ワンルーム投資における賃料の遅行性、粘着性について(ブログサムネ画像)

不動産投資における賃料には遅行性・粘着性があります。

不動産投資といっても、種類は様々ですが、その中でも特にレジデンス系(住居系)はその特徴が顕著です。

そして、そのレジデンス系の中でもワンルームマンションはさらにその特徴が顕著となります。

賃料の遅行性・粘着性、またワンルームにおける特徴に触れながら私の考えをお話ししていこうと思います。

※動画でも詳しく解説しております。

賃料の遅行性について

賃料は価格に対して少し遅れて変化する特性のことを言います。

なぜ遅行するのか?

では、なぜ賃料は価格に対して遅れて変化するのでしょうか?

それには2つの理由が考えられます。

理由1

価格は将来の価値(予測)を織り込んで変動するが、賃料は今の価値のみを反映して変動するからです。

その為賃料は価格に遅行(遅れる)する傾向にあります。

例えば、最寄り駅周辺が数年後に大規模な再開発が行われ、利便性が高まるとしましょう。

そうなったときに、価格は先んじてリアルタイムで変動しますが、それに合わせて急遽今の賃料が変動する、なんてことはほとんどありません。

理由2

賃料を上昇させるのが困難だからです。

例えば2000万のワンルームを買って、2年後に相場が10%上昇したとしましょう。

そうなれば賃料も10%アップしたいが、そうは簡単にいきません。

入居者に賃料値上げの交渉はできますが、入居者の合意を得なければなりません。

合意しないなら出ていけ!といいたいところですが、入居者が借地借家法で手厚く保護されているのでそうもいかないわけですね。

その結果、価格が長期にわたって上昇する時代において、継続中の賃貸借契約の賃料は価格においていかれる形でどんどんその乖離幅がひろがっていく傾向にあります。

分かりやすく図で示すと以下のような形です。

不動産価格上昇局面における賃料の遅行性

 

不動産価格下落時はあまり遅行しないと言われているが・・・

なぜか?

入居者からの契約解除は簡単だからです。

入居者からすれば、「今の部屋の賃料が相場に比べて高いなあ・・・」⇒「引っ越ししよ。」

これで終わってしまうからです。

このような場合、オーナーはでていく入居者を引き留めるために賃料を相場まで下げざるを得ません。

この考え方はオフィスビルやテナントで強くみられる傾向にあります。

商業利用のオフィスビルやテナント入居者は固定費や家賃に対しての考え方が一般のそれに比べてかなりシビアです。

しかしながら、ことワンルームにおいては、景気後退局面において、例えば先のリーマンショックなどで「都内のワンルームから退去者が続出」などのニュースは無く、やはりレジデンス系の賃料は下がりにくく、遅効することが分かると思います。

賃料の粘着性について

現在貸し出している賃料は、新規賃料(普通に貸し出す際の相場賃料)までいきなり上がったり、下がったりするようなものではありません。

新規賃料と現在の貸出賃料との間で賃料が決まり、現在の貸出賃料に粘着する傾向にあります。

賃料相場上昇,下落局面における貸出賃料の粘着性

粘着性はどんな時に現れるの?

賃料の粘着性は以下の2つの状況の際に顕著に現れます

1,不動産価格が上昇しているとき

例えば不動産価格が2倍になったのだから、賃料も2倍にしてほしい、というのはある意味正当な要求です。

でも、入居者は「借地借家法の規定を楯にして抵抗」するわけです。

基本的に入居者が守られるので、結果的に大家は家賃の値上げを先延ばしにしたり、諦めたりすることになります。

2、不動産価格が下落しているとき

不動産価格が下がったのだから、家賃を下げてほしい、これもまたある意味正当な要求です。

しかし、大家としてはできるだけ賃料は下げたくない。

1部屋下げるとほかのお部屋も下げなきゃいけない可能性がでてきますからね。

だからこそ、現状の賃料を維持しようと頑張るわけです。

ワンルームの賃料は特に粘着性が高い

そもそも都心部のワンルームオーナーはそのほとんどが会社員やサラリーマンです。

みなさん「年金の足しに」「生命保険代わりに」という理由で物件を購入されており、物件の管理は管理会社に丸投げしています。

よって、自分の保有している物件の周辺賃料や価格相場にあまり関心の無い方が多く、たとえ周囲の相場賃料が上昇していたとしてもそれに気づかない、または気づいていたとしても賃料を上昇させることで募集期間(空室期間)が長期化することを恐れ、現状賃料据え置きで再募集するような保守的な方が多いのです。

その証拠に中古ワンルームのオーナーチェンジ物件では、現入居者の退去後に賃料アップが狙える物件も存在します。

レジデンスの賃料は粘着性が高い

遅行性・粘着性の元凶は普通借家契約

普通借家契約における入居者の立場は強く保護されています。

オーナー側から賃料の値上げや立ち退きは非常に困難(正当事由など)とされています。

また、一端契約すると、一般的な契約期間の2年が終了した後も自動更新となります。

基本的にオーナーは入居者からの更新依頼を拒絶できません。

普通借家契約には以下の2つの更新が存在ます。

1,法律の定めにより更新する「法定更新」

契約期間満了しても大家側に正当事由がない限りは入居者の更新を拒絶できません。

自動で更新されてしまいます。

法定更新後の借家契約は「期間の定めがない借家契約」となり、かつ契約条件は同一条件とみなされてしまいます。

2,当事者の話し合いで更新される「合意更新」

合意条件を話し合い、更新契約を締結します。

一般的な「期間満了の〇日前までに解約の申入れがない場合は、賃料や期間等従前と同一条件にて、自動的に更新する。」などの契約上の定めに基づく更新のことです。

もし、合意ができないまま期限が来ると「法定更新となる恐れ」がでてきます。

定期借家契約であればリスク回避はできるが・・・

定期借家契約には更新の概念がありません。

入居者が期間満了後も引き続きお部屋を借りる場合には再契約が必須となります。

もちろんこの再契約に関してはオーナーが拒絶することもできます。

それなら「普通借家契約」じゃなくて「定期借家契約」にすればいいんじゃない?

そうすれば定期的に賃料も見直せるし。

と思われるかもしれませんが、定期借家契約は借主にとっては不利な契約とみなされるため賃料が相場よりも低くなる傾向にあります。

また、更新するにしても再契約などで手続きが面倒なので、そのあたりを嫌う入居者もいます。

現状の都内のワンルームでも定期借家で賃貸募集している物件もありますが、その数は非常に少ないです。

まとめ

ワンルーム投資における賃料の粘着性と遅行性は非常に高く、それゆえに非常に運用が安定しているといえます。

また、ワンルーム投資の価格に関しては収益還元法(詳しくは上級セミナーにて)によって価格決定されるため、価格上昇ポテンシャルを秘めた中古ワンルームは普通に存在します。

そのような物件を見抜けるかどうかは、単純に「知識の差」になります。

東京1Rでは毎週末、オンラインにてセミナー(初級・中級・上級)を行っており、

  • 優良物件の見分け方
  • 購入すべき物件の特徴
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  • 購入してはいけない業者
  • 賃貸募集のしくみ

などを明確に、お伝えしております。

先ずは当セミナーでしっかりと知識を付けたうえでワンルーム投資を検討しましょう。

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