株価の1倍割れする企業が多い日本!PBRの値が低い事のデメリット

2023年3月31日に、東京証券取引所は東証プライム市場および東証スタンダード市場に上場する約3300社に対して、株価水準を分析し改善するための具体的な施策を発表するよう求めました。

今回は、株価の1倍割れする企業が多い日本!PBRの値が低い事のデメリットについてお伝えします。

PBRについて

PBRは以下の計算式で求めます。

  • PBR(株価純資産倍率)=時価総額÷純資産
  • PBR(株価純資産倍率)=株価÷一株当たり純資産

PBR(株価純資産倍率)とは、「一株当たり純資産の何倍になっているのか?」の指標とされ、資産に対する割安度合いを図る数値となっています。

このPBRの数値が低い企業は、本来の価値よりも評価の低い企業としてみなされることになります。

逆にPBRの数値が高い企業は、本来の価値よりも評価の高い企業としてみなされることになります。

そして、日本の企業では、このPBRの1倍割れを起こしている企業が多い状況なのです。

国内の上場企業ではプライム市場でも約5割、スタンダード市場でも約6割の企業がこの状態にあることを指摘されています。

欧米の主要マーケットと比較しても、その割合が多いことが分かっており、今年の3月に東京証券取引所は、日本の上場企業に対して、注意を入れた状況だったのです。

そのため、春頃にはPBRの1倍割れなどのニュースをよく目にしたという方も多かったと思います。

PBRの値が低い事のデメリット

PBRが1倍割れを起こすような企業というのは、解散してもいいよ!と言われてもおかしくはない状況の数値であり、業績不振などがないとしても、このような数値でいること自体がおかしいと考えられているのです。

むしろ、現状の状況が続くのであれば、企業を解散させてしまって、金融機関などの負債を返済し、残った財産を株主へ返した方がいいですよといったレベルにある企業となるため、東京証券取引所が活を入れるのも納得な事態となります。

しかも、このPBRの1倍割れを起こしている企業の中には、名の知れた大手企業なども含まれており、トヨタ自動車や三井住友避難者るグループに本田技研なども含まれていたのです。

これらの企業がPBRの1倍を割っている理由には、資産の活用方法が下手な可能性があり、蓄積した利益や株主から預かった資金を新たな事業に投資するなどしても、その利益が還元されていなかったり、無駄な投資先にお金を支払って、収益が思いのほか上っていない等の要因が考えられます。

そうなると、帳簿上の資産よりも株価が低くされる傾向があり、成長性のある投資先への投資を行っていかなければならないのです。そうして、評価を上げていくことこそが、株価への影響を与えたりするため、株主にもメリットが増えていくのです。

現状、内部保留して資金を蓄えるだけで、株主や社会へ還元していない企業が多く、資産効率が悪いため、正当な評価に繋がらずPBRが低いという現象が日本では起こっています。

PBRが低いとどうなるの?

海外ではPBRの低い企業は株主総会などで、使えない社長などと考えられるとすぐに首を切られ新たな社長を立てるなどして、経営者のトップが挿げ替えられてしまうのです。

それほど、低PBR企業は非常に恥ずかしい話であり、ビジネスにおいても非常に重要性の高いポイントとして見られているのです。

しかし、日本ではこのような事が起こらないのにも理由があり、大株主などが経営に対して口を出すようなことが少ないため、アクティビストのような存在が経営を改革させるような提言をすることもないのです。

アクティビストとは、ある企業株式を一定以上保有して企業の経営や業務改善などを提案し、自己利益の最大化を目指して経営へ提言を行う人のことを言います。

海外では、こういった方の存在によって、株主総会などで頻繁に意見交換が行われるため、企業としても健全な経営・利益の拡大を目指すような仕組みとなっています。

たとえば、プロ野球の監督が成績を出せずに解雇されることもありますが、これは一概に、成績によるものだけではありません。

シーズン前に大型補強をして戦力アップをしても、勝率が悪ければ、夏頃にはペナントレースから優勝戦線に残れないとなると、観客動員数は落ち込み、グッズの販売数にも影響を及ぼす状況になれば、年間の売上高も冷え込み利益が上らなくなります。

そもそも、プロ野球も興行であり、利益を生み出さなければ成り立ちません。

選手や監督に給料を支払っているのも大本の企業となり、その企業からすれば、収益が上らなければ投資する価値はありません。むしろ、無駄な出費でしかないのです。

だからこそ、大本企業やファンからも、監督を変えろやこの選手を外せ!などの声があがるため、結果を残さなければならない状況なのです。

そして、現在のPBR1倍以下の大手企業などは、このような状況にあり、問題視されているのです。

まとめ

日本では、PBRの低い企業が非常に多い状況ですが、実際にはそこまで価値のない企業ばかりでもないため、株価が上がる企業もあるでしょう。

ですが、実際に低PBRの株を購入するメリットがあるのかと言えば、必ずしもそうとは言えません。

企業によっては、本当に事業や業績が上手くいっていない企業もあります。

ですので、自身の資産を投入するのであれば、しっかりと企業の情報を調べ、スクリーニングを行っていき、資金投入して問題ないか、精査して投資していくことをおすすめします。