家賃保証(サブリース)トラブル・契約時と売却時の注意点

過去にも家賃保証の記事はいくつか記載してきました。

家賃保証とは不動産投資やマンション投資をする際に、空室の有無に関わらず毎月一定額の家賃を必ずオーナーに支払う賃貸の管理契約のことです。

別名サブリース契約とも言います。

マンションを所有しているオーナー様からすると、空室で収入が0円になってしまうリスクが回避できるので、一見すると非常に安心できそうな制度ですよね。

ただし、昨今この家賃保証(サブリース)を原因としたトラブルが頻発しているのをご存知でしょうか?

レオパレス集団訴訟問題

アパート建築と管理で有名なレオパレスが、「30年一括借り上げ」と称して地主などにアパートを建築させ、当初は保証賃料を支払うが、10年もたたずに、大幅な保証賃料の減額またはサブリースの解除をオーナーに迫り、それに怒ったオーナーさん達がレオパレスに対して訴訟を起こしたという問題です。

レオパレス21の訴訟問題に見るヤバい管理会社の深い闇

以下引用

 今回、『ガイアの夜明け』で取り上げられたレオパレス21は、完成したアパートを30年間同社が借り上げることによって、オーナーは入居者の有無にかかわらず安定した家賃収入が得られるという契約に対して、早いもので10年も満たないうちに約束した家賃を減額または借り上げ契約を解除するようオーナーに半ば強制的に迫っていたことが明るみにでたものだ。

家賃の減額や借り上げ契約の解除によって収入が減れば、アパートローンなどの負債を抱えたオーナーはその支払いが困難になり、最悪、破たんしてしまう可能性がある。

http://biz-journal.jp/i/2018/01/post_21979_entry_3.html

シェアハウス(かぼちゃの馬車)問題

こちらは旬な話題です。

スルガ銀行の融資したスマートデイズ社のシェアハウス問題も根本的な原因はサブリースにあります。

入居のつかない、高額な賃料設定のシェアハウスを30年定額の家賃保証と謳っておきながら、数年で崩壊です。

シェアハウス問題については過去記事に詳しく記載しておりますので、以下記事をご参照ください。

スルガ銀行に金融庁立ち入り(シェアハウス)内部は不正だらけ?

サブリースは売却時に苦戦する

サブリースの問題は定期的な賃料の改定だけではありません。サブリース契約をしている物件は売却時にも非常に面倒なんです。

そもそものサブリースの契約内容は、サブリース会社がお部屋の入居者となる契約であります。ただし、サブリース会社の人がそこに入居する訳ではなく、そのお部屋を転貸して一般の入居者さんに貸し出す仕組みとなっております。

以下の記事にも記載しましたが、ほとんどのサブリース契約書では転貸先の情報については公開しないと記載してあります。

ワンルームマンション投資の家賃保証・サブリースは要注意

ということは、オーナーとしては、「サブリース会社が入居者に対して一体いくらの賃料で貸し出しをしているのか」が分からない訳であります。

例えばそのサブリースのお部屋を売却しようとする際に、新たな購入者はほぼほぼ新たな銀行のローンを利用してその物件を買うことになります。

銀行もその物件の評価を出さなければならないので、サブリース賃料ではなくて実際に貸しに出している賃料情報は必須になるのです。

もちろん口頭で80000円です!なんて言ったところで信用してもらえるはずもないですから、当然、入居者との月額貸し出し賃料の記載された賃貸借契約書を提出しなければなりません。

サブリース解約の違約金

サブリース会社に「賃貸借契約書を見せてくれ」というと、確実に見せてくれません。

「契約上お見せできないことになっております」といわれるのがオチでしょう。

つまり、実際の貸し出し賃料が分からないわけです。もし、知りたいならサブリースを解除しなければなりません。

しかし、サブリースの解除は簡単なものじゃありません。

  • 解約3ヶ月前に必ず告知&3ヶ月分の賃料
  • 解約6ヶ月前に必ず告知&6ヶ月分の賃料
  • そもそも解約不可能

という管理会社が多いです。

つまり、解約にあたりある程度の期間と違約金がかかるわけですね(中には賃料24カ月分なんてところも・・・)。

中にはかたくなにサブリース解約を拒む管理会社も存在するので注意しなければなりません。

サブリース契約をする場合は必ずこの解約条項に目を通しましょう。

管理会社も管理替えを引き止めたい。

管理会社の収入源は管理手数料です。サブリースであればサブリースの管理手数料(家賃の10%程度)ですね。

基本的に物件が売却されると、新たな管理会社に管理も変更になるパターンが多いです。

なので、物件が売却されると管理戸数が減ってしまうんですね。管理物件の減少は管理会社にとっては死活問題であります。

なので、出来るだけ管理を外さないように仕向けてくるのが普通なんですね。

だから、サブリース契約中にオーナーから賃貸借契約書が欲しい!と言われた時点で管理会社としては「売却か!?」とピンと来る訳です。

当然「賃貸借契約書ハイどうぞ!」と渡す訳がないのであります。

売却時の金融機関査定額が低くなる、もしくは評価が出ない!

サブリースを外さないと、基本的に金融機関の融資評価は出ません。なので業者で買い取りするにしても、仲介でエンドユーザーさんに売却するにしても、現金買いの人を除いて、必ず融資を組むことになります。

ということは金融機関からの融資評価はほぼ必須ということになりますね。

金融機関からの評価が出ないものは買取業者もリスクが高くて買うのを嫌います。なぜならそれを再販売する際に融資を使えなくなってしまい、現金一括客のみを相手にしなければならないからです。

このブログで何度もお話ししていますが、投資用ワンルームマンションの購入は融資金融機関が非常に重要です。

その理由は以下の記事を参照してください。

投資用ワンルームマンションの売主物件と仲介物件の違いについて

【2023年度1月】ワンルームマンション投資の融資・ローンの特徴やポイントを解説

 そもそも契約時点でサブリースにしない!

これが一番大事ですね。もしくは契約したとしても、解約条項の違約金部分を抹消してもらう。これでサブリース解除のデメリットをある程度防ぐことができるハズです。

ワンルームを業者から購入する場合は、基本的に売主と管理が直結している場合が多いので、物件購入と引き換えにサブリースの解約条項に色々とオーナーに有利なように注文を付けてみてもいいかもしれませんね。

もし、サブリース解約または管理変更でお悩みの方は下記のお問合せフォームよりご相談下さい。

お問い合わせ