物価上昇や円安が進み、私たちの生活にも影響が出てきました。そこへきて、外貨建ての金融商品の利率が上がり、資産運用で活用されるかたも増えております。円を保有していても増えません。リスクを理解しながら、資産をドルで運用していくには?
今回は外貨建て金融商品の魅力についてお伝えしていきます。
外貨建て金融商品とは
先ずは外貨建て金融商品について確認していきます。外貨建て金融商品とは、取引価格が外貨建て(米ドル、豪ドル、ユーロなど)で表示されている金融商品を言います。
外貨建て金融商品を購入する際は、円から外貨に換える必要があります。また、利子や元金を受け取る際も外貨から円に換える必要があります。(外貨で購入することや、外貨で受け取ることができる商品もあります)
その際、為替レートを用います。円を外貨に換えるときの為替レートをTTS、外貨を円に換えるときの為替レートをTTBと言います。為替レートは刻々と変動しているため、外貨建て金融商品の取引には為替レートの変動による影響(為替リスク)があります。
変動によって生じた利益を為替差益、損失を為替差損といいます。変換した時のレートと解約や受け取りをしたときのレートで得なのか損なのかが変わってくるということです。
<例>
1ドル100円の時に10ドル購入→1,000円支払った
1ドル120円で売却、1,200円受取→200円の為替差益(プラス)
逆に・・・
1ドル80円で売却、800円受取→200円の為替差損(マイナス)
他にもカントリーリスクや信用リスクなど商品によって色々なリスクはありますが、リスクがない投資はありません。 ゼロリスクはないので、このリスクをきちんと理解して判断
していくことが重要になってきます。
それから、「何もしないリスク」というのもあります。円で資産を所有していても、今のように円安になってしまえば円の価値は下がってしまいます。これまで買えたものも買えなくなってしまうということになりかねません。何もしないことのリスクも覚えておいて下さい。
利率の違い
では、実際の外貨建て金融商品ですが、主なものとして3つ紹介しておきます。
- 外貨預金
(円預金の外貨版、預金保護制度の対象外という点に注意)
- 外国債券
(発行者、発行場所、通貨のいずれかが外国である債券)
- 外国投資信託
(投資信託の国籍が外国にあり、外国の法律にもとづいて設定される投資信託。代表的なものに外貨建てMMF)
参考:楽天証券ホームページ
他にも外貨建て株式や外貨建て保険などもあります。やはり魅力は利率が円建てよりも良いという点です。各国の10年国債利回りを見てみると、日本が0.427%に対して、アメリカが3.643%、オーストラリアが3.637%、ニュージーランドが4.279%と利率(年率)が良いことが分かります。
しかも複利や長期で運用をすることで受け取れる利息や返戻金が増えることが期待されます。また、為替リスクなどを意識しておけば受取りや解約のタイミング、どちらの通貨で受け取れば良いかなどリスクヘッジ(リスク回避、危機回避)もすることができます。
外貨建て金融商品はリスクが心配というかたも、少しずつ知識や経験をつんで、少額から投資できるものからスタートしてみても良いと思います。円建てと同じ金額で投資をして比べてみるのも勉強になります。為替が影響しますので運用途中で上下はしますが、数年後、十数年後の結果には大きな差がでていると思います。
私たちの年金も外国株式や外国債券で運用されています。分散投資の参考にしてください。
お金の置き場所
お金の置き場所はいくつもあります。銀行や郵便局などの口座、金庫、タンス貯金などはいつでも引き出せて便利なのですが増えません。お金の置き場所を利率の良い外貨建ての商品に置き換えることで、年間で利息や配当が受け取れます。これは、お金に働いてもらうということを意味しています。
同じお金でも置き場所の違いで、価値が変わらないのか、増えるのかが異なります。皆さんのお金は働いていますでしょうか。
最後に
現在、銀行に1,000万円預け入れても0.001%なので利息は100円です。そこから税金20%が引かれますので80円です。
お金の置き場所を変えて年利4%の場所におくと、1年間で40万円のプラスがでます。(そこから税金などが引かれる商品もあります)40万円あったら、毎年の税金の支払いや日頃の生活費にも使えます。
外貨建て商品はリスクが怖いと懸念されるかたもいるのですが、円だと増えない、または価値が下がるというリスクも知っておくことが重要です。資産の一部を外貨建て商品で運用してみると、円との違いが分かります。お金の置き場所を考えるきっかけにして頂ければ幸いです。
筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)