
不動産投資の中でもワンルームマンション投資は会社員や公務員に人気です。
しかし、その一方でワンルームマンション投資とネットで検索すると、「失敗した」「損した」などの記事が目立ちます。
ワンルームマンション投資の相談を過去に数千件受けてきた経験から、ワンルーム投資における主な失敗事例を10個にまとめました。
投資初心者が騙されやすいポイントや失敗事例から、ワンルームマンション投資で失敗しない為の注意点までしっかりと見ていきましょう。
(※今回は動画でも解説しております。)
高利回りの物件を購入し失敗
確かに、教科書的に言えば利回りの高い物件であれば儲かる仕組みになっています。
利回りとは投資物件の収益性を判断する1つの指標です。
この数値が高ければ高いほど収益性が高く、儲かるということです。
つまり、高利回りとは「入ってくる家賃収入が高くて、物件価格が低い」ということです。
しかし、そんな美味しい話は基本的に存在しません。
なぜなら利回りの高さ(リターン)はリスクの高さに比例するからです。
利回りの高い物件には必ず、何かマイナス理由が存在します。
利回りが高い=リスクが高い
ということです。
そうでなければわざわざ価格を落として販売する必要が無いですから。
その理由を考えずに、利回りの高さだけを見て物件を購入すると後で痛い目にあいます。
都心のワンルームの平均的な利回りは
- 新築ワンルームマンション3~4%
- 中古ワンルームマンション5~6%
程度のものがほとんどです。
勿論、地方の物件や築年数の古い物件になればそれこそ利回りが10%以上のものも存在します。
しかし、その利回りの高さの裏には大きな落とし穴が存在ます。
- 周囲の相場より高い賃料が設定されている
- 事故物件
- 不良入居者が住み着いている
- そもそも入居需要が無い
- 管理組合が機能していない
- 管理費と修繕積立金が高額
などです。
あくまで、利回りは物件の収益性を表す1つの指標にすぎません。
「高利回り=必ず儲かる」
という訳ではないのです。
例えば、以下の図のように購入当初の利回りが高かったとしても、空室や賃料下落により当初の運用利回りは大きく下がることもあります。
また、都心の低利回りの築浅中古ワンルームマンションや新築ワンルームマンションを「すぐに儲かる!」と誤認して購入に至ってしまうケースも少なくありません。
- 数年後には数百万価格が値上がりしますよ!
- この立地なら家賃はドンドン上がっていきますよ!
などと営業マンからメリットを誇張して伝えられそれを鵜呑みにして物件を購入するパターンです。
新築ワンルームマンションで大きな含み損を出し失敗
売却価格がローンの残債を大きく下回っており、多額の現金を使わないと売却できない状況です。
特に新築ワンルームを定価に近い金額で購入してしまうとこのようなパターンに陥りやすいので要注意です。
新築ワンルーム購入後に売却査定に出してその金額の低さに愕然とするオーナーが後を絶ちません。
新築ワンルームマンションが失敗しやすいのはいくつか理由がありますが、一番の理由は価格の高さです。
- 土地の購入代金物件
- 建築費用
- 諸経費
- デベロッパーの利益
から物件価格が決定されるため一般的な中古市場のワンルームよりも割高な価格になってしまうのです。
価格が高い為、ローンを組んで物件を購入すると毎月の収支が以下のようなマイナス状態になります。
毎月のキャッシュフローが当初から赤字状態の物件を購入してしまうと今後先々の毎月収支はさらに厳しくなります。
毎月1万程度の支払なら問題も無さそうに思いますが、修繕積立金の今後の上昇や家賃の下落を考慮すると、この収支はさらに大きな赤字となっていきます。
毎月の手出し金額が1万から2万、3万へと増えていく・・・
これに空室などが重なれば、家賃収入が0円ですからさらに最悪です。
しかも売ろうにも売れないので、仕方なく物件を保有するという非常に厳しい状況です。
新築ワンルームマンション投資が失敗しやすい理由は以下の記事に詳しくまとめております。
節税効果の誤認による失敗
ワンルームマンション投資の節税効果は生涯にわたって続くものではありません。
節税効果が高いのも最初の数年のみです。
※ワンルームマンション投資の節税効果については以下の記事でまとめております。
物件購入時に「初年度の高い節税効果が生涯にわたって続く」と誤認してマンション投資を始めるパターンです。
ワンルームマンション投資の初年度の節税効果は年収にもよりますが「数十万」に及びます。
その節税効果が生涯にわたって続くと勘違いしてしまうのです。
中には、営業マンがそのようにお客様をそそのかす場合もあるので注意しなければなりません。
以下の図は典型的な節税と毎月の収支をごっちゃにした悪質なシミュレーションの一例です。
このように、毎月の収支と節税効果をごっちゃにしてしまうシミュレーションはお勧めできません。
そもそも物件単体での月収支がマイナスなのでその時点で投資対象として厳しいと言わざるを得ません。
固定資産税・現状回復費用・設備費用などの必要経費を計算せずに失敗
深く考えずにワンルームを購入し、購入後に様々な経費や税金が掛かることを初めて知るような状況です。
そんなにお金がかかるなんて聞いてない!
と言っても、後の祭りです。
固定資産税は毎年かかりますし、設備が経年劣化で壊れればオーナーが負担しなければなりません。
※固定資産税については以下の記事でまとめております。
⇒ワンルームマンション投資の固定資産税はいくら?計算方法を解説!
※設備などの取り換え費用などは以下の記事でまとめております。
⇒ワンルームマンション投資にかかる修繕費用や設備交換費用を計算する
少し言い方はきついですが、必要経費の計算などはワンルームマンション投資をするにあたって、当たり前に自分自身で計算しておかなければならないことなのです。
空室が長期間続き、大きな持ち出しがでて失敗
満室想定で物件を購入したが、一旦入居が途切れると次の入居がなかなかつかない・・・
毎月の家賃が入らないので、毎月のローン支払などを全て家計から支払わなければならず、マンションを所有すること自体が困難な状況に・・・
空室になる物件には2つの理由があります。
- 賃貸需要がそもそも無い
- 募集家賃が高すぎる
このどちらかです。
特に地方のワンルームマンションなどに関しては、東京に比べて単身需要も少ないので、空室期間が長期化し、家賃も下落しやすい傾向にあります。
また、都心の物件であったとしても空室率を計算せずにシミュレーションするのは非常に危険です。
一定期間の空室はどんな立地の物件でも必ず発生します(室内のクリーニングなどで最低でも1週間程度)
物件購入当初は入居者がいても、長期にわたって物件を保有すれば、必ず退去が発生し、空室になります。
その際にそもそもの賃貸需要が少ない地方物件の場合には購入当初の利回りで運用できず、ローンで購入している場合は毎月身銭を切ってローン返済しなければならない状況に陥ってしまいます。
無理な買い増しによる失敗
投資用ワンルームマンションは複数件所有することができます。
もちろん複数所有することで、メリットもありますが、その分多額のローンを組むことにもなります。
入居が続いていれば良いですが、複数件が一気に空室になればその分、毎月の負担も件数分に増加します。
例え、都内の好立地の物件を複数所有していたとしても、たまたま退去の時期が被ってそのうちの数件が空室になる可能性もあります。
そんな万が一の事態に備えて、ある程度の預金を常に準備しておきましょう。
自分自身の与信能力(ローンが組める能力)を過信しないように注意してください。
また、ワンルームマンションを買い増ししていくと、「自宅のローンが組みにくくなる」という事実も存在します。
ワンルーマンション投資を始めた後、将来的に自宅をローンで購入しようとしている方は注意してください。
【悲報】フラット35融資基準が激変!ワンルーム投資家は自宅が買えない?
高金利の融資を受け、月収支の赤字による失敗
融資を受ける際に金利が高いと、毎月の返済が多くなり、マンション投資をするのに不利になります。
投資用のワンルームマンションは、売主業者の提携金融機関から融資を受けて物件を購入するパターンが多いです。
その売主業者が低金利の金融機関と提携していない場合、高金利の金融機関を使うしかありません。
お客様自身の属性が悪いために高金利の金融機関からしか融資を受けられない場合は仕方ありません。
そのような場合は、ワンルームマンション投資そのものをあきらめる選択肢も考えましょう。
具体的に3%を超えてくるような金利には要注意
投資用のワンルームマンションを購入する場合は、その売主業者が低金利の提携金融機関とそもそも提携しているのかどうか?
を事前に把握しておかなければなりません。
そもそも売主の不動産業者に提携金融機関が無ければ、お客様自身で融資してくれる銀行を探さなければならなくなります。
このような場合、多くは高金利の融資条件となってしまうことが多いです。
※投資用ワンルームの低金利の金融機関を以下にまとめておきます。
⇒投資用ワンルームマンションローン取り扱い銀行&金利ランキング
入居の仕組みなどを理解しておらず、管理会社のいいなりによる失敗
入居募集の仕組みが全く分かっておらず、全て管理会社に任せているパターンです。
もちろん入居募集に関しては管理会社が行ってくれる訳ですが、基本的に管理会社の立ち位置はあくまでオーナーのサポートです。
オーナーがそもそも管理業務の基本すら知らないのでは話になりません。
※賃貸の入居付けまでの流れなどは以下の記事にまとめております。
⇒賃貸管理会社の入居付けまでの流れや賃貸管理委託に際しての注意点など
また、例えばお部屋の設備交換をするとなった時にも、そもそもの取り換え費用の相場が分からなければ、管理会社の見積もりのままにお金を出さなければなりません。
オーナーさんが無知であることを良いことに、事あるごとに不当な費用を請求する悪質な管理会社も存在します。
施設や大学などに頼った立地選びによる失敗
大学施設が近くにある!というのを決め手に地方の格安物件などを購入したオーナーに多いパターンです。
確かに大学の近隣は学生の賃貸需要を見込むことができます。
しかし、その大学が、その土地に一生存在し続けるという保証はどこにもありません。
現に大学の所在地も「都心回帰」の流れにより、いくつもの大学が東京都心へキャンパスを移転しております。
キャンパスの無くなった地方都市の賃貸物件は悲惨です。
大学や特定の施設に頼った賃貸経営は非常に危険なので注意しましょう。
サブリース(家賃保証)を選択することで失敗
昨今では、かぼちゃの馬車の問題により、サブリースのデメリットやリスクが大きく社会問題となりました。
管理会社がオーナーに毎月定額の家賃を支払う保証契約にも関わらず、一方的にその保証賃料を減額したり、そもそも入金すらしない、といったパターンが多発しています。
サブリースとはサブリース会社がお部屋の入居者となり、そのお部屋を借り上げる契約です。
もちろんサブリース会社はそのお部屋を一般の入居者に転貸します。
サブリースは、入居者の有無に関わらず、オーナーに一定金額の保証賃料が必ず入金されるというメリットがあります。
マンション投資の最大のリスクは空室なので、その空室の心配がいらないサブリースシステムは非常に魅力的に見えます。
しかし、実はこのサブリースシステムには以下の注意点が存在します。
- サブリースの保証賃料は業者都合でいつでも引き下げられる
- 業者からの一方的なサブリース解約もできる
- サブリースを解約しようとしても応じてもらえない
- サブリースを解約しようとすると多額の違約金を請求される
- サブリースを解約しないと売却できない
- サブリースを解約しないと借り換えできない
- サブリース手数料が非常に高額
などのポイントです。
サブリースで最も誤解が多いポイントは、「最初の保証賃料を永久に保証してもらえる」と、オーナーが勘違いしているパターンです。
契約書に保証賃料は毎月〇万円!と記載があっても、業者都合でいつでもその金額を下げることはできます。
それじゃあ契約書の意味ないじゃん!
と思うかもしれませんが、まさにそうです。
入居者は「借地借家法」によってその立場が強く保護されています。
サブリースの場合、入居者はサブリース会社となり、オーナーよりもサブリース会社が保護される仕組みになってしまうのです。
サブリース(家賃保証)と聞くと非常に安心に思えますが、実態は全くの逆です。
サブリースをしなくても入居者のつく、そんな立地の物件を所有しなければなりません。
※サブリースに関するトラブルは以下の記事にまとめております
⇒サブリースを解約できない!ワンルームマンション投資でトラブル続出
ワンルームマンション投資で失敗しない為に
ここまでワンルーム投資に関する失敗事例を挙げてきましたが、失敗しない為にはどのような対策を講じるべきなのでしょうか?
ワンルームマンション投資をする場合には以下のことに注意しながら検討していきましょう。
周囲の価格・家賃相場を自分で確認する
ワンルームマンションを不動産会社から紹介され、言われるがままに物件を購入してはいけません。
必ず、物件周辺の家賃や価格の相場を自分自身で確認してください。
ホームズやスーモといった不動産ポータルサイトを見れば、現在入居募集中の周辺物件だけでなく過去の募集賃料や売却物件の価格なども掲載されております。
周辺物件の募集賃料と購入物件の賃料とに大きな乖離がないか確認しましょう。
毎月の収支が赤字の物件を購入しない
投資用物件を購入する際に、毎月の収支シミュレーションを不動産会社から提示されます。
その際に、毎月の収支が最初から赤字になっているような物件は危険です。
毎月の収支がしっかりとプラスになっている物件を選択しましょう。
特に新築ワンルームマンションは35年ローンで計算すると毎月の収支はほぼ確実に赤字になりますので注意しましょう。
節税効果は長期でシミュレーションする
上記の失敗事例でも記載しましたが、新築ワンルームマンション投資であれ、中古ワンルームマンション投資であれ、節税目的での物件購入は確実に失敗します。
当初数年の大きな節税効果に惑わされてはいけません。
ワンルーム投資はこの先数十年に渡る長期投資です。
よって、節税シミュレーションも当初数年だけでなく、その先の「納税」も視野に入れた長期期間にわたるシミュレーションを事前に行いましょう。
融資の付きやすい物件を購入する
融資がつかない物件は現金で買うしか選択肢が無いので、購入のハードルが高くなります。
つまり、融資が受けられない物件の価格は大きく下がってしまうということです。
融資がつくからこそ一般のサラリーマンでも初期費用をかけずに購入できるのです。
融資がつかない物件となれば多額の自己資金が必要となり、一般のサラリーマンの手に負えない投資となってしまいます。
築年数が古すぎる(築30年以上)中古ワンルームマンションは融資が付きにくく、購入した後に不動産売却の出口戦略がとりにくくなる傾向にありますので注意しましょう。
「融資が付きやすく、価格も新築ほど高くない。」
以上の理由から都心の築浅中古ワンルームマンションが最もおすすめです。
サブリースを選択しない
昨今の新築・中古ワンルームマンションは「サブリース解除不可」という条件付きの物件が増えています。
サブリースは不動産投資の初心者にとっては非常にメリットが大きく見えるかもしれません。
しかし、その裏には冒頭で記載した大きなデメリットやリスクが存在します。
都心の好立地であれば、サブリースなどつけなくても十分に入居は付きますから、間違ってもサブリースお選択しないように注意しましょう。
まとめ
どの失敗事例に関しても言えることですが、結局は購入者の「勉強不足」というのが結論です。
- 自分自身で相場を調べる
- 契約書の内容を確認する
- 業者の営業トークを信用しない
など当たり前のことができていないがためにワンルームマンション投資で失敗してしまうのです。
当たり前のことですが、自分自身で「ワンルームマンション投資についてよく調べる」ことで、ほとんどの失敗を避けることができます。
ワンルームマンション投資に関しての基本的なことは以下の東京1Rの書籍に全てまとめてありますので、是非ご一読ください。