不動産営業きつい!投資マンション会社での辛いブラックなエピソード5

未曾有の被害をもたらした東日本大震災から6年と半年。

震災が起こったのが2011年3月11日の金曜日でした。実はその年の2月頃より、私は何度も仙台に足を運び、ある一人の会社役員の方と投資用マンションの商談を重ねていた時期でした。

震災翌日に仙台にてマンション契約の約束

そのかいあってか、3月5日の土曜日に都内の投資物件のお申込みを頂きました

本当に男気溢れる方で、最後は「おまえにまかせるわ!」みたいな感じだったのをよく覚えています。

で、その申し込みを貰った日に、正式な契約日を設定しました。

その契約日が運悪く震災翌日の3月12日の土曜日だったのです。

申し込みを貰った日の最後の別れ際に、翌週の契約時(3月12日)の必要書類を伝え、次週は契約よろしくお願いしますと伝え、握手をして別れました。

契約前日、3月11日(金)の正午に翌日の契約の最終確認電話をし、お客様からも「明日はよろしく」と承諾をもらい、契約後は牛タンを食べよう。

などと契約したつもりでテンションが上がっておりました。

そして震災

その数時間後に震災が起きたのでありました。

私は真っ先にお客さんに電話しましたが、全くつながりません。津波のニュースもあり、お客様の安否がまず心配でした。

その後も何度か電話するも全くつながらず、ただ、幸いお客様のお住まいは高層のマンションの上層部、また、勤務先は仙台市内の区層ビルの上層部だったので、建物が倒壊しない限りは大丈夫かな・・・と考えておりました。

そんなときでした。

震災当日、社長からの信じられない言葉

当時の会社の社長が、私のもとにきて、「明日確か仙台で契約だったよな?お客さん大丈夫か?」と聞いてきたので、「いや、全然連絡つきません!無事であってほしいです・・・」と答えると、驚きの返答が。

「この状況じゃ明日新幹線動いてないよなあ・・・車で行くしかねえな」

驚きを通り越して、呆れました。

「お客さんと連絡ついてないっていってるじゃん!」

「てか、被災地がこんな状況で普通に考えて契約なんてできるわけないでしょ!」

って言いたかったんですが、当時は軍隊のような会社だったので、上司の言うことは絶対です。

「そうですね・・・」

としか言うことができませんでした

「お客さんの安否より契約のことか・・・」これまでにも、社内で何十回も理不尽なことはありましたが、私がこの会社を辞める最大のきっかけになった出来事の1つでした。

幸い、東北自動車道が封鎖されている、という情報が入り、「車で震災地に契約に行く」という無謀な行為を避けることができたのであります

その日の夜にお客様から、「ケガとかしてないから大丈夫!周りの状況は大変だけど」との電話がありました。

「大変な状況で何もできなくてすいません、また落ち着いたらお話しさせて下さい!」と伝えて、こちらから電話を切りました。

この時初めて、上司に嘘の報告を。

お客様が震災のせいで不安になり、契約を取りやめたいといっている、と。

客様は契約を取りやめたいとは一言も言ってません。

むしろこちらからまた落ち着いたら電話しますと言って、私が電話を切ったのであります。

なぜ私がこんな嘘をついたかと言うと、そう言わないと、契約は一体いつなんだ!早くしろ!お客さんに東京来てもらえ!など、超理不尽な指示をされることが目に見えていたためです。

こっそりお客さん支援

その後も、そのお客さんとはひそかに連絡を取り合って、とにかく自分にできる最大の支援をこっそりしていました。

震災直後は首都圏で「買占め騒動」などが起こり、生活消費財や食料品の調達が困難だったため、田舎の私の両親にお願いし、仙台のお客様にそういった物品を届けるようお願いしていたのでありました。

もちろん私は投資マンションを販売する営業マンですから、とにかくマンションを売らなければなりません。

なので、震災にあったお客様に物品を届ける!という行為を100%のボランティア精神で行ったわけではありません。

そこまで崇高な人間ではありませんから。

完全なボランティア精神・・・ではない

やはりそこは営業マンである以上、どんな状況になろうが売り上げを立てなければなりません。

綺麗ごとは通じないのです。

なので、その時の私の心境は「51%が戦略的に49%がボランティアの精神」でそういった一連の行動をとっていたように思います。

そのかいあってか、東北まで新幹線が通るようになった際には、何の断りもなく、マンション購入の契約を進め頂いたのでありました。

その後も立て続けに投資マンションを購入していただき、ご紹介も頂いて今でも良いお付き合いが続いております。

最後に

私の経験上ですが、特に営業をしていると、とんでもないトラブルやピンチの後には必ず何かしらのチャンスがめぐってきているように思います

悪いことが起こった際に「最悪だ」

で、終わっていては、何の解決にもなりませんし、なんの進歩もしません。どんな災難や困難に遭遇しようとも、常に前向きで、ピンチをチャンスに変えられる、そんな人間でありたいと強く思う次第です。