新社会人が資産運用する際のポイントを解説

成人式を迎えたかたに今年の抱負について聞いたアンケートで、1位が貯金、2位が節約、3位が健康管理という結果に。1位と2位のお金に関する回答が約7割をしめていました。

不景気な時代を生きてきた若い方々はとても堅実です。社会に出られてから、すぐに貯蓄や投資がしたいとご相談に来られます。

今回は新社会人の資産運用についてお伝えしていきます。

貯蓄を考える背景

新社会人のかたから「お給料が入ったら貯蓄や投資をしていきたいと思っているのですが、いくらくらいで、どの金融商品で行えば良いのかアドバイスが欲しいです。」といったご相談を数多くいただきます。

毎年、新社会人のかたからのご相談は増えているのですが、親世代からすると若いのに堅実だと思われるでしょう。

その背景には、バブル崩壊後の20~30年間は超低金利で日本経済もほぼ横ばい、いわゆる不景気の時代が長く続いています。そんな中、誕生し学生時代も過ごしている世代は、親からお金の苦労について聞いているかたも少なくないのです。奨学金の受給率も親世代が学生の1990年代頃は約20%でしたが、今では60%近くのかたが奨学金等を受けて大学へ通われています。

そうした背景から、皆さんお仕事されたら貯蓄や投資がしたいと思い、ご相談に来られているというわけです。不景気も悪いことばかりでなく、お金を大切に使ったり、早くから増やしていこうという心構えができたりという点では良いこともあるのかもしれません。

貯蓄や投資の目安

貯蓄や投資をする前に目安をお伝えしていきたいと思います。投資金額を決めるには、先ずは家計の収支を確認し、算出していきます。

  • 4月からの新生活での支出を確認

・家賃 ・光熱費 ・通信費 ・食費 など

 

  • 収入の確認

会社から提示されている支給額から税金や保険料などを引くため、8割くらいで試算しておきましょう。

(例:25万円→20万円)

 

収入から支出をひいた残りの額が貯蓄や投資にまわせる金額となりますが、すべてを投資してしまうと、何かとお金が必要な時に困りますので、まずは試算した金額の半分くらいからスタートし、1年間お金の出入りを見て増やせそうな場合は2/3を投資に回すなど少しずつ投資額を増やしていくと良いと思います。

<例>手取り20万円-支出17万円=残り3万円

3万円→1.5万円は預貯金、1.5万円は投資へ

(1年後→1万円は預貯金、2万円は投資へ)

新社会人の資産運用

投資金額の目安が分かったところで、次にどこで運用するかを決めていきます。

  • 投資先の確認

お勤め先に確定拠出年金がある場合は、将来の私的年金を積み立てつつ、節税にもつながりますので効率の良い貯め方でお勧めです。全額でも良いのですが、分散投資の観点から、他の商品(積立て保険や新NISAなど)での積立も候補に入れて考えてみてください。

早めに積み立てをすると良いことはたくさんあります。運用期間が長くとれるため、投資金額が少なくても「金利」と「時間」の効果で積み立てた元本にプラスできる利息が増えるという点です。新社会人が持っているお宝は、まさに「時間」なのです。

日本FP協会のホームページには「若手社会人のマネー&ライフプラン」という冊子が掲載されています。PDFデータで読むことが出来ますので合わせてご確認ください。

若手社会人のマネー&ライフプラン(日本FP協会)

  • 冊子の概要

若手社会人が働き、暮らしていくうえで最低限必要なお金の知識をコンパクトにまとめています。給与明細や源泉徴収票の見方のほか、公的保険や資産形成の基本的な考え方なども解説しています。お金の知識を身に付けることで漠然とした将来への不安を解消し、これから先の選択肢を増やしていただければ幸いです。

最後に

高校の授業で金融資産運用やお金に関する授業がスタートして数年が経過しました。キッズマネーセミナーなども色々なところで開催されています。これまで金融に関して学ぶ場所や機会がありませんでした。そのため、社会に出たばかりの若い方々を狙った詐欺などは年々ふえています。自分自身の身を守ること、お金を守ることも学びの中に含まれています。社会経験を積むまではご家族や私たち大人が寄り添ってサポートしていくことも重要だと思っております。

これからは自分自身で資産形成をしていく時代です。先ずは知識を身に付けて、収入を得るようになったら貯蓄や投資をスタートできるよう準備して頂ければと思います。また、学校や企業でも金融に関する学びの場を増やしています。投資はあくまで自己判断となりますので、投資先の選定から運用状況の確認など、継続して学んでいく必要があります。私たちファイナンシャルプランナーはセミナーや記事などで情報提供をしたり、個別相談などを行ったりしています。新社会人の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

 

 

筆者:藤井亜也(CFP/FP1級)