インフレや円安など、景気の雲行きがあやしくなってきました。物価も上昇し、私たちの生活にも影響が出てきています。一方で、そのような経済状況下においても売上を上げている企業が多数あります。毎年、発表されている日本長者番付で景気の良い企業をチェックしてみましょう。
今回はビリオネアたちから見る経済についてお伝えしていきます。
日本長者番付2023
Forbes JAPANのホームページには「JAPAN RICH 50」と題して日本の富豪50人が紹介されています。インバウンドの影響もあり前年よりも資産を増加しているビリオネアたち。
不景気が続く今だからこそ、そんな中でも成功している方々の企業について知ることで、経済の動向を確認していきましょう。
日本の大金持ちトップ5の氏名と企業
日本長者番付2023年をご紹介します。お名前、年齢、企業名、資産額と前年のランキングは以下となります。
1位:柳井 正(74)ファーストリテイリング
資産額:4兆9700億円(前年1位)
2位:滝崎 武光(77)キーエンス
資産額:3兆1700億円(前年2位)
3位:孫 正義(65)ソフトバンク
資産額:2兆9400億円(前年3位)
4位:佐治 信忠(77)サントリーホールディングス
資産額:1兆4500億円(前年4位)
5位:高原 豪久(61)ユニ・チャーム
資産額:1兆530億円(前年5位)
なんと、トップ5は前年とランキングが同じです。但し、資産額は前年よりも増加しています。驚くべき数字です。企業名は皆さんご存知の企業が多いと思います。
1位の柳井さんは皆さんご存知のユニクロを展開するファーストリテイリング社の社長さんです。店舗社員の基本給アップなども記憶に新しいところですが、インバウンドの影響もあり、順調に売上を上げています。
2位の滝崎会長(創業者)の企業はキーエンスという世界的なセンサー機器メーカーです。キーエンスは研究開発に力を入れており、特許を数多く保有しています。給与が出来高払いとなり、ライバル企業から転職する技術者も少なくありません。
3位のソフトバンク孫社長は2018年と2021年はランキングトップでした。ランキングを落としてしまった背景に、投資先が巨額の損失を出したことなどが影響しているのかもしれません。
いずれにしても、時代に合ったビジネスを展開し続けていること、魅力的な企業であることに尽力していることなどが順調な売上向上に繋がっているのだと思います。そして経済の流れを見て、商品やサービスを提供し、かつ自社の社員への給与面等に配慮しているのも成功へのポイントなのではないでしょうか。
海外の大金持ちは?
では、海外の長者にはどのようなかたがいるのでしょうか。
1位:ベルナール・アルノー一家(フランス/LVMH)
資産額:2110億ドル
2位:イーロン・マスク(米国/テスラ、スペースX)
資産額:1800億ドル
3位:ジェフ・ベゾス(米国/アマゾン・ドット・コム)
資産額:1140億ドル
4位:ラリー・エリソン(米国/オラクル)
資産額:1070億ドル
5位:ウォーレン・バフェット(米国/バークシャー・ハサウェイ)
資産額:1060億ドル
1位のアルノー氏はフランスの高級ブランドグループ、モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)会長兼最高経営責任者(CEO)です。
アルノー氏はイーロン・マスク氏を抜き世界一の富豪となりましたが、フォーブスの世界長者番付でフランス人が首位に立ったのは初めてのこと。2位から5位は全て米国の企業ということで、やはり米国が強いことがランキングからも読み取れます。
そして、金額に注目してください。1位のアルノー氏
2,110億ドルは日本円にすると、約28兆円です。
日本の長者番付と比較すると莫大な資産額ということが分かります。日本経済と海外の経済とで、このような差があることも知っておく必要があります。私たちが投資をする際、国内だけでなく海外の商品にも投資をするのには、この経済規模の違いがあるからです。分散投資の際の参考にして頂きたいと思います。
立派な納税者たち
日本では、あまり長者番付が話題にあがりませんが、海外では長者番付で経済の動向を見ているかたも多く、注目度も高くなっています。投資をする際も、どのような企業が業績を上げているのか着目することが重要です。そしてサービスを届ける企業や個人だけでなく、社員など社内への活動も着目されています。日本もようやく給与改善の話がでてきましたが、より良い人材を確保するには企業努力も重要になってきます。
日本の長者番付も海外の番付も代表者と社名が書かれていますので、検索して頂くと、どのような企業なのか知ることができます。今、どのような商品やサービスが必要とされているのかを知るのに参考となるでしょう。
また、ビリオネアたちは高額納税者として国に多額の税金を納税しています。国が円滑に経済を回すためにも重要な役割を担っているのです。しっかり稼いで、しっかり納税する、という経営者たちの活動は海外ではオープンになっています。寄付や支援など行っている企業も多く、企業PRにも繋がっていきます。お金を循環させることで、経済も回っていきます。長らく不景気が続く日本においても、インバウンド等の影響で良い経済循環になることを願っています。
最後に
以前、先輩の女性起業家のかたから、「真摯にお仕事をしていたら立派な納税者になれますよ。」と言われたことがあります。「お金持ちになれますよ」ではなく「立派な納税者」という言葉を使っていました。
自分だけが儲けて潤うのではなく、経営者として顧客や取引先に充分なサービスを提供し、支えてくれる社員に働きやすい環境や報酬を与え、そして、納税することで国や経済にも役立つといった意味合いが含まれていると感じました。
日本の長者番付を見ても分かる通り、皆さん良く知っている企業です。私たちの生活に身近で、役立つサービスを展開してくれています。そうした企業だからこそ、不景気の時代でも順調に売上を上げているのではないでしょうか。これからの経済を見る目を養うことも重要ですし、今後の投資先の選定にも役立ちますので、参考にして頂ければと思います。
筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)