がん保険入門!多様化する治療法と保証内容を初心者向けに解説

病名がついている保険は「がん保険」しかないことをご存知でしょうか?

盲腸保険とか、高血圧保険とかないですよね。

他の病気と違う点として、保険適用外の治療が多いということがあげられます。

つまり、ご加入されている国民健康保険や社会保険ではカバーできず、実費で支払う治療費が多いということ。

今回はそんながん保険について初心者にも分かりやすく解説していきます。

がんの治療法

がん治療は、標準治療(手術・放射線治療・薬物療法)に 緩和ケアを織り交ぜながら進められていきます。

詳しくお伝えしていきましょう。

 

  • 手術(外科療法)

がん及びその周辺組織の全部または一部を切除する治療法

 

  • 放射線治療

がん及び周辺組織に放射線をあてたり、小さな放射線源をがんの近くの体内に埋め込むことで、がん細胞を破壊する治療法

 

  • 抗がん剤治療

抗がん剤を投与、または服用してがん細胞が増えるのを抑えたり、がんの成長を遅らせたり、転移や再発を防ぐ治療法

 

他にもホルモンの成長に関与しているものに対しては、そのホルモンに拮抗するホルモンを投与するホルモン剤治療などもあります。

そして公的医療保険制度の対象となる治療でしたら3割負担で済むのですが、対象とならない治療を受ける場合は全額自己負担となり、治療費用は高額になる場合があります。

そこで「がん保険」で備えておくことが重要になってくるのです。

がん保険の保障内容

がん保険の保障内容を確認しておきましょう。

主な保障内容は以下となります。(注:保険会社により異なります)

 

  • がん保険の保障内容<例>

①入院・通院

②手術

③がん診断一時金

④がん治療一時金

⑤先進医療特約

⑥自由診療特約

 

①は医療保険と同様に入院日額5,000円とか10,000円などで入院や通院の費用をカバーするための保障です。実は、最近のがん治療はそれほど入院期間が長くありません。3泊4日や、 1週間など短めで、あとは通院での治療というケースが多くなっています。

 

③がん診断一時金や④がん治療一時金はまとめて給付される保障です。

一時金があることでお金の心配をすることなく治療に臨んで頂けますので一時金はとても重要だと思います。

診断一時金は初めてがんと診断された時の1回なのですが、治療一時金は治療が続いていれば1年に1回、2年に1回など受け取れます。

保険会社により異なりますので、ご加入の保障内容を証券等でご確認ください。

 

がんは治療が長引いたり、再発したりする可能性もあるため、どのくらい一時金や給付金が出るのか、確認しておくと安心です。また、先進医療や自由診療はかなり高額な治療費用なのですが、実費で支払われますので特約をつけておくとより安心です。

先進医療、自由診療とは

前述の⑤先進医療と⑥自由診療について、もう少し詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

  • 先進医療とは

厚生労働大臣の承認を受けた高度な医療技術を用いた治療のことです。

先進医療の技術料(治療費用)は健康保険の適用対象外となりますので、全て自己負担となります。

 

<例>

重粒子線治療 約320万円

陽子線治療  約270万円

 

先進医療を実施している医療機関の一覧は厚生労働省のホームページに記載がありますので、そちらをご参考下さい。

先進医療(厚生労働省HP)

(参考URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html)厚生労働省HPより

 

  • 自由診療とは

健康保険が適用されない診療で、 厚生労働省が承認していない治療や薬(未承認薬、適応外薬)を使うと自由診療となり治療費は全て自己負担となります。

 

<例>

未承認薬(アミバンタマブ) 約480万円

適応外薬(カボザンチニブ) 約 67万円

(参考URL:https://spon.metlife.co.jp/hokende/products/sim2/cx/faq.html?contents=all)

メットライフ生命保険HPより

先進医療や自由診療は身体への負担を軽減した治療や、がん治療に効果的な薬となっており、受けたいと思われるかたも多いと思いますが、治療費用が数十万円、数百万円と高額となり、支払は大変な負担となります。

がん保険で高額な治療費をカバーすることができれば、治療の選択肢が広がり、より良い治療を受けられることにつながります。

最後に

2人に1人が、がんになると言われています。

高齢に伴い、がんを患うこともありますが、女性特有のがん(乳がんや子宮頸がん)は若い時にも罹患してしまうことも少なくありません。

がんは治療費だけでなく、その後の生活にも影響があります。

治療後にこれまでと同じように仕事ができず、収入が減ってしまうこともあります。

その為、治療費だけでも保険でカバーすることができれば、預貯金等を使わずに済み、収入減を預貯金等で補うことができるのです。

他の病気やケガは保険適用内での治療がほとんどですが、がんの治療には自己負担のものも多く、より良い治療を選んでいくと、かなり高額になってきます。

ご加入のがん保険の証券をご確認いただき、必要な保障が入っているのかセルフチェックしてみて下さい。日進月歩で治療は進歩しています。さまざまな治療法や薬についての情報を得ることも重要です。

本記事もご参考頂ければ幸いです。

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)