公務員はワンルームマンション投資で失敗しやすい?その理由を解説(サムネ)

公務員にとってワンルームマンション投資は非常に人気です。

実際に投資されている方も多く、投資への敷居が非常に低くなりつつあります。

一方で、ワンルーム投資を始めて「やらなきゃよかった・・・」と後悔している方も少なくありません。

「公務員はローンが組みやすい」ということをメリットとして考えている記事もありますが、ワンルームマンション投資においては逆にそれが大きなデメリットとなる可能性もあります。

公務員がなぜワンルームマンション投資で失敗しやすいのか?

また、失敗しない為のポイントや公務員の副業規定のポイントなども踏まえてお話しさせていただきます。
※動画でも詳しく解説しております。

なぜ公務員がワンルームマンション投資で失敗しやすいのか?

公務員はワンルームマンション投資の勧誘が非常に多い職業です。

職員録を購入したり、ネット上で簡単に個人情報が取得できるため、電話営業をメインとする不動産会社にとっては格好のターゲットとなります。

また職業柄、生真面目な方が多く営業マンの口車に上手く乗せられてしまうことも・・・

電話勧誘から粗悪な物件を買わされる

公務員の方にとってはあるあるですね。

毎日ひっきりなしに不動産業者からワンルームマンション投資の勧誘の電話をうけている方もいらっしゃるでしょう。

公務員に方に電話が来るのは「職員録」といわれる名簿の存在が原因です。

この職員録には氏名、部署、職位、電話番号などが記載されており、不動産業者はそれを元に片っ端から電話営業しているのです。

ちなみにこの職員録はお金を払えばだれでも購入できます。

公務員はローンも通りやすく、職位によってある程度の年収や年齢が事前に把握できるので、投資マンション業者からすると、絶好のターゲットとなります。

当然、いきなり職場に電話をかけてくるような業者がまともな物件を扱っている可能性は極めて低く、そのような勧誘の入口から粗悪な物件を購入し、失敗してしまう方が後を絶ちません。

節税を目的として物件を買ってしまう

公務員は基本的に年齢とともに年収が伸びていきます。

年収が増加すれば所得税や住民税の負担も増えます。

そこで「ワンルームマンション投資で節税しませんか?」という甘い誘いに乗って、物件を購入してしまうのです。

実際のところ、ワンルームマンション投資での節税効果は長く続くものではありません。

大きく節税効果が得られるのは購入当初の数年のみです。

この事実を知らないまま物件を購入してしまうと、当初の目的であった「節税」が数年後に無くなるわけですから、物件を所有する理由が無くなってしまうのです。

ワンルームマンション投資を節税目的で購入しないように注意してください。

信用力のおかげで粗悪な物件でもローンが組めてしまう

公務員は与信能力が高いです。

つまり、ローンを組みやすいということですね。

そうなると、多少粗悪な物件であっても公務員の信用能力のおかげで高額なローンが組めてしまう可能性が出てくるのです。

投資用のワンルームマンションに融資する金融機関は、融資をする際に大きく分けて2つのポイントを審査します。

  1. 物件の審査
  2. 顧客の審査

です。

例えば、粗悪な物件で審査基準を満たしていないものでも、顧客の属性が良ければフルローンの融資を受けることができてしまうのです。

「ローンが組みやすい」のは不動産投資するのにメリットになりますが、デメリットとなる可能性もあるということを認識しておいてください。

公務員の副業禁止を裏付ける3原則とは?

公務員が副業を禁止されている理由を裏付ける法規定も存在します。

  1. 国家公務員法 第99条,地方公務員法 第33条:信用失墜行為の禁止
  2. 国家公務員法 第100条,地方公務員法 第34条:秘密を守る義務
  3. 国家公務員法 第101条,地方公務員方 第35条:職務に専念する義務

信用失墜行為の禁止

公務員は公務員全体の信用を失墜させるような行為をしてはいけません。

公務員が事件やトラブルを起こすことで、その人だけでなく所属している(勤務先など)国や自治体などの信用を失うことになります。

国や自治体が信用を無くせば、政策も意味をなさなく成ってしまいます。

秘密を守る義務

公務員は一般世間に出回る前の機密情報を持っていることがあります。

それらの情報が「副業」などを通じて外部に流出してしまうと、国や自治体の信用失墜に綱借ります。

職務に専念する義務

公務員は国、国民の為に働く「奉仕者」です。

よって、その奉仕者が「副業」によって、時間やリソースを奪われ本業に支障をきたしてしまうと、国や自治体の信用失墜につながります。

だからこそ、公務員は副業に専念しなければならない、という考え方です。

    国家公務員が不動産投資で「副業」に該当しないための3つの条件

    実際に不動産投資をやっている公務員の方は非常に多くいらっしゃいます。

    もちろんそのすべてが副業とみなされる訳ではありません。

    公務員は「国家公務員」と「地方公務員」に分けられて、実はそれぞれで規定が異なるので、先ずは国家公務員についてみていきます。

    (私企業からの隔離)
    国家公務員法 第百三条
    職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

    ここでは国家公務員が賃貸経営をするにあたって守らなければならない3つの条件を下記の人事院規則に従って解説していきます。

    人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

    条件1、物件規模は「5棟10室」以内

    人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

    (1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
    イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
    ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

    基本的に公務員は副業禁止です。

    ただし、「基本的に」です。

    例外があるのです。

    それが良く言われる「5棟10室」と言われる規定です。

    つまり、この基準以上になると事前申請・許可が必要ということです。

    問題なのは、複合的に不動産投資をしている場合です。

    例えば戸建ては1戸を2室、駐車場に関しては1台を1室とカウントします。

    例えば戸建てを3戸、区分マンションを4室もっているとしましょう。

    普通に考えると、10室未満だから「5棟10室の規定」をクリアしているように思います。

    しかしながら戸建ては1戸=2室計算です。

    よって、

    • 戸建て3戸=6室
    • 区分マンション4室

    で合計10室所有しているとみなされますので、基準をオーバーすることになり事業規模とみなされます。

    条件2、物件の管理は管理会社に任せる

    人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

    (2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。

    まれに投資用のワンルームやアパートなどの管理業務を自分で行っているオーナーさんがいらっしゃいます。

    これを「自主管理」と言いますが、公務員の場合はこの自主管理はNGです。

    そもそも公務員が副業を規制される理由は、「本業(公務)に支障をきたす可能性があるから」です。

    不動産の管理業務は仕事の片手間で出来るようなものではありません。

    入居者からいつ連絡がくるか分かりませんし、早急に対応しなければならない事態もあります。

    そういったことを踏まえると、「自主管理=公務中にも管理業務をしてる」とみなされてもおかしくありません。

    なので、管理は必ず管理会社に委託しましょう。

    条件3、年間の不動産収入は500万以内

    人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

    「不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合」

    例え5棟10室以内であっても、年間の家賃収入合計が500万円を超えた場合には事前の申請・許可が必要となってます。

    大体申請すればOKだよ!みたいないい加減なことを書いている記事も散見されますが、実際のところかなりシビアです。

    国家公務員の相談者様で、6件目を購入する際に、年間500万以上の賃貸収入を受け取ることになるので、事前申請したところ、普通に却下された方がいました。

    都内の区分ワンルームだと、家賃が一室大体8万/月くらいになりますので、

    8万×12カ月×5件=480万です。

    つまり、6件目には賃料収入500万を超えてしまう訳ですね。

    ちなみにここでの不動産収入とは「収入から経費を引いた手残り(CF)」ではありません。

    家賃収入そのものを判断基準とされる点に注意しましょう。

    なので、上記該当の場合には事前申請を行ったうえで、投資しましょう。

    地方公務員が不動産投資で「副業」に該当しないための条件

    (営利企業への従事等の制限)
    地方公務員法 第三十八条
    職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。

    こちらは国家公務員のように明確な基準が一律で決まっているわけではありません

    地方によって基準が異なります。

    なので、地方公務員の方で不動産投資を検討されていらっしゃる方は事前に必ず自分の所属地域の副業規定についてしっかりと調べるようにしてください。

    分からない場合は人事担当者に相談しましょう。

    場所によってはワンルーム1部屋であっても事前の申請・許可が必要な場合もあります。

    不動産投資で一定規模以上になり申請が必要な場合

    では、一定規模以上の不動産投資をするためにはどのような手順で申請手続きをすればよいのでしょうか?

    下記の書類を準備し、所属部署に提出しましょう。

    ・「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」

    ・賃貸管理の委託契約書(自主管理していない、管理を管理会社に任せている!という証明)

    ・レントロール(毎月の家賃、建物管理費、修繕積立金、管理委託手数料、金融機関への支払などを表にしたもの)

    ・物件の図面やパンフなど

    「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」はこちらのアドレスよりダウンロードできます。

    ※地方公務員に関しては申請書式なども一律ではありませんので、直接所属部署に確認してください。

    公務員の不動産投資で副業規定に違反した事例

    記憶に新しい事件として以下のニュースを目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    賃貸収入7000万円の消防士、兼業で懲戒処分

    佐賀新聞 1月19日(火)19時12分配信
    佐賀広域消防局は19日、マンションや駐車場などの賃貸収入で年間約7千万円を得ていた北部消防署警防1課富士出張所の男性消防副士長(43)に対し、兼業を禁止する地方公務員法に違反したとして減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にした。

    同消防局によると、消防副士長は自己名義でマンション4棟、駐車場3カ所など15物件を佐賀市内や福岡、熊本県内などに所有、賃貸収入を得ていた。昨年の年収が約7千万円で、確定申告もしていた。昨年10月、住民からの通報を受けて発覚した。副士長は「2005年ごろから父の家業(不動産業)の手伝いで不動産の購入や賃貸をしていた」と話しているという。

    簡単に言うと、消防士が賃貸収入で年間7000万円を得てました。

    それは事業(副業)でしょ?とみなされ懲戒処分を受けたという事例です。

    公務員がワンルームマンション投資で失敗しない為に

    公務員以外にも言えることですが、基本的にワンルームマンション投資の失敗は知識不足、勉強不足によるものがほとんどです。

    公務員がワンルームマンション投資で失敗しない為のポイントは以下の7つです。

    新築ワンルームマンションは購入しない

    新築ワンルームマンションは価格と家賃に新築プレミアが上乗せされており、どうしても収支シミュレーションがマイナスになってしまいます。

    投資物件として所有するには効率がよくないのでお勧めできません。

    数多くの業者・物件を比較する

    ワンルームマンション投資を紹介する不動産会社は数多く存在します。

    1社からの提案を受けて、そのまま比較検討せずに物件を購入してしまうような方はほぼ失敗します。

    なぜなら、比較材料が無く、自分自身の投資基準があいまいな状態だからです。

    電話営業は相手にしない

    公務員には不動産投資の勧誘電話が多くかかってきます。

    しかし、そのような勧誘電話から紹介されるような物件で優良なものはほとんど存在しません。

    一方的な売り込みでしか捌けないような「ババ物件」の可能性が非常に高いです。

    本当に優良な物件であれば、そのような売り込みをする間もなく自然と売れていきますから。

    「公務員専門」不動産投資会社に要注意

    最近は「公務員専門の不動産投資」などと謳った広告が多くみられるようになりました。

    さも、優良な物件を紹介されるかと思いきや、紹介されるのは単なる新築ワンルームマンションです。

    特化した専門性など何もなく、単なるブランディングです。

    騙されてはいけません。

    節税目的で投資しない

    これは前述してますが、ワンルームマンション投資の節税効果は数年で終了します。

    よって、購入当初の節税効果を生涯にわたって得られるものだと誤認しないように注意してください。

    宅建を保有していない営業マンの話は聞かない

    投資用のワンルームマンションの営業マンは非常にいい加減な人が多いです。

    投資マンション業界の求人募集を見ると一目瞭然ですが、離職率が高く年中人手不足です。

    学歴や資格も不要なので、誰でもできる仕事です。

    宅建などの資格に関しても一般の不動産会社に比べると圧倒的に保有率が低いです。

    そんな資格もないようなほぼ素人同然の営業マンが日々マンション投資の勧誘を行っているのが現状です。

    よって、勧誘者である営業マンが有資格者(宅地建物取引士)であるかどうか?はしっかりと確認して下さい。

    副業規定に違反しない範囲で行う

    上記でも説明した公務員の「副業」に抵触しない範囲で不動産投資を行うことが重要です。

    まとめ

    公務員は与信能力が高く、金融機関から融資を受けやすいです。

    金利も通常よりも安く借りられ、優良な物件を購入できれば非常にメリットがある職業だと言えます。

    しかしながら、その与信能力の高さゆえに粗悪な物件をつかまされる可能性も高くなります。

    騙されない為にも、上記のポイントに注意してワンルームマンション投資についてしっかり学び、比較検討を忘れないようにしましょう。