コロナ以降、リモートワークが主流となり地方へ移住されるかたも増えてきました。都市部での物件探しは、不動産情報サイトなどを利用しますが、地方の物件においては「空き家バンク」も物件探しにお勧めです。
今回は空き家バンクの活用法についてお伝えしていきます。
空き家バンクとは
空き家バンクとは、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、自治体が空き家対策として運営をスタートさせた情報掲載サイトです。家を売りたい、貸したいというかたが物件情報を掲載し、空き家を探している人とをマッチングさせます。一般の不動産情報サイトと異なる点は、売りたい人と買いたい人とが直接、売買等のやり取りを行います。基本的には不動産会社が仲介には入っていません。売買契約はユーザー同士が行います。(自治体と提携している不動産会社がサポートする場合もあります)
国土交通省のホームページには、空き家・空き地バンク総合情報ページがあり、情報ページのリンクを確認することができます。全国版空き家・空き地バンクには、「LIFULL HOME’S空き家バンク」と「at home空き家バンク」の2つの情報サイトがあります。
いずれも多数の掲載物件があり、自治体から物件を探したり、暮らし方やテーマから物件を検索したりすることが出来ますので、それぞれの情報サイトを見て活用してください。
理想のライフスタイル
「地方(田舎)へ移住する」と言っても、皆さん理想のライフスタイルは異なります。情報サイトでは、より理想のライフスタイルに合う物件が探せるよう、テーマごとに検索できるようになっています。
テーマから探す<例>
- LIFULL HOME’S空き家バンク
ー子どもと暮らす
ー農のある暮らし
ーテレワーク
ーお一人様の移住
ー自然に囲まれた暮らし
ー山が見える暮らし
ー海が見える暮らし
ー暖かい場所で暮らす
ー農地付きの空き家
ー店舗付きの空き家
ー公的不動産
- at home空き家バンク
ー古民家物件特集
ー農地付き物件特集
ー田舎暮らし物件特集
ー島暮らし物件特集
ー眺望良好物件特集
ー温泉地域の物件特集
ーリフォーム物件特集
ー店舗付き物件特集
ーテレワーク向け物件特集
働き方や暮らし方は多様化してきています。ご自身やご家族の理想のライフスタイルに合う物件探しの参考にして頂ければと思います。
自治体の取り組み
情報サイトでは、各自治体の取り組みなども検索することができます。空き家バンクを利用して住宅を購入した場合、住宅を改良する経費の一部を補助してくれたり、婚姻に伴う新生活に対しての支援があったり、子育て世帯に補助金が出る自治体もあります。
希望の物件が決まったら、その自治体の支援制度も確認してみましょう。
- 支援制度<例>
家賃補助、住宅購入補助、リフォーム補助
移住費用補助、就職祝い金、起業サポート
医療費補助、介護サポート、子育てサポート
独自支援制度(LIFULL HOME’S空き家バンクより)
自然の環境で、かつ街並みが美しいと話題になった北海道美瑛町の助成制度を例としてお伝え致します。
- 移住した場合の助成金額
住宅の取得費用の100分の10
(上限額:新築の場合は50万円、中古の場合は30万円)加算額
転入者加算 20万円
子育て世帯加算 1人につき10万円
町内業者加算 100万円(新築に限ります)
地域材使用加算 上限100万円
各自治体とも空き家問題への対策に力を入れています。人口が減ることで自治体の財政も厳しくなります。空き家をなくし、人口が増えることで地域も活性化することに繋がります。自治体の取り組みなども、移住後の参考になりますので必ずチェックしておくようにしましょう。
移住する前に
理想のライフスタイルが決まり、移住したい街も決まったとなったら、完全移住する前に、一度お試し体験などで暮らしてみるのもお勧めです。いざ、移住してみたら交通の便が悪かった、買い物などがしづらく生活に影響がある、学校や病院まで行きにくいなど、暮らしてみないと分からないことも多々あります。
移住する前に、短期移住やお試し移住などをしてみると良いでしょう。情報サイトにもお試し体験や、お試し住宅などの情報が掲載されていますので参考にしてください。また、既に移住しているかたの体験談なども移住後の参考になりますので読んでおくと良いでしょう。
空き家バンクのメリット・デメリットも確認しておきましょう。
空き家バンクのメリット・デメリット
- メリット
(売り手側)
仲介手数料なしで売却できる
自治体の補助制度が後押しとなる
費用を自由に決められる
(買い手側)
自治体の補助制度が利用できる
不動産情報サイトにない物件も検索できる
費用の交渉などができる
- デメリット
売買手続きを当事者同士で行う手間やトラブル
自治体の補助やサポートがない場合もある
値付けから交渉、売買手続きまで当事者同士で行うため、手間がかかったり、トラブルが起こってしまったりするケースもあります。自治体の補助やサポートがない場合は、不動産会社や専門家に相談することも重要です。事前に確認しておくと良いでしょう。
最後に
私自身、田舎の空き家を売却する際に空き家バンクを活用した経験があります。売り手側として、最初は値付けなど不慣れなこともありましたが、希望価格で掲載することにしました。何件かお問い合わせがあり、内覧をして頂きました。その中から、ご家族で暮らしたいというかたに売却したのですが、売買手続きに関しては知人の不動産会社のかたにお願いをしてスムーズに行うことができました。
空き家バンクは田舎の家を売るには最適な情報サイトで、とても活用できました。当事者同士で不安なことも、専門家に少しサポートしてもらうだけでクリアできることも多々あります。自治体の補助もあり、購入者のかたにも喜んで頂き、無事に売買が行えました。
移住したいかたにとっても、地方に不動産をお持ちで売却したいかたにとっても活用できる空き家バンク。今後の物件探しや売却の参考にしてみてください。
筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)