ご夫婦で老後の生活を送っていると病気や介護の心配が少しずつでてきます。どちらかが認知症になったらどうしよう?病院や施設に入るときの手続きは?などの心配事があると落ち着いて生活ができません。
今回は高齢期のサポートについてお伝えしていきます。
高齢期の不安要素
ご夫婦で元気に過ごしている時は良いのですが、ケガをしたり病気になったりすると色々な不安がでてきます。特に高齢期にはさまざまな不安要素が。どのようなことが心配になってくるのでしょうか。
- 不安要素<例>
①ご夫婦どちらかが病気のとき、病院や介護施設の手続きについて
②認知症になってしまった場合の資産管理について
③どちらか一人になってしまった場合の事務手続き等について
この先、どのような病気に、いつなるか分からないといった不確定の要素は不安を増大させます。どのようなケースがあるのか、その場合にどう対応すれば良いのかを整理していきましょう。
対策とは
①ご夫婦どちらかが病気のとき、病院や介護施設の手続きについて
基本はご家族のかたが病院や施設の手続きをするのですが老老介護などの問題にもあるようにサポートする側のご家族もご高齢というケースは少なくありません。その為、ご家族以外の第三者にお願いする場合は委任状等が必要となります。かかりつけの病院や、ご近所の介護施設など、あらかじめ 手続き書類などを確認しておくと安心です。
また、介護施設などは保証人が必要なのですが、ご家族がいない、又はできない場合、保証会社等に依頼することもできます。どのような内容でどこまで保証してくれるのか、費用はどのくらいなのかチェックしておくと良いでしょう。
②認知症になってしまった場合の資産管理について
認知症を発症し診断されると、判断能力が乏しいということで委任契約などができません。そのため、事前に認知症になった場合、「財産管理などはこうして下さい」といったものを残しておく必要があります。そこで活用できるのが民事信託です。家族信託とも言われていますが、財産の一部または全部を管理してもらう信託契約を事前に結んでおきます。
例えば家賃収入のあるマンションの家賃を施設費用にあてる、などご本人に代わって行ってもらうのです。内容はさまざまで、所有資産や管理して欲しいものなども自由に決めることができます。但し、民事信託でも出来ないことがありますので、その点は司法書士さんとも相談しながら他の対策と合わせて検討してみてください。
③どちらか一人になってしまった場合の事務手続き等について
どちらか一人になってしまった場合、①や②の対策も重要ですし、亡くなった後の事務手続きなどもご不安に感じられるでしょう。死後事務委任契約などで遺言書の実行や葬儀など委任契約をしておくことも対策の1つとなります。
サポートサービス
身元保証やお亡くなりになられた後の支援をするサービスは増えてきました。ご高齢のかたにとって安心材料ではあるのですが、中には契約内容が違った、などのトラブルもあります。
厚生労働省のホームページには、支援サービスを決める際の注意事項やチェック項目などが書かれた資料がありますのでこちらも合わせてご確認ください。
お亡くなりになる前の健康でない時期(介護や介助が必要な時期)について、ご不安を感じられるかたは少なくありません。ご夫婦だけで考えていては不安が膨らむばかりです。
先ずは情報を得て、サポートしてくれるかたや企業(団体)等とご相談されておくと、より安心だと思います。
最後に
私が日本FP協会で電話相談の担当をしていた頃、全国各地からお金に関するご相談を受けておりました。中でも、高齢期の不安はお金だけでなく、身体のことなど色々とあり、皆様とても悩まれていました。「どこに相談したら良いか分からない」ということも問題点だと感じております。
パソコンやインターネットが使える世代でしたら、情報を得ることも簡単なのですが、ご高齢のかたにとっては不慣れな作業でもあります。身近なかたや、サポートしてくれるかたがいると安心です。見守りサービスなども増えてきましたので、お一人やご夫婦だけで悩まれず、色々なところにご相談いただき、使えそうなサービス等を見つけて欲しいと思います。
病院や介護施設、市区町村などでも情報の提供をしているところがありますので、合わせてご参考ください。また、詐欺や悪質なところもありますので、ご契約の際は慎重にお願いします。第三者に同席してもらうなどもお勧めしています。
そして、ご近所同士の助け合いも、とても重要です。日頃からご近所さんとコミュニケーションを取ることで、お互いを見守ることに繋がります。今後の生活の参考にしてください。
筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)