ワンルームマンション投資の原状回復「東京ルール」について(サムネイル画像)

ワンルームマンション投資で、入居者が退去した場合にオーナー負担で「原状回復費用」が発生する場合があります。

入居者がいつ退去するのか?

を予測することは難しく、中古ワンルームを購入した場合など、購入してすぐに退去が発生し「原状回復費用」としてオーナー負担が出る場合も少なくありません。

今回は原状回復費用について詳しく見ていきましょう。

※動画でも詳しく解説しております。

原状回復とは?

現状回復とは簡単に言うと「借りたお部屋を元の状態に戻して返す」ということです。

ワンルームマンションは4年程度で退去するのが平均です。

退居する1~2カ月前までに入居者から退去予告があります。

退去日にお部屋の状況を管理会社立ち合いの元に行い、原状回復の工事の見積もりをして清算します。

退居までの流れ

この時に入居者とオーナーの費用負担が決まります。

ここで注意しなければならないのが、お部屋を「元の状態に戻す」という考え方です。

文章だけ見ると、「入居時の真新しい状態に戻す」と勘違いしがちですが実はそうではありません。

詳しく言うと「本来存在したであろう状態にまで戻す」という考え方です。

「本来存在したであろう状態」とは、契約によって定められた適正な使用であれば経年劣化していてもそのままの状態(修繕しなくてよい)で返還すればよいということになります。

例えば代表的なものにお部屋のクロス(壁紙)などがあります。

長年住んでいればクロスも日焼けしたり、自然とはがれてきたりするわけで、それは入居者のせいではなく自然と劣化した(経年劣化)ものです。

この場合のクロス張替え費用はオーナー負担となります。

しかしながら、入居者の故意、過失によって生じた汚れや傷みは当然に入居者負担での補修となります。

ではその経年劣化による負担割合はどのようにきまるのでしょうか?

実は、その規定となる「東京ルール」なるガイドラインが存在します。

東京ルールとは?

東京ルールとは民間の賃貸住宅における

  • 退去時の原状回復におけるトラブル
  • 入居中の傷や修繕におけるトラブル

を防止する目的でつくられた「条例」になります。

賃貸マンションに入居した経験のある方であればわかると思います。

賃貸マンションの入居契約をする際に、宅建士より重要事項説明を受けますが、その際に別紙で「賃貸住宅紛争防止条例(東京ルール)」についての説明を必ず受けなければなりません。

入居者は入居中の傷や修繕、または退去時の原状回復についてしっかりと理解した上で賃貸マンションの契約を行うのです。

東京のマンションだけに適用されるルールなの?

と勘違いされる方も多いですが、この契約形態は全国に広まっております。

経年劣化や通常摩耗はオーナー負担

入居者が通常の使用方法によってお部屋を使用していた場合、自然劣化した部分に関してはオーナーがその修繕を負担します。

しかしながら、入居者の使用方法が悪かったり、故意、過失による劣化や故障に関しての費用は入居者が負担します。

また、故障などを放置したことによって生じた傷や不具合も入居者負担となります。

オーナーと入居者の負担割合

オーナーと入居者の負担割合は下記のような形で決定します。

原状回復の負担割合の図賃貸住宅トラブル防止ガイドラインより

現状回復におけるオーナーと借主の負担割合(詳細)

賃貸住宅トラブル防止ガイドラインより

ハウス(ルーム)クリーニング費用はどちらの負担?

お部屋のクリーニング費用に関してですが、原則はオーナー負担となります。

しかしながら、契約時の特約として「ハウスクリーニング費用は入居者負担」とされている契約が多いので、ほとんどの場合は入居者負担となっているでしょう。

ハウスクリーニングは

  • エアコンや水回りの清掃
  • 玄関やトイレの清掃
  • 床のワックスがけ
  • サッシや網戸のクリーニング
  • その他清掃

のことを指します。

契約時に特約として金額などが明示されておりますので、入居者もそれを理解した上で入居します。

よって、入居者が退去する際にお部屋をきれいに掃除したところでクリーニング費用が安くなることはありません。

まとめ

ワンルームマンション投資を始めるにあたって、当初の収支計算だけに目を奪われて、原状回復の費用などを計算に入れていない事例が多くあります。

毎月の収支とは別に賃貸経営をする際にはこのように突発的な出費があることも忘れてはなりません。