LIFE」は6月1日付けで、KC Technologies株式会社に事業承継致しました。今後の事業の運営主体はKC Technologies株式会社となります。
また当社が運営するウェブサイトwww.oyolife.co.jp、アプリOYO LIFE(iOS版)、OYO LIFE(Android版)につきましては、6月1日をもちまして運用を終了させていただきます。
現状は事業を売却し新規の申し込みを停止しているようです。
OYO LIFEの特徴
OYOLIFEの特徴を順番に解説します。
契約までがとにかく早い
OYO LIFEの最大の特徴は「お部屋探しから入居までをスマホ1台で完結できる」というサービスです。
ホテルの部屋を予約する感覚で賃貸住宅の契約ができます。
通常の賃貸住宅に住む場合、事前に
- 「お部屋の内見を不動産業者に依頼」
- 「実際に内見」
- 「申し込み」
- 「必要書類など準備して入居審査」
- 「契約」
という5つの段階をこなさなければなりません。
どんなに急いでも1週間程度はかかります。
しかし、OYO LIFEのサービスであれば、
- スマホでお部屋探しから契約までワンストップ
で終了です。
最短30分でお部屋が決まります。
初期費用がとにかく安い
通常の賃貸を契約する場合、初期費用がかかります。
- 敷金(家賃1カ月程度)
- 礼金(家賃1カ月程度)
- 仲介手数料(家賃1カ月程度)
- 保証会社使用料(3万円~家賃1カ月程度)
- 火災保険料(2年で1万程度)
- etc
の料金がかかります。
例えば、賃料が8万円のワンルームに入居しようとした場合
- 敷金(8万円)
- 礼金(8万円)
- 仲介手数料(8万円)
- 保証会社使用料(約5万円)
- 火災保険料(約1万円)
で、合計すると、初期費用だけで30万円の初期費用がかかります。
これに比べると、OYO LIFEの初期費用は0円です。
水道光熱費、wifiも家賃にコミコミ
通常の賃貸であれば、水道光熱費やネットは入居者が負担します。
1人暮らしの毎月の水道光熱費は1万円程度と言われています。
ネット環境は、各ネット会社様々ですが、毎月4000円程度が相場かと思います。
毎月約1万4千円程度の出費が抑えられるのは入居者にとって非常にありがたいですね。
家具家電付き
OYOの賃貸住宅は基本的に家具家電付のお部屋が多いです。
ベッド、テーブル、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫などが既にお部屋に設置されているのです。
始めての1人暮らしで、家電家具を全て購入するとかなりの金額になります。
また、数カ月程度1人暮らしする場合にも需要はありそうですね。
OYO LIFEのデメリットは?
OYOLIFEのデメリットを解説します。
家賃が高い
OYOの賃貸住宅は家賃が高いです。
そりゃそうですよね。
初期費用もなし。
水道光熱費・wifiコミですもん。
ではどのくらい家賃が高いのか見てみましょう。
東神田にある同じ物件で同じ程度の部屋が丁度空室で出ておりましたので、比較してみました。
家具・家電でいくらのモノを購入するかにもよりますが、一般の賃貸のように2年間住むと仮定しましょう。
そうすると、
OYOは合計451万
通常の賃貸は合計407万+家具代
といった結果でした。
長く住むなら通常の賃貸がお得
差額は44万ですが、さすがに1Kで家具を一式揃えても44万は行かないかと思いますので、
- 普通に2年間住むならば「通常賃貸」がお得
- 1年以内で引っ越しをするなどの事情があれば、OYOがお得
OYOのテーマは「旅するように暮らす」なので、まさに短期で住所変更するような方には非常にコスパによいサービスであると言えるでしょう。
都内のワンルームをOYOか借り上げ?しかし苦戦中
都心のワンルームをOYOが借り上げて、それを転貸する事例が増えているようです。
OYOが各不動産管理会社に営業し、空室の物件などを借り上げしているようです。
しかし、そもそも都心のワンルームは入居率が非常に高く空室の物件を探すことに苦戦しているようです。
借り上げ物件戸数が増えないと、収益は上がりません。
よって、必然的に多くの物件を短期間で借り上げしようとすれば、地方物件も視野に入れざるを得ません。
地方物件でサブリース・・・
まさにレオパレスですね。
実際、OYOのビジネスモデルはレオパレスとほとんど変わりません。
唯一の違いとしては、「スマホで契約完了できる」という点だけです。
入居が埋まらない?OYO大学とは?
2019年11月に起業家養成プログラム「OYO大学 Global Incubator Camp」が開講されました。
ビジネススキルを磨いたり、起業家を育成することが目的らしいです。
そのOYO大学の参加費を見ると・・・
参加費・入居物件
▪︎参加費:29.8万〜(「OYO LIFE」3ヶ月の住居費用。プログラム付き)※OYOLIFE物件の中で、弊社指定の物件以外にお住まいをご希望される場合、上記金額が異なる場合がございますのでご留意下さい。
▪︎入居物件:
「OYO LIFE」1K物件(家具家電付き)
OYO LIFE HPより
OYOLIFEの指定物件(借り上げている物件)への3か月分の入居費用が参加費に含まれているようですね。
ここを見ても分かりますが、借り上げた物件の空室を埋める為に必死なのが分かります。
かぼちゃの馬車に似ている気が・・・
かぼちゃの馬車のコンセプトに、
「地方の若い女性にシェアハウスに住んでもらい、さらには職業を斡旋する」
というものがありました。
それと今回の「OYO大学」何となく似てますよね。
OYOもかぼちゃの馬車もどちらにも共通するのは
- 相場よりも高額な賃料設定
- 物件以外の部分で付加価値を付けて入居を付けようとする(職業斡旋、スキル習得など)
ということです。
結局、都心から外れた地域で高額なサブリースをすれば、必ず失敗します。
それはレオパレスもそうでしたし、スルガの地方一棟でもそうでした。
※レオパレス、スルガ地方一棟は以下の2記事にまとめて記載しております。
⇒スルガ銀行を使った、シェアハウス(かぼちゃの馬車)、地方一棟RC、地方一棟アパートに要注意
OYOによる一方的な申し込みの取り消しが頻発?
OYOに物件を借り上げてもらう場合、基本的にはサブリースと同じなので、オーナーとOYOが賃貸借契約を結びます。
- 管理会社にOYOから物件借り上げしたい!と申し出
- 管理会社はオーナーに確認
- オーナーの承諾が出れば、管理会社は申し込みを勧める(一般の入居募集をストップ)
- 実際に契約
こんな感じの流れで、契約になりますが、4.の契約直前で申し込みを取り消される事例が頻発しているようです。
オーナーとしては、既にお部屋に申し込みが入っているので当然契約になると思っています。
その時点でお部屋の入居募集はストップします。(2重で申し込みにならない為)
申込を勧めるにあたり、当然時間は消費します。
契約直前にキャンセルされると、オーナーや管理会社も大迷惑です。
中には数カ月間申し込みを引っ張られて、その期間全く入居募集が出来ずに、契約直前でキャンセルとなり単なる機会損失で終わってしまったオーナーさんも多いようです。
OYO年内(2019)新規の借り上げを一旦ストップ?
管理会社さんから聞いた話によると、何件かOYOによる借り上げの申し込みを進めていたようですが、突然OYO側から連絡があり、申し込みが全て白紙となったようです。
OYO担当者曰く、「パンクしちゃって年内の新規申し込みをストップすることになった」とのこと。
パンクというのは、要するにOYOが借り上げたお部屋に入居者が付かずに、入居付けに苦戦しているという意味です。
結局のところ「サブリース」ですから、借り上げたお部屋に入居者が付かなければ、そのサブリース賃料はOYOが負担しなければなりません。
OYOの借り上げ物件には融資しない!という金融機関もでてきた
投資用のワンルームでは、融資の受けられる金融機関が限られています。
ワンルーム投資を始める場合は、そんな限られた金融機関から融資を受けて物件を購入することになる訳ですが、そもそも融資が受けられない!となれば、物件所有者は「物件の売却時」に大きな支障をきたします。
融資を受けられないワンルームはどこの業者も買いたがりません。
その仕入れた物件を販売する際に苦労するのは業者ですからね(現金客しか相手にできない為)
どこの業者も買いたがらない、ということは売却価格は当然のように下がってしまいます。
これはOYOに限らずですが、基本的にサブリースを選択すると売却時にほとんどの場合「不利」になります。
まとめ
入居者の視点から見れば、確かに短期間の居住であればOYOは非常にメリットも大きいです。
しかし、その逆に長く住む(2年以上)前提ならば、一般の賃貸の方がお得な場合が多いです。
投資物件のオーナーの視点から見ると、まだまだOYOの内部制度?が整っていない現状もあり、実際に迷惑や被害を受けているオーナーや管理会社さんのお声もちらほら聞きます。
そもそも空室を上手く埋められていないようなので、今後このビジネスモデルが長続きするようには思えません。
ワンルーム投資はあくまで「単身者の居住ニーズ」への投資です。
この原点だけは今後もブレることはありません。
サブリースはオーナーさんにとっては便利で安心に思えますが、その裏には大きなデメリットやリスクも存在します。
安易に選択しないよう十分にご注意下さい。