ワンルームマンション投資をシミュレーションする場合に「管理費」「修繕積立金」は非常に重要な費用項目です。
物件によって金額もバラバラでそれぞれの金額が適正なのか否か判断が付かない人も多いのではないでしょうか。
今回の記事を読むことで、ワンルームマンションの適切な「管理費」と「修繕積立金」の相場が理解できます。
適正な費用を導くための考え方や計算式そして注意点に至るまで詳しく解説していきます。
動画でも詳しく解説しております、。
目次
ワンルームマンションの管理費の相場
ワンルームマンションの管理費の単価はファミリーマンションに比べると割高となります。
スタイルアクト株式会社の「分譲マンション管理費4つの特徴」によると、
平均面積10㎡台の管理費は平米単価436円
平均面積20㎡台の管理費は平米単価361円
となります。
例えば18㎡のワンルームであれば、管理費の相場は
18㎡×436円=7848円
例えば25㎡のワンルームであれば、管理費の相場は
25㎡×361円=9025円
となります。
管理費単価を総戸数別に集計すると総戸数50戸未満の物件の管理費が最も高くなる傾向にあります。
では総戸数が増えれば管理費単価は割安になるのか?と思いがちですが、実は違います。
総戸数が200戸を超えてくると管理費単価は高くなる傾向にあります。
総戸数的に最も管理費単価が安いのは100~200戸のマンションです。
つまり、戸数は少なすぎても、多すぎても高くなる傾向にあるということです。
総戸数が増えれば、その分設備も増えるので(例えばエレベーターや共用施設など)その分管理費単価も上昇するという訳です。
ワンルームマンションの修繕積立金の相場
ワンルームマンションの修繕積立金の適正水準を国土交通省の『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』改定版2021年9月を元に解説していきましょう。
改定前の修繕積立金の目安は以下(ガイドラインより抜粋)
改定後の修繕積立金の目安は以下(ガイドラインより抜粋)
例えば25㎡の小規模(5000㎡未満)なワンルームマンションだと
25㎡×335円=8375円/月
が適正な修繕積立金の相場だと言える。
修繕積立金平均値改訂の注意点
上記ガイドラインを見ると例えば5000㎡未満のマンションの場合。
改定前のものだと平均値は218円/㎡・月
改定後のものだと平均値は335円/㎡・月
実に約1.5倍の積立金の上昇である。
ここだけ見ると単純に修繕積立金の改訂により単に平均値が大きく上がった、と思う人も多いでしょう。
しかしながら詳しく内容を見ていくと実はちょっとだけ違います。
改定前と改訂後で「積立金」の必要額の勘定の仕方に大きな差があります。
以下はガイドラインより抜粋した修繕積立金の額の目安の算出式です。
改定前の計算式がこちら
例えば、具体例を出して計算してみよう。
延床面積5000㎡未満の25㎡のワンルームマンションの場合
25㎡×(165円~250円)=4125円~6250円/月
上記数値が適切な毎月の修繕積立金の範疇であると言えます。
改定後の計算式がこちら
大きな違いとしては、改定前のガイドラインにおいては「積立金の徴収」だけを見ていたのに対して、改定後に関しては新築時の修繕積立基金や駐車場などの使用料から積立金に繰入する費用なども含めるようになりました。
それらすべての収入を「積立金の相当額(A+B+C)」として、その数値をマンション全体の専有面積(X)と計画期間の月数(Y)で割って数字を出すことに変更となったのです。
例えば中古ワンルームなどを購入する場合には、検討中のワンルームの長期修繕計画を上記の式に当てはめて、現状の修繕積立金が相場にあっている?そもそも長期修繕計画自体が適切なのか?を確認する為の1つの指標となります。
例えば25㎡のワンルームマンションの場合
25㎡×(235円~430円)=5875円~10750円/月
上記数値が適切な毎月の修繕積立金の範疇であると言えます。
30年間の長期修繕積立金の総額が1.2億円だとしましょう。
マンションの総専有面積が1000㎡だった場合。
上記の計算をすると、1.2億円÷(1000×360か月)=333円となります。
丁度平均値の335円と近しい数値になるため適正な修繕積立計画と言えます。
改定後の計算の方がより現状に即した計算ができるようになったわけです。
管理費や修繕積立金を滞納するとどうなるのか
毎月の管理費や修繕積立金を滞納すると、管理組合(管理会社など)から督促(手紙・電話など)がきます。
それらを無視していいると、最悪の場合口座の差し押さえや競売にかけられて滞納分を回収されることもあります。
そうならない為にも管理費や修繕積立金は期日通りに支払うよう心がけましょう。
また、中古のワンルームマンションの売買などで、売主が管理費や修繕積立金を滞納している場合があります。
そのような場合は、基本的に買主がそれらの滞納を引き継がなくてはなりません。
一般的な売主物件の場合はそれらの滞納分をしっかりと精算した上で引き渡してくれることがほとんどですが、そうでない場合には購入して直ぐにその滞納分を支払わなくてはならない為注意が必要です。
購入物件に管理費や修繕積立金の滞納が無いかどうか?
は「重要事項調査報告書」で確認することができますので、契約前に必ずこちらを確認するようにしましょう。
管理費や修繕積立金は改定される
管理費や修繕積立金は改定されます。
新築当初に設定した金額が数十年変わらないということはほとんどありません。
先ず、修繕積立金に関していえばワンルームマンションは特に段階増額積立方式を採用しているマンションがほとんどです。
よって、築年数の経過に沿って段階的に修繕積立金は上昇していくものだと認識しておく必要があります。
しかしながら、勝手に修繕費が上昇する訳ではなく事前に「修繕積立金の改定に関する総会」を開きそこで普通決議を行い過半数の賛成があれば改定となります。
もちろん自分自身の議決権を行使してその改定に反対することもできます。
反対が過半数を超えれば改定は否決となります。
後に管理会社から代替案などが出され、それを再度検討することになります。
自宅のマンションと異なり、ワンルームマンションは投資用として物件を保有します。
修繕金や管理費の改定は物件の収益性を悪くするため、改定に反対するオーナーも多いです。
ファミリーとワンルームではオーナーの意識が全く異なるということです。
修繕積立金の不足により必要な補修・修繕などができずに建物が早期に老朽化してしまい、結果的にオーナーに多額の一時金が請求されることもありますので注意が必要です。
また、場合によっては管理組合で金融機関からお金を借り入れて修繕費に充当する場合もあります。
このような物件を避ける為にも「重要事項調査報告書」で、
- 今後の管理費・修繕積立金の改定予定
- 一時金徴収の有り・無し
- 借り入れ予定の有り・無し
- 管理費・修繕積立金の滞納
などをしっかりとチェックしましょう。
重要事項調査報告書と主なチェックポイントの例を掲載しておきます。
まとめ
マンションの管理費や修繕積立金は収支計算をする上で毎月のランニングコストとなります。
購入当初から時間が経過するにつれてその値は徐々に変動するものと考えておくのが無難でしょう。
また長期のシミュレーションをする際にも管理費や修繕積立金の改定も含めて計算すればより現実味のあるシミュレーションになります。