自宅売却時の税金が安くなる?マイホームを売ったときの特例とは

家を購入する時にも税金がかかりますが、売却した時も税金がかかります。どのくらい税金がかかるか不安に思われるかたも少なくありません。ご自宅を売却する際には特例がありますので詳しく確認していきましょう!

今回はマイホームを売ったときの特例についてお伝えしていきます。

家の売却事例

今回は事例をもとにお伝えしていきたいと思います。

 

<事例>Dさん、80代、女性

「夫が5年前に他界し、現在は1人暮らしをしています。庭の手入れや家の掃除も大変になってきました。高齢者向け住宅を子供たちに勧められ、見学などに行っています。家を売却した費用を入居金にしようと思っていますが、自宅を売却する際は、税金などかかるのでしょうか?」

 

というご自宅の売却についてのご相談でした。家族で暮らしていた一軒家にお一人で暮らす場合、家が広すぎたり、管理が大変だったりと、暮らしにくくなってきます。お一人でも安心して過ごせるところへ移住されているかたも多くいらっしゃいます。その際、ご自宅を売却するのですが、税金はどうなるのか、確認していきましょう。

マイホームを売ったときの特例

自宅を売却する際は、要件を満たしていれば「マイホームを売ったときの特例」を使うことができます。

 

  • マイホームを売ったときの特例

対象税目:所得税(譲渡所得)

概要:マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

 

  • 特例の適用を受けるための要件

(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です。

イ)その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

ロ)家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

 

(2)売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

 

(3)売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

 

(4)売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

 

(5)災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

 

(6)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

 

いくつか要件がありますが、簡単にまとめると、同様の特例を受けていないこと、期間内に売却すること、親子間や夫婦間での売買は対象にならないことに注意しておかなければいけません。

その他、適用除外要件などもありますので、詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。

必要書類について

特例が受けられることが分かったら、必要書類を準備していきます。それぞれ受取り場所が異なりますので確認しておくと良いでしょう。

  • 受取り場所

確定申告書・譲渡所得の内訳書:税務署

戸籍の附票:役所

譲渡した土地・建物の全部事項証明書:法務局

譲渡所得の確定申告表紙

参考:譲渡所得の内訳書

事例のDさんのようにご高齢になってからのご自宅の売却は要件を確認したり、必要書類を準備したりと大変な負荷がかかります。ご家族のサポートが必要な場合もありますので、予め内容を確認しておくと安心でしょう。

最後に

家の売却という大きなライフイベントは、時間や労力がかかります。そこへきて税金も納めないといけないとなると、資金面でも大変です。ご自宅を売却する際は、特例を受けることで、かなりの税負担が軽減できます。

要件に適用するよう、売却時期や売却先などを選定していただき、できるだけ特例を受けていただきたいと思います。

今回は居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例をお伝えしましたが、他にも使える特例があります。 重複して使えないなどの注意点もありますので、どれが自分にとって条件等が良いのかを確認し、検討して頂ければと思います。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)