単利と複利の違いとは?雪だるま式に資産を増やそう!

「この商品は複利で運用されています」と言われても何のことだか分からないというかたも少なくありません。単利、複利など良く聞く言葉なのですが、それぞれ何が違うのでしょうか。計算方法や実際の商品について確認しておきましょう。

今回は単利と複利の違いについてお伝えしていきます。

単利と複利

他の記事で「金利」について学びました。金利には利子と利息がありましたが、今回は金利の計算方法の違いである単利と複利についてお伝えしていきます。

参考記事はこちら

金融商品を選ぶときに気になるのが金利です。大切なお金を預ける(投資する)のですから少しでも金利の高いものに投資したいと考えるのは当然です。また、金利を考える場合、見逃してはいけないのが「単利か複利か」の区別です。これは金利の計算方法の違いなので詳しくお伝えしていきます。

例えば元本10万円、運用期間5年間、金利5%とした場合の単利と複利それぞれの金利について確認していきましょう。

 

  • 単利の場合

単利は常に元本のみに利息が発生します。ですから「1年分の利息×運用期間」が利息の総額となります。

例えば元本10万円を1年単利5%で運用していく場合は以下となります。

1年分の利息:5,000円

5年間の運用:5,000円×5年間=25,000円の利息

元本10万円と利息を合わせた資産額は12万5,000円となります。

 

  • 複利の場合

複利では、1年分の利息を元本に組み入れ、翌年の元本として繰り越していきます。そのため運用期間が長くなると、単利よりも複利のほうが利息の総額が大きくなります。

例えば元本10万円を1年複利5%で運用していく場合は以下となります。

1年目の利息:5,000円

2年目の元本:10万円+5,000円=10万5,000円

利息は5,250円

5年間の運用で元本10万円と利息を合わせた資産額は12万7,628円となります。(小数点以下の繰り上げ下げで少し違いはあります。)

同じ元本でも単利の場合、利息は5年間で25,000円、複利の場合は27,628円となります。運用期間が長くなることで、その差はさらに大きくなります。

雪だるまをイメージしよう

「単利か複利か」は、金利の計算方法の違いということが分かりましたが、イメージがつきにくいかもしれません。そこで、雪だるまを作ることをイメージしてみてください。

皆さんは雪だるまを作る際、まずは手のひらで雪のボールを作ると思います。それが元本となります。雪のボールを大きくしていきたいので、雪の上において1回2回と転がしていきます。小さい雪のボールが1回転がすと一回り大きくなります。2回転がすとさらに大きくなります。それが複利です。

単利の場合は、転がしてついた雪を取り去り、また転がすというイメージです。取り去った雪は残りますが、元の雪のボール(元本)は変わりません。

投資をする際、できれば複利で運用される商品のほうが、利息は増えますので、金利だけでなく単利か複利なのかという計算方法も確認するようにしてみてください。

実際の商品では

単利と複利の商品例をお伝えしておきます。

 

  • 単利の金融商品

・個人向け国債

・社債、地方債

・分配型の投資信託

 

  • 複利の金融商品

・定期預金

(定期預金には単利のものと複利のものがあります)

・分配金再投資型の投資信託

 

同じ金利でも元本が大きければ利息は大きくなります。複利で運用していくと、元本部分が大きくなりますので、中長期で運用していくことで大きな差が出てきます。

複利と書かれていても、運用期間中ずっと複利計算なのか、○年間複利など限定されているのか、といった違いもあります。投資先を選定する際は、複利運用される期間も必ずご確認ください。

金融庁の積立シミュレーション(金融庁HPより)

各金融機関や金融庁のホームページには、積立てなどのシミュレーションがありますので、合わせてご参考ください。

積立てなどで投資をする際、少額からでもコツコツと、中長期で行うことで金利の効果を高めることができます。時間と金利を味方につけて、資産を増やすよう心がけてください。

最後に

前述の通り、複利の効果を高めるには「期間が長いほど効果あり」となります。複利の商品は、運用期間が長くなればなるほど、元本そのものが増えていきます。つまり、長く続けるほど金利効果が高まるのです。そうした点を考えると、長期にわたって運用できる金融商品で、かつ複利のものを選択すると良いということがいえます。

また、複利においては、金利が大きければ大きいほど、その恩恵を受けやすくなります。複利の金利効果も上乗せすることができ、元本がより増えていくことになります。投資をする際は金利が高いことはもちろん、複利で出来るだけ長い期間、運用すると効果が高まります。同じ元本でも単利か複利かで差が出ますので、きちんと確認しておきましょう。今後の資産運用の参考にして頂ければと思います。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)