高齢期のライフプランについて解説!高齢就労と事前の準備

税金や社会保険料が上がることで年金の受給額が下がったり、物価上昇などで生活費が上がったり、高齢期の家計は前向きとはいえない状況が続いています。何を準備していれば安心なのか、対策など確認していきましょう。

今回は高齢期のライフプランについてお伝えしていきます。

高齢期のライフプランとは

今回は事例をもとにお伝えしていきたいと思います。

 

<事例>Hさん75歳、女性、年金・資産生活者

暮らしているマンションの管理費と修繕費が値上げされました。年金受給額は年々減っているので今後の家計が心配です。以前、キャッシュフロー表を作成して頂きましたが、現在はどうなのか確認をお願いします。

 

という、ご相談をいただきました。

月々の出入りに変化があると不安になります。特に現役世代とは異なり、収入は所有している財産と、年金収入となりますので、家計をしっかり把握して管理していく必要があります。

先ずは、家計の見直しということで、変化があった項目を確認していきます。そして、キャッシュフロー表は年間の単位なので、1年間で減少した預貯金額も合わせて確認します。

Hさんの場合、当初作成したキャッシュフロー表からは約10万円/年、予定よりマイナスとなっていました。内容としてはご相談の通り、管理費・修繕費の値上げ分と、収入となる年金の減少額からきていました。管理費や年金額は変えられないので、他で調整してく必要があると分かりました。

次に、所有している金融商品の収益を確認します。Hさんは豪ドルとUSドルの一時払い保険商品を所有しており、毎年、利息を受取っています。運良く現在は円安なので、受け取れる利息は過去よりも多くなっていました。その中で、今年、契約満了のものがあった為、今後の利率を確認し、継続するか、解約して月々のマイナス分をカバーするために使うのかを検討する予定となっています。

このように、高齢期のライフプランでは収入が目減りしてしまった場合や支出が増えてしまった場合に見直しが必要となります。その際、所有財産と年金等での対策となりますので現役時代よりも定期的に見直していくと安心です。

何を準備すれば安心か

事例のHさんのように資産を円と外貨とで分散して所有していると、通貨分散となります。今回のように円安で利息の受取額が上がるなどメリットもあります。(逆の場合もあるのでご注意ください)分散投資や通貨分散は資産運用で重要になります。

そして、年間10万円ほどマイナスが出てしまうということでしたので、運用で増やせるような金融商品でカバーしていくご提案をさせて頂きました。人生100年時代、まだまだ先は長いということで、できるだけ安定資産かつ増やす努力などもしながら資産を増やしていくことが重要になってきます。

家計をしっかり管理して、いろいろな対策をたてられるようにしておくと安心です。

 

  • 安心材料となるもの

・定期的な家計の見直し

・資産運用

・利息や配当、家賃など公的年金以外の収入

 

Hさんの場合、所有資産で対策がたてられますが、そうした資産がない場合は支出を抑える、もしくは収入を増やすことが対策になります。高齢者の労働についてもお確認しておきましょう。

働く環境

労働力人口に占める高齢者の比率は上昇しています。

令和3年の労働力人口は、6,907万人。労働力人口のうち6569歳の者は410万人、70歳以上の者は516万人となり、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.4%と上昇し続けています。

労働力人口の推移(内閣府HP)

参考:内閣府ホームページ

現在、仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しています。70歳くらいまで、もしくはそれ以上との回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。

そのため、企業側も仕事ができる年齢を引き上げています。希望者全員が65歳以上まで働ける企業は7割以上という結果も出ています。働くことで収入が得られるだけでなく、社会とつながっているというのも健康寿命を延ばすことになります。収入面だけでなく健康面でもメリットがあります。

高齢期も働く環境が整ってきましたので、働いて収入を得るという対策も増えてきました。

最後に

高齢期のライフプランを考える際、そのかたの健康状態や所有資産により対策が変わってきます。現役時代とは違う点を意識しながら、無理のない範囲での対策が必要です。何もせずに通帳の残高が減っていくのを見ているのは、とてもストレスがかかります。お金を増やす努力は高齢期でも必要なのです。

ご自身だけ、ご家族だけで考えるのが不安な場合はFPなどに相談するのもお勧めです。お金に働いてもらう、収入を増やす、働いて収入を得るなどさまざまな対策がありますので参考にして頂ければ幸いです。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)