ワンルーム投資で家賃を値上げするポイントと注意点を徹底解説

今回の動画の内容について 今回はワンルーム投資における家賃の値上げについて解説します。

家賃が上がればワンルーム投資の収益性も高まるので、オーナーにとってはメリットですが、実はその裏には隠れたデメリットやいくつかの注意点が存在します。

家賃を上げるためには正当な理由が必要で、主に退去時や更新時に行うことが多いです。

どのような流れで家賃を上げるのか?そのポイントと時系列図も作成しましたので、最後までご覧ください。

家賃値上げの現状

楽待さんのアンケートを参考にお話しをさせていただきます。

投資用不動産所有者200人を対象としたアンケートで家賃の値上げに関しての質問をしたデータになります。

結論からいうと約3割のオーナーが家賃値上げしていることが分かりました。家賃値上げ(楽待アンケート調査)

ではどのような理由から家賃を値上げしているのか?というと以下の通りの結果となりました。

家賃を値上げした理由(楽待アンケート)

では気になる家賃値上げのタイミングについては以下の通り。

賃料値上げのタイミング(楽待アンケート)

73%が入退去時に賃料を上げており、25%が更新時期、2%で入居中という回答でした。

では、実際に家賃はどのくらい値上げできたのか?は以下の通り。

いくら家賃を値上げできたのか(楽待アンケート)

実際には5000円未満の値上げが約8割を占めております。

様々な広さの物件がある中で、具体的に賃料を上げられたワンルームや単身向けマンションの割合はどのくらいなのか?

実際に賃料を上げられた物件の間取りや種類(楽待アンケート)

単身向けの1Rや1LDKなどの間取りが約8割と占めています。

では具体的にどのような立地の物件の家賃が値上げできたのでしょうか?

家賃を値上げできた物件の立地(楽待アンケート)

家賃を値上げする為には?

先ず、大前提として家賃を値上げする為には正当な理由が必要となります。

借地借家法の第32条で定められている「借賃増減額請求権」。この規定によると、契約の当事者である大家さんや入居者は、互いに家賃の値上げや値下げを求めることが可能です。ただし、実際に値上げや値下げ請求するには「正当な理由」がなくてはなりません。

正当理由は大きく分けて以下の3つです。

  1. 経済的な状況の変動
  2. 物件の維持費や税金の上昇
  3. 周辺家賃相場との乖離

よって、以下のような場合だと家賃の値上げは難しいといえます。

  1. ただオーナーが収入増やしたいだけ
  2. そもそも周辺の相場よりも現賃料が高い
  3. そもそも契約書に値上げしないと記載してある場合

賃料値上げのタイミングはいつがいい?

値上げのタイミングは大きく分けて3つ存在します。

値上げ成功の可能性の高い順に紹介していきます。

入退去時のタイミング

入居者が退去したタイミングで新規の賃料募集を行う訳ですが、その際に賃料を値上げして募集を行います。

基本的にサブリースでなければ、オーナーに賃料を決める権限がありますので、いくらで募集しようがオーナーの自由です。

更新時のタイミング

普通賃貸借契約を入居者と結んでいる場合は基本的に2年に1度の更新があります。

その更新のタイミングで賃料を値上げするのです。

しかしながらこれにはリスクもあるのでそのあたりは後述させていただきます。

また更新のはがきを送るタイミングなども把握した上で戦略的に行わなければならないので、更新の全容を理解しておかなければなりません(こちらも後述します)

入居中の任意のタイミング

更新の時期以外のタイミングでの値上げ。

賃料値上げ時の注意点やリスク

更新時の賃料値上げには以下の3つのリスクがります。

  1. 退去してしまう
  2. 交渉まとまらずに揉める。(法定更新、調停、訴訟⇒逆に賃料減額も)
  3. 滞納や夜逃げリスクの増加

1.3.に関しては賃料がいきなり増加するのですから入居者からしてみれば当たり前の話です。

2.に関しては法律も絡んでくるので非常に厄介です。

これを理解する為には先ずは通常の賃貸借契約を理解しておく必要があります。

一般的な賃貸借契約

以下は一般的な賃貸借契約書の事例です。

ほとんどの場合、賃貸契約の更新は「自動更新」となっております。つまり従前(いままでの)の契約内容と同じ内容で更新していきます。

更新しない場合は更新の○カ月前までに「更新しません!(退去します!)」と書面で意思表示しないと自動で更新になってしまうよ、というものです。

賃貸借契約に基づいて事前に値上げを通知

更新の○カ月前までにオーナー側から賃料の値上げの旨を通知して、そのうえで「更新するのか?しないのか?」入居者に交渉します。

簡単な話ですが入居者が値上げした賃料で「それでOK」となれば普通に更新して話はめでたくそこで完結します。

家賃値上げがスムーズに進む場合

しかしながら、入居者がその値上げを拒んできたり、連絡がとれなくなったりすると非常に厄介です。

家賃の値上げがスムーズに進まない場合

その場合具体的にどうなるかというと、オーナー側は「法定更新」のリスクを背負うことになります。家賃増額を拒否されると法定更新のリスクを背負う

賃料値上げの話がうまくまとまらずに、更新時期を迎えたとしましょう。

そうなると「法定更新」という状態に突入します。

借地借家法にて入居者は強く保護されており、その入居者を守るための制度が法定更新です。

この状態に突入すると、

  1. 更新という概念が無くなる
  2. 入居者が従前の賃料を支払ってればよい

という形になります。

賃料は値上げできないの従前の賃料が入ってくる分にはそこまで大きな問題はないですが、今後更新が無くなるので、更新料が入ってこなくなる可能性が大きくなります。

法定更新のリスクを下げる為にはどうしたら?

家賃値上げによる更新の事前通知を早めに入居者に通知しておくことです。

更新の直前になっていきなり賃料を上あげる連絡をすれば当然入居者も戸惑うでしょう。

一般的な更新契約書の事前通知のスケジュールは以下の通りです。

賃貸借契約の更新における事前通知のスケジュール

契約期間満了の1~2カ月までが更新連絡期日となります。つまりそこまでに更新するかしないかハッキリと書面で提出してね、という期日です。

その期日の2~3カ月前あたりから更新の書類を送付します。

契約満了の4~5カ月前から更新の通知を送付するので、そのさらに1カ月くらい前から「更新の値上げ」の準備をしておかなければなりません。

上記の図の場合でいうと更新連絡期日が10月1日ですから、それまでに値上げの交渉が上手くまとまれば御の字ですし、交渉の猶予期間(2~3カ月程度)もあるのでより交渉はまとまりやすくなる傾向にあるかと思います。

家賃値上げのコツ

入居者の立場になることが非常に重要です。

入居者が納得する説明資料を作成

先ずは客観的に入居者が納得できる資料を作成しましょう。管理会社に委託している場合はそのような資料を作ってもらうのも1つの方法です。

資料を作る際のポイント

  • 周辺の家賃相場をしっかり調べる
  • 同物件の同㎡程度の成約賃料調査(レインズ,ATBBなど)
  • 公示地価、路線価、固定資産税評価額など
  • 運営コストの増加資料など

簡単にいれば、これだけ周辺賃料、同物件賃料が上がってます!これだけ運営コストが増加してます!といったことが客観的に判断できる資料を作成するのが良いでしょう。

入居者にもメリットがある施策を

入居者にとっては賃料が上がることはデメリットでしかありません。

いくら資料で説明したところで、なかなか理解してもらえないこともあるでしょう。

そのような場合にが具体的に入居者にとってもメリットがある施策を考えましょう。例えば

  • 新たな設備の導入
  • 更新料の減額など

などが有効です。

値上げはメリットだけでなくリスクもある

万が一のリスク(法定更新など)も加味した上で値上げ交渉を行うようにしましょう。

また更新ギリギリの値上げは法定更新のリスクが高まるためお勧めできません。

事前の準備期間と事前資料などをしっかりと作成した上で、入居者に納得してもらいやすい状況をつくり、入居者にとってもメリットのある施策を行うことで値上げ成功の確率を上昇させることが可能となります。