寒い時期の受験をようやく終え、4月からの進学の準備へ。
ところが思った以上に受験費用や入学費用がかかり、今後の大学費用の支払が不安!?という親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は教育ローンと奨学金についてお伝えしていきます。
大学の費用
大学費用とひと言でいっても、さまざまな費用があります。
授業料だけに着目されがちですが、それ以外にも費用がかかることを抑えておかなくてはいけません。
日本政策金融公庫のホームページには「教育費負担の実態調査結果」という調査結果が毎年掲載されていますので、お子さまがいらっしゃる親御さんは一度目を通していただくと、費用感など参考になると思います。
- 調査結果まとめ
(1)入学費用 高校は35万円、大学は81万円
(2)在学費用 高校は年間75万円、大学は年間149万円
私立大学の1年間の在学費用は、理系で183.2万円、文系で152.0万円、国公立大学の理系は103.5万円
(3)高校入学から大学卒業までにかける教育費用
子供1人当たり942万円
自宅外通学にかける費用もあります。自宅外通学者数は地方ほど多く、都市部ほど少ない傾向にあります。自宅外通学者への仕送り額は年間平均95万円です。
(参考URL:日本政策金融公庫HPより)
受験費用から入学までの費用が思っていた以上にかかり、その後の学費の支払に不安を感じるかたも少なくありません。
そこで教育ローンや奨学金の利用が検討されます。違いをチェックしていきましょう。
教育ローンと奨学金の違い
銀行などの金融機関でも教育ローンがありますが、今回は 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」をもとにお伝えしていきます。
こちらのローンは上限額350万円、固定金利となっています。
借入れの利用者(契約者)は保護者となります。
- ご利用条件
お子さまの人数に応じて、幅広い世帯年収の方に対応(世帯年収200万円以下の方などには優遇制度もあり)
さまざまな学校・幅広い用途に対応
・大学・短大はもちろん、専門学校や高校の資金にもご利用可能
・入学金や授業料だけでなく、定期代やパソコン購入費にも使える
・日本学生支援機構の奨学金との併用もOK
世帯年収など条件はありますが、保護者が契約者となり借入れすることになります。
使用用途も幅広いため、進学中に 定期代やパソコン代が足りないといった資金不足の場合も 利用ができます。
(参考URL:日本政策金融公庫HPより)
次に奨学金はどのような制度なのでしょうか。進学先の大学が提供している奨学金制度もありますが、今回は日本学生支援機構の奨学金でお伝えしていきます。
奨学金には、「貸与型」の奨学金と「給付型」の奨学金があります。貸与型は返済が必要ですが、給付型は返済の必要がありません。対象条件がありますので、ホームページ等でご確認ください。給付型の対象とならない場合は貸与型で申込みをする流れとなります。貸与型には第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があります。
教育ローンとの違いとして、借入れの利用者(契約者)は 学生本人となります。支給額は進学先等により異なりますので詳しくは日本学生支援機構のホームページでご確認ください。また、教育ローンはいつでも申込みができますが、奨学金は決められた期間に申込みをする必要がありますのでご注意ください。
(参考URL:日本学生支援機構HP)
用途に合わせた借入れを
これまで多くのご家庭の教育資金についてご相談を承ってきました。お子さまが生まれ、学資保険などで学費を準備してきたご家庭がほとんどですが、塾代や受験費用が思った以上にかかり、大学2年目くらいから資金不足を心配されるかたも少なくありません。
前述の通り、教育ローンは使用用途が幅広く申込み期限もないことから、突発的な資金不足をカバーするのにお勧めです。
また、奨学金には種類があり、低金利となりますので計画的にその後の学費を準備する際にお勧めです。
申込期限がありますので、その点は注意しておきましょう。
教育ローンと奨学金を組み合わせているかたも多くいらっしゃいます。資金不足で進学を諦めてしまったり、進級をやめてしまったりといったことがないよう、ご利用を検討して頂ければと思います。
最後に
進学はご自身の将来のための自己投資です。大学卒業後の 年収と高校卒業後の年収とでは、やはり前者のほうが生涯賃金は上回る傾向にあります。教育ローンも奨学金も借入金つまり借金とはなりますが、計画的に返済していくことで、お金の管理力も身につきます。
現在、奨学金の利用者は5割を超えている状況です。長い日本の経済不況において、大学の費用を親御さんが支払うには限界があります。学生さんご本人とご両親とで良く話し合い、進学に必要な資金について検討して頂ければと思います。
私たちファイナンシャルプランナーが高校や大学で奨学金についてお伝えする場も増えてきました。そうした情報なども参考にして頂ければと思いますし、ご不安な際は大学の窓口やFP、既に奨学金等を利用して進学している先輩等にご相談されると良いのではないでしょうか。本記事も参考にして頂ければ幸いです。
筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)