誰もが必要となる老後資金。他のライフイベントでもお金はかかりますが、この老後資金については、いつまで必要か分からないという不確実な要素があるため、できるだけ対策をたてておく必要があります。
今回は人生3大資金の「老後資金」に対して不安要素を軽減する対策についてお伝えしていきます。
老後資金の不安要素
色々なライフイベントがある中で、何かを実現させるときは必ずお金が必要になってきます。中でも人生3大資金と言われているのが、
- 教育資金
- 住宅取得資金
- 老後資金
です。
他のイベントよりも、まとまった大きな資金が必要になるので人生3大資金と言われています。教育資金や住宅取得資金については、お子さまの進学状況や、家の購入有無などにより変わってきますが、老後資金においては、皆さん必要な資金となることを意識しておきましょう。
―老後の生活に対して82.2%が「不安感あり」
―不安内容のトップは79.4%で「公的年金だけでは不十分」
となっていました。
老後資金は必ず誰もが必要な資金であり、かつ、何歳まで必要なのか分からないという点が計画をたてる上で難しいポイントとなります。平均寿命や健康寿命なども考慮して資産運用等の計画をたてていく必要があります。
生活費の試算
リタイアメントプランニングとは、老後の生活設計のことをいいます。老後生活の主な資金は、「退職金」「年金」「貯蓄」となります。これらの資金(収入)と老後生活費(支出)を見積り、不足するようであれば、それを準備する方法を考えていきます。
○老後生活費の試算
―ご夫婦とも健在の場合(月額):退職前の生活費×0.7
―単身の場合(月額):退職前の生活費×0.5
生命保険文化センターの調査では、最低生活費は夫婦2人で月額232,000円、ゆとりある生活では月額379,000円となっています。あくまで参考値となりますので、ご自身の家計簿を参考に退職後の支出を試算してみてください。
不安要素を軽減
特に大きな支出となるのが「家賃」や「住宅ローン」です。家賃は固定費として暮らしている間は必要になります。
お子さまも巣立ち、ご夫婦だけで暮らすのに必要な家として、部屋数の少ない家へと引越しされるかたもいらっしゃいます。現在の家賃と比較して検討しても良いでしょう。
そして住宅ローンの場合、できるだけ退職時に完済できていると安心です。繰り上げ返済などもありますのでリタイアメントプランをたてる際は1つの対策としてお考えください。
そして、他の支出も退職前に支払い終えるものは、できるだけ完済しておくと老後の支出が減りますので安心です。車のローンなどの債務、生命保険なども退職時で支払い終える内容に変更するなどの対策があります。退職後も税金や保険料など支払いが続くものがあります。これらの支出額もありますので、調整できる他の支出で対策をとられておくと、だいぶ差が出てきますので見直しの参考にしてください。
また、支出だけでなく収入面もチェックしていきましょう。
現金、預貯金だけでは増えません。退職後も資産運用をしてお金を増やす、また、価値を減らさないようにする努力が必要です。例えば、退職金1,000万円を貯金で管理していたとしましょう。現在、普通預金金利は0.001%なので、1年間の利息は100円です。(そこから20%源泉徴収されます)
利息では増えませんし、円の価値が今の円安のように下がってしまえば、1,000万円の価値も下がってしまいます。そうならないように、例えば分散投資をして利息や配当が受け取れる場所でお金を管理するということも重要になってきます。
年間、数万円でも収入が増えれば、それを税金や保険料の支払いにあてたり、生活費として使用したりすることもできます。人生100年時代、退職後も20年、30年と長い長い老後はお金を増やす努力も重要なのです。
また、働いて収入を増やすという対策もあります。現役時代ほどは働けないとしても、少しでも仕事をすることで収入を増やしたり、社会とつながることで生き甲斐を感じたり、といったメリットもあります。さまざまな対策がありますので、無理のない範囲で取り入れて頂きたいと思います。
最後に
冒頭お伝えした通り、老後資金の計画が一番難しいのかもしれません。但し、老後の資金計画をするのと、しないのでは、格段に差が出ます。事前に対策をとっておくことで、さまざまなリスクに対応できますので、この老後資金の計画はとても重要といえます。
1つ1つの対策はあまり難しいことではありません。退職後の支出を抑えるために、できるだけ退職前に支払えるものは支払いを終えておくこと、そして退職後も資産運用等でお金を増やしていくこと、この2点だけでも行うと違いは出てきます。人生3大資金の老後資金、不安要素を軽減する対策として参考にして頂ければと思います。
筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)