税金は国の収入源!歳入と歳出を確認すると驚くべき事が明らかに(サムネ)

税金、支払う側としては税金が高いなどマイナスのイメージがあると思いますが、国(日本)としては税金が大切な収入源となっています。私たち個人や会社が支払う税金で国の運営は成り立っています。どのような内訳になっているのか、確認していきましょう。

今回は国の歳入と歳出についてお伝えしていきます。

国の家計簿

国は毎年、家計簿の状況を財務省ホームページ等で公表しています。私たちの家計簿で収入にあたるものが歳入(さいにゅう)、支出にあたるものが歳出(さいしゅつ)と言います。聞き慣れない言葉ですが、私たちの家計簿と意味合いは同じとなりますので覚えておきましょう。

以下は令和5年度の一般会計歳出・歳入の構成となります。

令和5年度の一般会計歳出・歳入の構成

参考:財務省ホームページ

 

国の家計簿の状況を詳しく確認していきましょう。

収入源(歳入)と支出(歳出)の確認

先ずは右側の赤い丸、収入源である歳入から内訳を確認していきましょう大きな収入源としては、所得税や法人税、そして消費税となります。国が収入源を上げたいと思うと、働いている人から納めてもらう所得税や、買い物など消費することで発生する消費税での調整がしやすくなります。つまり収入を増やすには「増税」するということになります。

そして、歳入の注目点はもうひとつ、公債金(こうさいきん)です。税金だけでは、国の家計は賄えていません。歳出で出て行くお金に対して、税収入だけでは不足してしまう分を公債金で賄っています。賄うと言っても、これは借金です。国債で調整しているのですが、その額なんと約35兆円です。

1年間に35兆円の借金をしないといけない、という家計簿になっています。家計で言えば火の車です。

では左側の青い丸、支出となる歳出の内訳を確認していきましょう。支出で最も割合が高いのが、社会保障です。社会保障費とは、国の一般会計から社会保障に支払われた費用のことで、年金・医療・介護・子ども・子育てなどが含まれています。つまり、私たちの生活に必要な社会保障費が支出のかなりの部分で使われています。

高齢化が進む日本において、社会保障費は年々増えてきています。社会保障費の問題だけでなく、度重なる震災なども影響し、日本の家計簿はずっと赤字続きなのです。では、どのくらいの借金(債務)があるのでしょうか。

増え続ける債務残高

日本の借金(債務)は右肩上がりに増え続けています。他の国と比較した表がありますので確認してみましょう。以下は債務残高の国際比較(対GDP比)となります。

債務残高の国際比較(対GDP比)

GDPは1年間に国内で生産された物やサービスのことです。

日本は200%を超えています。つまり、1年間に生産するものの倍以上の債務があるということです。債務残高とGDPを比べてみると、他の諸外国と比べても突出した水準となっています。米国や英国も100%前後と、1年間に生産できる物やサービスと債務がほぼ同じくらいです。ドイツはGDPのほうが上回っているので国の家計簿としては優秀な国だといえます。インバウンドの影響で、日本経済が盛り返してくれると良いのですが、ここまで増え続けた債務を返済するには時間がかかると予測されます。

力強い家計づくり

この国の借金は、これまでも、ずっと溜まってきています。誰が返済するのでしょうか?私たち現役世代だけでなく、子どもたち、将来の日本を支える世代にこの借金を残しているのが現状です。

家計と同じように、支出を抑えたいところですが、支出(歳出)の割合が高いのが社会保障費です。つまり、今後、より高齢化が進むことで社会保障費はさらに必要になりますので支出を抑えるという対策が難しいということが分かります。

そうなると、収入を増やす、つまり増税していくということが考えられます。現在は消費税10%ですが、3%から5%、8%と徐々に上げられてきました。今後も歳入が厳しくなりそうな場合は消費税を上げて収入源を増やすということも考えられますので、それに耐えうる家計を考えておかなくてはいけません。

力強い家計づくりには、いくつかの対策があります。その例を見ていきましょう。

収入を増やす努力をする

―資格等を取得して昇給を目指す

―副業や起業をする

―収入の高い企業へ転職する

資産運用等でお金を増やしていく

―貯めるだけでなく増やす努力

―イデコやNISAで節税しながら資産運用

―控除を使うことで節税対策

支出の見直しをして無駄をはぶく

―家計や保険の見直し

―無駄な支出がないかチェック

―光熱費や通信費のプラン変更等

 

所得税や消費税が増税され、収入が変わらなければ家計は一気に火の車となります。今後の増税などを予測して、今からできる対策を少しでも早く取り入れて欲しいと思います。

最後に

これまで、記事やセミナー等で国の家計簿について紹介してきました。初めて聞かれるかたは、とても驚かれます。どうして報道等で私たちの耳に入ってこないのか、と疑問視されるかたもいらっしゃいます。財務省のホームページには財政に関する資料が多数掲載されていますので参考にしてください。

そして他の国と比較をすることで、日本の厳しい状況も理解できると思います。日本は食料自給率が約40%、エネルギー自給率は約10%です。つまり食料の60%、エネルギーの90%は輸入に頼っています。このまま円安が進むと、さらに国の財政は厳しくなってきます。すでに厳しい状況は数十年と経っているのですが、今後、さらに厳しくなることが予測されます。

私たちができること。力強い家計づくりは急務です。約30年間、給与の平均は約400万円とほぼ横ばいです。物価が上がっているので、同じ400万円でも生活は以前よりも厳しいでしょう。収入を上げる、お金に働いてもらう、支出の無駄をはぶく、といった努力が必要なのです。できることから少しずつ、生活に取り入れて欲しいと思います。本記事も参考にして頂ければ幸いです。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)