お一人様のライフプラン第1弾~お金編~

これまで私が記事やコラムを連載している中で、検索ワードで1番ヒットするのが「お一人様」という言葉でした。独身でずっと過ごしているお一人様もいれば、ご夫婦でも、最後はどちらか一人になるということで、検索されているかたもいます。老後、お一人様でも安心して暮らしていくにはいくらお金が必要?といったご質問やご相談が増えています。

今回はお一人様のライフプラン第1弾として、お金についてお伝えしていきます。

老後の家計収支

幸いにも官公庁が調査するデータには、ご夫婦2人のデータと、単身者のデータがあります。家計の収支は参考になりますので内訳を確認していきましょう。

内閣府のデータによると、高齢無職単身世帯の1か月平均家計収支は以下となります。

高齢無職単身世帯の1か月平均家計収支

 

65歳以上でお仕事をされていない単身世帯の男女別データです。上が女性、下が男性となっています。実収入は無職ということで公的年金(社会保障給付)が主になっています。男女で比較すると、男性のほうが年金を多く受取っていることが分かります。女性は働けない期間があったり、給与が少なかったりすることで、男性よりも公的年金が少ない傾向にあります。

支出をみると、食料、住居、光熱費、医療費、交通費、娯楽費など、生活に必要なことに使われています。ここで1つチェックしておきたいのが住居費です。女性が10%、男性が13.9%となっています。月で換算すると15,000円~20,000円です。持ち家で管理費や修繕費でしたら、そのくらいの金額となりますが、賃貸の場合や、住宅ローンの支払いがある場合は更に住居費がかかります。ご自身の試算をする際は予測される住居費で計上してください。男女ともに年金だけでは支出をカバーすることができず、不足分が発生しています。女性が24,633円、男性が12,637円です。不足分はどのようにカバーすれば良いのでしょうか。

足りない分をカバーするには

受け取れる公的年金(*)の金額が分かれば、現在の支出を比較して不足分を試算することができます。多くのかたが公的年金だけでは支出をカバーすることができず、他の資産等で補塡しています。

不足分をカバーするにはどうしたらいいでしょうか?具体例を見ていきましょう。

  • 退職金、それまで貯めた預貯金を使う
  • 私的年金(年金保険やイデコなど)を使う
  • 資産運用でお金を増やす
  • 働いて収入を得る
  • 支出の見直しをする

不足分をカバーする方法はたくさんあります。現役時代から準備しておくことで老後の負荷が軽減されますので、今からできることも確認しておきましょう。

*公的年金の受給額は「ねんきん定期便」や「ねんきんダイヤル」などで確認することができます。試算する際は年額を12ヶ月で割って月々の金額を確認してください。実際には2ヶ月毎の支給となります。年金から税金や社会保険料が引かれますので、その点もご留意ください。

今からできる対策

公的年金だけでは、支出がカバーできません。今から少しでも私的年金を増やして欲しいと思います。確定拠出年金や年金保険などがお勧めです。また、貯めているだけではお金は増えませんので、積立NISAや変額保険などで運用をしながらお金を増やしていくのも良いでしょう。

最近、独身のうちにマンションを購入するかたも増えてきました。老後、暮らす場所さえあれば安心ということで現役時代のうちに老後も暮らせる家を準備されています。冒頭で住居費についてお伝えしましたが、老後も家賃を支払っていくのは大変なので、持ち家を準備しておくことは大きな対策となるでしょう。働いているうちにローンの支払いも終えていると更に安心です。

主治医とFP

米国では老後を安心して過ごすには、信頼できる主治医とFPが必要だと言われています。まさに健康とお金が大事ということで、健康を管理してくれる主治医、そして資産運用をサポートしてくれるFPが必要ということです。

老後は健康にも気遣うことが重要です。病気やケガをしてしまっては心身への負担だけでなく資産も減ってしまいます。特に老後は収入源に限りがありますので、健康とお金はとても重要なのです。安心して過ごせる環境作りも現役時代からしておくと良いでしょう。特にお一人様の場合は、用途に合わせてサポートしてくれる人を探しておくことをお勧めしています。

私が取り扱う保険商品には付加サービスとして「24時間健康相談ダイヤル」というサービスがついています。保険にご加入されているお客様だけでなく、ご家族のことも相談できます。夜に体調が悪くなってしまうこともありますので、24時間電話で相談できるのも人気の1つです。医療従事者のかたが相談に対応してくれますので、とても安心です。

体調が悪い時や、どの病院に行ったら良いか分からない時など、相談できると思うだけで、かなりの安心感があります。

利用できるサービスなどを調べておいたり、ご近所の病院などを調べておいたりすることも安心感につながりますのでお勧めです。

最後に

これまで多くのかたの資産運用サポートをしてきました。特にご高齢でお一人暮らしをしているかたは、「誰に相談したら良いのか分からない」ということで、不安を多く感じていらっしゃいます。相談することで不安も軽減し、お金のことを気にせずに生活することができます。

お客様からは、「もっと早く相談すれば良かった」「同じように不安を感じている友人にも紹介したい」など、有り難いお言葉を頂くことも少なくありません。

また、老後は特にコミュニティは大切です。いつでも相談できるご近所さんや友人などがいることで、生活の質(QOL)も向上します。病院やお医者様の情報なども友人からの情報が参考になることもあります。特にお一人様の場合はご相談できるかたがいることで、安心して過ごせると思います。

主治医やFPなど専門家のサポートを受けること、様々なサービスを利用すること、ご近所さんや友人などとのコミュニティを作っておくことはとても重要です。

今回はお金についてお伝えしましたが、他にもお一人様ならではの不安やお悩みなどがありますので、対策や解決方法等をお伝えできればと思っております。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)