景気動向指数とは?2種類の指数と3つの系列について

「景気動向指数」は景気の状況を総合的にみるために、複数の指標を統合した景気指標です。簡単に言うと、景気がどうなるのか判断する際に目安となるものです。投資をするうえでも重要な指標となりますので参考にして頂きたいと思います。

今回は景気動向指数についてお伝えしていきます。

2種類の指数

景気動向指数には、2種類の指数があります。

① CI:コンポジット・インデックス指数

 ② DI:ディフュージョン・インデックス指数

 

CI(変化の大きさを見る)

CI 指数とは基準年を 100 とし、100 からのプラスマイナスで景気の動向を測るものです。 100 より大きければ「景気拡大」、100 より小さければ「景気縮小」という意味になります。

 

DI(変化の方向性を見る)

DI 指数とは、景気の方向性(良し悪し)を判断するための指標です。 3ヶ月前と比較して上昇しているときは「1」、下落しているときは「0」、横ばいであるときは「0.5」として計算します。この指標のうち、プラスの占める割合が50%を上回っていれば景気拡大の局面、50%を下回っていれば景気後退の局面と判断できます。

 

では CI と DI の実際の指数とはどういったものがあるのでしょうか。 大きく分けて 3 つの系列で構成されています。

 

  • 景気動向指数のポイント

・内閣府が毎月発表

・景気動向指数には、景気に先行して動く先行系列「先行指数」、ほぼ一致して動く一致系列「一致指数」、遅れて動く遅行系列「遅行指数(ちこうしすう)」があります。

それぞれの指数は複数あり、先行は11指数、一致は10指数、遅行は9指数と全部 で30指数ありますが、今回は分かりやすい指数で例をお伝えしていきます。景気動向指数については、内閣府のホームページに掲載されていますので、合わせてご確認ください。

内閣府の景気動向指数HP

3 つの系列(先行指数)

景気に先行して動くのが「先行指数」です。

<例>

・新規求人数

(求人が増える→これから景気が良くなる見込み)

・新設住宅着工床面積

(新設住宅が増える→これから景気が良くなる見込み)

 

求人が増えるということは、企業が社員を増やして事業を拡大していくことが予測され、その結果、景気が良くなると予測されます。逆に景気が悪いときは、人を採用することが難しくなり、求人数は減少します。景気の動きよりも前に先行して動くのが先行指数です。

 

  • 先行系列

1.最終需要財在庫率指数(逆サイクル)

2.鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)

3.新規求人数(除学卒)

4.実質機械受注(製造業)

5.新設住宅着工床面積

6.消費者態度指数 ※二人以上世帯・季節調整値

理由:季節要因による変動を取り除くため

7.日経商品指数(42種総合)

8.マネーストック(M2)(前年同月比)

9.東証株価指数

10.投資環境指数(製造業)

11.中小企業売上げ見通しDI

3 つの系列(一致指数)

景気とほぼ一致して動くのが「一致指数」です。

<例>

・有効求人倍率

(いまの求職者 1 人あたりの求人数→いまの景気を表す)

・鉱工業生産指数

(いま生産している→いまの景気を表す)

 

まさに今現在の景気を表しているのが一致指数です。上記以外にも営業利益や輸出数量指数などがありますが、そのときの景気を表しています。人や物が動いているときは景気が良いという印象が強いと思います。まさに物が売れたり、作られたりすることは景気の良さを表しているのです。

 

  • 一致系列

1.生産指数(鉱工業)

2.鉱工業用生産財出荷指数

3.耐久消費財出荷指数

4.労働投入量指数(調査産業計)

理由:企業の雇用・労働時間調整の動きをより総体的に捉えるため

5.投資財出荷指数(除輸送機械)

6.商業販売額(小売業、前年同月比)

7.商業販売額(卸売業、前年同月比)

8.営業利益(全産業)

9.有効求人倍率(除学卒)

10.輸出数量指数

3 つの系列(遅行指数)

景気に遅 れて動くのが「遅行指数(ちこうしすう)」です。

<例>

・法人税収入

(景気が良くなる→モノが売れる→収益増加→法人税が増える)

・家計消費支出

(景気が良くなる→収益増える→給与が増える→消費者がモノを買う)

 

景気を後から表すのが遅行指数です。後から分かることでも、今後の景気の参考となりますので、こちらも重要な指数となります。時代は繰り返すと言われますが、こうした指数からも景気の良し悪しを読み取ることができますので、参考にすると良いでしょう。

 

  • 遅行系列

1.第3次産業活動指数(対事業所サービス業)

2.常用雇用指数(調査産業計、前年同月比)

3.実質法人企業設備投資(全産業)

4.家計消費支出(勤労者世帯、名目、前年同月比)

5.法人税収入

6.完全失業率(逆サイクル)

7.きまって支給する給与(製造業、名目)

8.消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、前年同月比)

9.最終需要財在庫指数

最後に

投資をする際に、「専門家じゃないから経済とか投資の仕組みとか知らなくてもいいです」というかたも多いのですが、基本的なことは抑えておくと判断する際に役立ちます。

投資は自己判断・自己決定で行うものなので、今回お伝えした指標や指数も参考にして頂ければと思います。また、FPや投資の専門家と話す際も、共通言語を理解しておくことで相談がしやすかったり、商品の内容を理解しやすかったりします。慣れない用語も出てくるのですが、少しずつ覚えていきましょう。

これらの情報をもとに、景気が改善しているのか、悪化しているのか、判断していきます。 ニュースや新聞を見たり読んだりしていると、このような指標や指数についてなどが出てきます。 景気を判断するための指標であると、まずは全体像を知って頂けたらと思います。

他にも、街を歩いていて求人広告が増えてきたとか、取引先からの発注が増えてきた、など実生活からも感じ取ることができます。景気の良し悪しは身近なところでも感じ取ることができますので、アンテナを張り巡らせて投資等に役立てて頂ければと思います。本記事も参考にして頂ければ幸いです。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)