不動産投資でテナント物件(店舗物件・事務所)が高利回りで危険な理由

不動産投資と一口にいっても様々な種類があります。

マンションやアパートのレジデンス投資は良く聞きますか、テナント(事務所・店舗)はどうなんでしょうか?

今日はそんな、テナント(事務所・店舗)投資のメリットとデメリットについてお話していこうと思います。

結論から言うとあまりお勧めできません。

その理由についてもしっかりと説明していきます。

テナント(事務所・店舗)投資のメリット

利回りが高い

ここが、テナント(事務所・店舗)投資の最大のメリットです。

昨今、特に都心部のマンションやアパートなどの利回りは下落の一途を辿っています。

それに対して、テナント(事務所・店舗)の投資は全体的に平均利回りが1〜2%高いです。

テナントはマンションやアパートの居住用物件にくらべると、平米あたりのそもそもの賃料が高いのです。

なので利回りも高くなるわけです。

※利回りについては過去記事を参照してください。

ワンルームマンション投資の平均利回りを【地域・築年】別で徹底解説

賃料が高い

利回りの部分でも書きましたが、テナントはそもそもの賃料が高額です。

一般的な住宅に関しては、「居住ニーズを満たすためにその部屋を個人に貸し出し」しますが、テナント(事務所・店舗)に関しては「モノ・サービスを販売する個人・法人に貸し出し」しますので、より高い賃料設定が可能となります。

特に都心部に関しては、その傾向が顕著に現れます。

保証金が多い

一般的に居住用のマンションやアパートの場合、敷金や保証金などの費用を入居者から家賃の1カ月(場合によっては0)程度貰うのが普通ですが、テナント(事務所・店舗)は3か月~1年程度となります。

敷金は一般的に入居者に返金するものなので、完全に収益になるわけではありません。

契約内容によっては預かった保証金の一部は償却し、退去時に返還しなくても良いケースもあります。

原状回復にかかる費用が少ない

既にマンション経営を始めている方であれば、入居者の退去の際なんかに設備や壁紙の交換でオーナー負担となり、突発的な出費をご経験した方も多いのではないでしょうか?

住居用の賃貸物件の場合は国土交通省の

「住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について – 国土交通省」

や東京都都市整備局の

賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(改訂版)(概要) | 東京都都市整備局

などによって、賃貸人と賃借人の原状回復の負担割合について明記されています。

基本的に自然消耗(経年劣化)による補修費はオーナーが負担しなければなりません。

しかし、テナント(事務所・店舗)は通常「スケルトン渡し」といわれ、テナントを退去する際には元のスケルトン状態に戻して返還します。

そして、そのスケルトンに戻す費用はテナント側が支払うのが一般的です。

テナント(事務所・店舗)投資のデメリット

空室リスク

一般的に平均の空室期間が非常に長いです

また、景気の波をもろに受けるので、不景気になると一気にテナントが退去してしまう恐れもあります

特にコロナ禍においては数多くの飲食テナントが退去し、空室物件が非常に多くなっているのを見れば如何に景気に左右されるか?ということが理解できると思います。

それは都心部であっても地方であっても変わりません。

逆に数十年入居しているテナントなどもあるでしょうが、逆に考えると、そんなにおいしいテナントの入った物件はなかなか売りに出ないのも現状です。

基本的にお宝物件は手に入らないです。

不動産投資で良い物件(お宝物件)は手に入らない?その理由

事業用の物件に関しては、事業が上手くいかなかったら撤退すればいい話なのでどうしても空室リスクが高くなってしまうのです。

居住用物件のように必ずどこかに住まなければならない!という訳ではありませんから。

また、物件の特徴によっては、「コンビニ向き」「飲食店向き」「事務所向き」などと用途や種類が様々なので、物件の特徴によっては、一定の用途のニーズしか満たしていない物件も存在するので、注意が必要です。

賃料の変動幅が大きい

テナント(事務所・店舗)の家賃は「景気の変動」の影響をもろに受けます。

しかも、事務所や店舗を出すのは企業です。

そうなるとオーナーに対しての家賃値引きの交渉や初期費用の相談も必然的に多くなります

需給バランスによっても大きく賃料が変動しますので、逆にいうと、非常に高額な賃料で貸し出せる可能性もあるのです。

なので、賃料の変動幅が大きいというのは、一見デメリットのように見えるかもしれませんが、メリットにもなり得ます。

ただし、賃料の安定性という意味では変動幅が大きいので注意が必要です。

テナント募集が難しい

レインズでテナント募集を出している仲介会社もありますが、基本的にはテナントの専門会社に依頼する場合が多いです。

※レインズに関しては以下の過去記事を参照ください。

賃貸の仲介手数料を徹底解説!仲介手数料無料のからくりは?

それは、通常の居住用物件の仲介と異なって、テナント(事務所・店舗)はある種特別なノウハウが必要だったりもするので、通常の居住用物件を扱っている客付け賃貸会社からすると確認事項などの多さもあり、凄く面倒だったりもするんですね。

なので、テナントを貸す場合や借りる場合はテナント専門業者に依頼するのがおすすめです。

まとめ

このブログではワンルームの区分投資について特筆しておりますが、あくまで居住用物件への投資です。今回のような「テナント(事務所・店舗)物件」に関してはそもそもが居住ニーズへの投資ではないので、同じ不動産投資と言えども全く別物と考えたほうがいいです。

家賃相場に関しても、ホームズやスーモで調べて大体のあたりをつけるわけにもいきません。

そういった意味で、そのテナントの賃料が高いのか、安いのか。また、それに対しての物件価格が安いのか、高いのかも非常に判別しにくいです

なので収益還元法などを使ったとしても相場賃料が不明だと価格もあいまいな数字になってしまいます。

不動産投資における収益還元法(直接還元法とDCF法)を解説

もちろんもちろんテナント(事務所・店舗)投資で成功されていらっしゃる方々も多くいるとは思いますが、これから賃貸経営を始めよう!という会社員の方には到底お勧めできるものではありません。